来年のオリンピックを控え成長著しい中国だが、一方で厳しい生活を強いられる少数民族がいる。少数民族・ウイグル族がその窮状を語った。 中国の西に位置する新疆ウイグル自治区には、人口13億の中国で9割を占める漢民族とは顔立ちが異なるウイグル族約1000万人の大半が暮らしている。中華人民共和国が誕生した1949年に組み込まれた。
「この労働は無償なんです。無償!参加しないと逆に罰金を取られるんだ」−集団で働く男性たちによれば、3か月間、地方政府の仕事を無償で行う義務があり、この間収入が途絶えるため、生活は苦しいという。ある農民は「貧しい農民を救うなんて胡錦濤国家主席の宣伝だ!この現実を見てほしい」と訴える。
先月初めて日本を訪問した人権活動家、ラビア・カーディルさんもウイグル族を代表して窮状を訴える。ラビアさんは有名な企業経営者だったが、中国政府を批判し逮捕され、今はアメリカに亡命し、世界各国で講演活動を行っている。その功績が認められ、ノーベル平和賞の候補としても名前が挙がっている。ラビアさんによると、政府は25歳以下の女性を強制的に大都市に移住させた上、働かせており、去年だけでも24万人が移住させられたという。
中国政府は「少数民族の保護政策」を掲げているが、それとは程遠い現実がある。ラビアさんは「03年に教育現場でウイグル語を使うことが禁止されました。このままでは、ウイグル族の文化がなくなってしまいます」「ウイグル族が置かれている現実に、日本人も関心を持ってほしい」と話している。