皇室

記者会見で質問に答える天皇陛下＝２０日、皇居・宮殿「石橋の間」で（代表撮影）

　天皇陛下は２３日、７４歳の誕生日を迎えた。これに先立つ皇居・宮殿での記者会見では、食品の偽装表示や年金など暮らしの安全を脅かす問題が相次いで発覚した１年を「国民に不安をもたらすような事情が明らかになったことは残念」と振り返った。そのうえで「国民全体がこの問題（生活の安全性）に関心を持ち、皆の協力の中で安心して生活を営むことができるよう願っています」と述べた。

　年金問題については「戦後の復興とその後の国の発展を目指し、一生懸命まじめに働いてきた人々が高齢になって不安を持つことがないように」と解決への期待を語った。社会格差に関しては「弱い立場にある人々が取り残されてしまうことなく、社会に参加していく環境を作ることが大切」とした。

　ご一家の近況を尋ねた問いには「それぞれに幸せであってほしいと願っており、見守っていきたい」と述べた後、５月の欧州訪問前会見の報道に言及した。「私どもは私的に外国を訪問したことは一度もありません」との言葉を、皇太子ご一家のオランダ静養への苦言と一部報道が伝えたことに「私の意図したところとまったく違っています」と抗議。「意図と違ったように解釈される心配を払拭（ふっしょく）することができません。これ以上の答えは控えたく思います」とした。

　また、琵琶湖で１１月あった「全国豊かな海づくり大会」のあいさつで触れたブルーギルについては「（釣った魚を食べずに放す）キャッチ・アンド・リリースの浸透」が異常繁殖の原因とし、食材として利用することで繁殖を抑えるべきだとの考えを示した。【真鍋光之】