19日午前9時5分ごろ、東京都千代田区丸の内1の警視庁丸の内署東京駅前交番内で、交番に勤務する丸の内署地域課の大西泰正巡査部長(32)=足立区西新井7=が頭から血を流して倒れていると通行人から110番があった。大西巡査部長は病院に運ばれたが約3時間後に死亡した。右手に拳銃を握っており、丸の内署は大西巡査部長が頭を撃って自殺を図ったとみて調べている。
調べでは、大西巡査部長は貸与された拳銃で右側頭部を1発撃ち、交番入り口に面した1階の見張り所(事務室)内に倒れていた。病院搬送前は意識があったという。18日午後4時半から同僚2人と交番勤務に就いていた。発砲時は同僚のうち1人が事務室の奥の休憩室で仮眠していたが、もう1人は不在で、事務室には大西巡査部長しかいなかった。
拳銃には銃弾5発を装てん可能で、4発が残っていた。発射された1発は、事務室内に落ちていた。通りに面した窓の内側の枠に銃弾が当たったような跡があり、跳ね返って室内に落ちたとみられる。窓枠からそれていれば、外部に飛び出した可能性もあった。
大西巡査部長は13日付で丸の内署に配属されたばかりで、18日が交番勤務の初日だった。丸の内署に着任後は変わった様子はなかったという。遺書は見つかっていない。
現場はJR東京駅丸の内北口前。北口改札から大型商業ビルやオフィスビルの集中する地区へ抜ける場所で、終日人通りが絶えないという。
現場付近にいた通行人らによると、午前9時ごろ「パーン」という音が1回聞こえ、交番内の机付近に大西巡査部長が倒れていた。近くには帽子がころがり、壁には大量の血痕が付いていた。同僚の警察官が大西巡査部長に覆いかぶさるようにして呼びかけていたという。
発砲後、交番の出入り口に青いシートがかけられ、鑑識作業を行う警視庁の捜査員らや集まった約40人の報道陣で騒然とした。不安げな表情でJR職員に尋ねるスーツ姿の会社員もいた。
買い物に来ていた主婦(38)は「こんな場所で拳銃を使った騒ぎが起きるなんて……。仕事のために持っていたのだから佐世保の(散弾銃乱射)事件とは違うのだろうが、こんなに身近で起きると不安に思う」と話した。