仙台放送局

2007年12月22日 7時22分更新

”医師確保システム”構築を

20日内示された政府の来年度予算案の財務省原案で、医師を確保するための対策費が、今年度より全国で70%以上増額されました。宮城県の村井知事は、21日の会見で
「医師確保はまったなしの問題で 国に対して早急に、システムの 構築を求めたい」
と述べました。
来年度予算案の財務省原案では、地方からの医師不足解消の要望を受けて、医師を確保する対策費として、全国枠で160億7000万円が盛り込まれ、今年度よりも74パーセントの大幅な増額になりました。

具体的には
▼医師が不足している地域に、研 修医を派遣して、診療が行える ようにする事業に全国枠で9億 1000万円、
▼病院勤務の医師の過重労働を緩 和するため、開業医などに交代 勤務制で、病院に来てもらう際 の医師の人件費などを補助する 事業に、全国枠で4億8000 万円が、それぞれ新たに認めら れました。
21日の記者会見で村井知事は、「宮城県にとって、医師確保の問題は、まったなしの状況で、小児科医や産科医など、特に宮城県が不足している医師が長期的に勤務してもらえるようなシステムを早急に構築してもらえるよう、国に対して要望したい」と述べました地方の医師確保への取り組みは、厚生労働省が来年度予算の中で
最も重要視している項目の一つです。

また、村井知事が「まったなしの状況」と表現したように、この医師不足の問題は、宮城県にとっても早急に対策を取る必要がある課題となっています。
厚生労働省が行った調査では、宮城県の人口10万人あたりの医師の数は201人で、全国平均を10.7人下回っています。

さらに仙台市をのぞいた地域の平均は121.3人と全国平均を大きく下回り、仙台市周辺以外の地域では、医師不足が深刻な事態となっています。
宮城県は、▼医師が県内の病院に就職することをあっせんする「ドクターキューピット事業」や、▼県が医師を職員として採用して、自治体病院に派遣する「ドクターバンク事業」などの対策を講じていますが、思うような成果は上がっていないのが現状です。

医師を確保するための対策費が、大幅に増額されたことについて、宮城県は、厚生労働省がこの問題の対策に本腰を入れたものとして、「選択肢が増えたことは喜ばしい」と評価しています。

しかし、対策費用の一部は、県も負担する必要があるため、厳しい財政状況の中、どれだけの事業が実現できるかは、まだ不透明だとしています。
さまざまな事業の中から、県民にとって必要なものをどう選択して実行するか、宮城県の対応に注目は移ります。