作品

たぬきうどん
星辰の巫女たち
 かつて、人間がまだ生まれて間もなく、世界がまだ混沌に包まれていたころ、光の神と闇の神の戦いがあった。
ファンタジー
第1話  100年に及ぶ激しい戦いの中、ついに光の神が勝利し、世界は秩序のうちに統治されることになった。
第2話  ザールは孤児だった。幼いころ両親に先立たれ、6歳のころから町のヤクザに下っ端として育てられた。
第3話  アールマティ大聖堂から東にあるレン国。
 このレン国を治める女王・フローラは女性だ。
第4話  巫女との出会いから数日……ザールは巫女の癒しの力によって回復した。
第5話  アールマティ大聖堂のそばに小さな孤児院がある。
 彼らの中に混じって草原の上を転がりあって遊ぶ少女がいた。
 可憐な少女だった。
第6話  人生でもっとも幸せなときはいつか、と訊かれれば、プリムローズは父と過ごした時期だと答えるだろう。
 物心ついたときから数年間の、大好きな父に守られていたとき。
第7話 (まず服を脱いでもらおうか)
 なに……? いまタローマティはなんて言ったの?
第8話  ザールの意識は深い闇の底にあった。
 意識が途切れたのはいつからだろう?
 よく思い出せない。
第9話 「誰か! この状況を説明できる者はいないのか!」
 夜が明け、神殿騎士たちは大騒ぎだった。
 彼らのリーダー・星の巫女プリムローズが消えているのだ。
第10話  かつて邪神を崇めた神殿。いまその祭壇で、復活した邪神の前に巫女が跪いていた。
 星の巫女プリムローズは幸せそのものの顔でタローマティを見上げていた。
第11話  日輪の巫女ステラ=マリが慈愛の巫女なら、月の巫女リーゼロッテは強さの巫女だと言われる。
 リーゼロッテは、巫女の中で最も幼く見え、最も傲慢で、そして最も戦闘力に秀でた巫女だ。
第12話 「んん……」
 リーゼロッテは暗い部屋の中で目を覚ました。
 捕まったのか……。
第13話  美しい蝶は蜘蛛の巣に捕われていた。
 蝶は羽ばたくことをやめていた。
 じっと耐えていたのだった。
第14話  リーゼロッテの意識は夢の中をさまよっていた。
 彼女は力なくうなだれ、後輩プリムローズの膝の上に枕していた。奇妙な光景だった。
第15話  彼女はどんなに体を弄ばれても、苦しめられても、心までは屈しまいとしていた。
 肉体の強さでは敗北しても、心の強さでは一歩も譲る気はなかった。
第16話  ポピレアは馬を走らせていた。リーゼロッテと分かれてから10日以上が過ぎていた。
 大失態だわ。レンの首都を脱出するためにかなり手間取ってしまった……。急がないと……。
第17話 「ん……」
 リーゼロッテの意識は闇の中で覚醒した。
 巨大な生き物の胎内のような、生暖かい闇の中だった。
第18話  空は、いつの間にか暗雲に包まれていた。
 レン首都の町はずれ。リーゼロッテは長年慣れ親しんだ生家の庭で、敵と対峙していた。
第19話 「巫女殿……どうしてこんなことを……! 同族たる我々を……」
 最も光の祝福を受け、最も叡智と高貴さを備えたエルフは、いまや完全に変わってしまっていた。
第20話  アールマティ大聖堂。その上層にあたしの部屋はある。
 あたしはテーブルの上に顔を伏せ、うなだれていた。
第21話  法王は驚いて玉座から立ち上がった。
 爆発音がした。もしや、敵襲?
「ステラ=マリです。猊下、ただいま戻りました」
第22話  法王は王宮の一室をあてがわれた。
 幸い部屋は広く、十分な食事もあり、聖典を所望したらあっさり受け入れられた。


 

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