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12/21-13:02--「地獄変」「邪宗門」　芥川龍之介の直筆原稿確認　倉敷市所蔵の薄田泣菫資料から

　芥川龍之介（１８９２〜１９２７年）の代表作「地獄変」（１９１８年）や、未完に終わった新聞連載小説「邪宗門」（同）の直筆原稿などが、倉敷市が所蔵する芥川と親交のあった同市出身の詩人、ジャーナリストの薄田泣菫（すすきだ・きゅうきん、１８７７〜１９４５年）の資料から確認された。同市や青山学院大の片山宏行教授（日本近代文学）らが２０日、同市役所で記者会見し発表した。芥川の創作への姿勢や試行錯誤、二人の関係の深さが分かる資料といえる。 　０４年に泣菫の遺族から寄贈された資料で、０５年の泣菫没後６０周年の企画展で公開されたものが大半だが、これまで研究者が論文などで取り上げたことはなかった。 　「地獄変」の原稿は２００字詰め原稿用紙２枚で、冒頭部分。同作の直筆原稿は所在不明とされてきた。確認された原稿は、保存状態も良く、推敲（すいこう）個所もはっきりと分かる。 　「邪宗門」は２００字詰め原稿用紙２２枚で、連載初回から４回目冒頭まで。同作の直筆原稿はこれまで数枚しか確認されていなかった。また発表時は、主要人物の「若殿」と父の「大若殿」は見た目、性格が正反対という設定だが、今回見つかった原稿では「生写（いきうつし）」となっており、片山教授は「下書きの草稿ではなく、邪宗門を新たな展開に導く可能性のあった�猜鵡騰瓩箸澆襪戮�。掲載されるギリギリの段階で差し替えられたのだろう」と指摘する。 　このほか、芥川が両作の掲載された大阪毎日新聞の正式な社員に決まった際の「入社の辞」や、同社の学芸部にいた泣菫との書簡などを新たに確認した。 　片山教授は「芥川研究にまだ余地が出てきた。プロの作家となろうとする芥川の創作への熱意や執筆過程が分かる。芥川の恩人ともいえる泣菫の編集者としての才能もうかがえる資料だ」と話している。 　今回、研究者が直筆原稿を確認したことを受け、同市や薄田泣菫顕彰会（山田錦造会長）では「泣菫資料の大切さが理解していただける。なるべく早い時期に公開したい」としている。

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