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メタボ健診:厚労省が産業衛生学会の要望書に注文

厚労省が添削した要望書原案には削除と訂正が並んだ
厚労省が添削した要望書原案には削除と訂正が並んだ

 来年4月に始まるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策の新健診制度について、日本産業衛生学会が厚生労働省に要望書の提出を打診したところ、批判的な記述の削除を求められていたことが分かった。厚労省は「一方的な意見なので、参考のため意見を付けた」と説明するが、同症候群の診断基準は国際的にも確定しておらず、厚労省の姿勢が問われそうだ。

 新健診は40~74歳の全員が対象。腹囲基準(男性85センチ以上、女性90センチ以上)が注目を集め、「メタボ健診」とも呼ばれる。

 関係者によると、産業医らが作る同学会は今年6月、厚労省に要望書の原案を提示。毎日新聞は、厚労省が添削して学会へ返送した文書を入手した。

 原案は腹囲基準について、心臓病などを効果的に予防できる科学的根拠が確立していない点などを指摘した。

 厚労省は100カ所以上に注文をつけ、批判的な表現の削除を求めた。修正理由も書き添え、「(日本内科学会など)8学会が科学的根拠に基づき決めたメタボリックシンドロームの基準に、一方的に異論を唱えるのはいかがなものか」「腹囲測定の意義等を無視した、きわめて個人的な意見であり、訂正が必要」などとした。

 同学会関係者は「政策に反映してもらうために相談したが、言われすぎかなと思うところもあった」と話す。学会内には反発の声が上がり、今年7月に▽腹囲基準は常に見直しが必要▽今後、有用性を検証するためのデータを集積すべきだ--などの要望書を厚労省に出した。だが、「健診案は適当でない」などの表現は削られた。

 厚労省の金井雅利・労働衛生課長は「妥当性は審議会などで検討されている。一方的に批判することはいかがなものかと考えた」と説明している。【永山悦子、鯨岡秀紀】

毎日新聞 2007年12月23日 2時30分 (最終更新時間 12月23日 3時01分)

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