兵庫県尼崎市の県道で今年6月、ワゴン車を飲酒運転し、衝突したタクシーの乗客ら3人を死亡させたとして、危険運転致死罪に問われた建設作業員、宮田和弘被告(50)=大阪府豊中市=に対する初公判が31日、神戸地裁尼崎支部(渡邊壮裁判長)であった。検察側は宮田被告の飲酒運転の常習化を指摘。宮田被告は「間違いありません」と起訴事実を認めた。
検察側は冒頭陳述で、宮田被告が事故の約2年前から、ほぼ毎日、缶ビールを片手に持ち、飲酒しながら車を運転していたと指摘。昨年1月に飲酒し、民家に突っ込む自損事故を起こしたが、その後も飲酒運転をやめず、事故当日も直前まで約15時間、知人宅や車中で酒を飲み、酩酊(めいてい)状態だった。このほか過去2回、酒気帯び運転で罰金刑を受けるなど「飲酒運転が常習的だった」とした。
また、弁護側の被告人質問で宮田被告は「申し訳ないと思っています」と謝罪したものの「酒が好きだからしようがなかった。(飲酒運転は)意志の弱さが理由」などと説明した。
起訴状などによると、宮田被告は酒に酔ってワゴン車を運転したうえ、6月23日午後9時30分ごろ、尼崎市南塚口町の路上で、歩いていた井上和俊さん=当時(29)=をはねて死亡させ、直後には、対向車線にはみ出しタクシーと衝突。運転手の岩田浩一さん=同(48)=と客の松村美津子さん=同(68)=を死亡させた。
「極刑望みたい」 遺族、怒りの声
この日、法廷で意見陳述した松村美津子さんの長男、継未さん(43)は閉廷後、「こんな幼稚な人間に母親が殺されたと思うと情けない。極刑を望みたい」と憤った。
また、同じく意見陳述した井上和俊さんの母親、喜代子さん(58)も「反省の態度が感じられなかった。こんな人に殺された息子を改めてふびんに思う」と話していた。
(2007/11/01 8:26)
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