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いじめ許さない大人がスクラム

2007年12月17日

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いじめ防止に向けた対策を話し合ったパネリストたち=山形市平久保のビッグウイングで

∞「防止チーム」発足へ

 教師・PTAら 匿名で通報可能に

 いじめの防止策を考えるフォーラムが16日、山形市のビッグウイングで開かれ、県内の教師やPTAらでつくる「いじめ防止プロジェクトチーム山形」を、1月にも発足させることを決めた。いじめの情報を、匿名の電話やメールで通報できるシステムを作る。教育委員会や警察関係者などにも協力を要請する。(南日慶子)

 この日の催しは「未来への創造フォーラム いじめ・非行への実効性のある具体的対応はどうあるべきか」と題して開かれた。

 発足が決まったプロジェクトチームは、フォーラムを主催した「いじめを許さない教師の会」(会長=後藤克彦・村山市立富並小教諭)や県内のPTA関係者が中心となって構成される。

 県や市町村教委、警察関係者、民生委員などにも賛同者を募り、チームに入ってもらう意向を持っている。

 プロジェクトチームの発足を宣言した教師の会の後藤代表は「1人でもいじめられる人がいれば、私たち教師の責任。いま立ちあがらなければ、誰が子供を守るのか」と訴えた。

 フォーラムの基調講演では、05年度から06年度に政府の規制改革・民間開放推進会議の専門委員を務めた教育アナリスト戸田忠雄さんが「校長や教師にとって、いじめる方もいじめられる方も生徒。管理責任を問われるので少なめにしたいというのが現実だ」と、教育現場の構造的な問題を指摘。「市民社会では犯罪抑止のために110番があるように、学校にもいじめ抑止のための内部通報制度が必要」と呼びかけた。

 「いじめ・非行から子供を守るために、地域はどう取り組むべきか」と題したシンポジウムも開かれ、戸田さんら5人のパネリストが議論した。

 那覇市で11月、PTAが中心の「市いじめ防止プロジェクトチーム」を立ち上げ、匿名の通報制度を設けた徳留博臣さんが「いじめの現状を知って、本気になって自分たちのできることから取り組む。そう決意することが大事」と助言した。

 酒田市立一條小PTA副会長の池田邦明さんは「子供の未来を担保するため、教師の会と協力してひとつの仕組みを作りたい」と話し、山形でも同様のシステムを作ることに賛同した。

 教育アナリストの戸田さんは、山形県内で昨年、女子高生が学校で飛び降り自殺した問題にも言及した。「ここ15年ほどのいじめ自殺を見ていると、学校で自殺した子は5%しかいない。何かがあったから学校で死んだ。それを考えなければいけない」と話した。

 キーワード★県内のいじめ 県教育委員会の11月の発表によると、県内の小、中学校と高校で確認されたいじめは06年度で979件。前年度の約10倍になった。

 小学校のいじめは255件で、前年度の11・5倍。中学校のいじめは413件あり、前年度の約9倍だった。高校のいじめは311件で、前年度の10倍。

 一方、小学校の校内暴力は2件確認された。中学校は5件だった。高校は157件に上り、前年度の2倍以上となった。

 今回の調査から国立や私立学校も対象に含め、詳細な調査となった。また、従来のいじめの定義から「一方的に」「継続的に」「深刻な苦痛」などの表現を外した。県教委は「実態に近い数が把握できた」としている。

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