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社説

診療報酬改定 帳尻合わせではだめだ(12月24日)

 来年度の診療報酬改定で焦点だった医師の技術料など「本体部分」が0・38%引き上げられる。本体が上がるのは二○○○年度改定以来、八年ぶりだ。

 医薬品や注射針といった薬価・材料部分が1・2%下がり、診療報酬全体では0・82%の引き下げとなる。

 診療報酬は個々の治療や検査、薬に対して国が定める価格で、公的保険から医療機関、保険薬局に支払われる。国はほぼ二年おきに改定してきた。

 ○二年度、当時の小泉純一郎政権が構造改革路線の中で本体部分をマイナス1・3%と初めて引き下げた。

 今回の決定により、全体の改定率は四回連続引き下げとなる。

 過去の診療報酬引き下げの影響で、病院の収入が減り、医療従事者を満足に確保できないところが多い。

 全国の自治体病院や地域の中核病院は深刻な医師不足に陥っている。医療の崩壊が現実になりつつあるのだ。

 高齢化の進行と医療技術の進歩で、医療費は今後も確実に増え続ける。

 国民の生命と健康を守るための費用をこれ以上削れば、医療の質と安全が保証されなくなる恐れがある。そうなれば、公的保険への信頼、つまり国民皆保険の根幹が揺らぎかねない。

 医療は社会資本と言える。不要な検査を減らし、効率化を図るといった無駄を省く努力が求められるのは当然だが、必要な医療費が財政事情で圧縮されるのでは困る。

 国民が安心できる医療制度を維持するため、経費を確保するのは国の責務だ。国の歳出の中で、削るべきものがまだまだあるのではないか。

 国が支出する医療費の総額を決め、個々の診療報酬をその枠内で増やしたり減らしたりして帳尻を合わせる現行の仕組みは限界に来ている。

 来年度実施に向けて個々の診療報酬を決めるに当たり、労働条件が厳しい勤務医、とりわけ産科医と小児科医への配分を厚くする工夫が必要だろう。夜間・救急医療もそうだ。

 ただ、本体部分の引き上げ率はわずかで、勤務医の確保にどれほど効果があるのか疑問だ。

 診療報酬の引き上げ分が医師に直接入るわけでもない。

 勤務医を増やすには、医療事故対策の充実や職場環境の改善、医学生時代からの教育などの対策が不可欠だ。

 高齢化に伴い、在宅医療の充実が課題となっている。勤務医への配分を増やす一方で、総合医・かかりつけ医として期待される開業医の報酬を機械的に減らすことはできないだろう。

 当面、限られた予算の中では、医療現場の実態に応じたメリハリのある配分を心がけることが現実的だ。

 大切なのは、これからの日本の医療をどうするかの視点だ。その議論が不足している。

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