毎日新聞の全国調査で猟銃の許可を取り消された186人の中には、女性につきまとうストーカーや、ささいな口論からナタを持ち出したり、近隣住民の苦情から逮捕されたケースもあった。これまで個人保管されてきた銃の管理と許可のあり方が改めて問われる実態が浮かんだ。
大分県佐伯市の60歳代の会社員の男は、昨年11月、20歳代の女性につきまとった。女性から相談を受けた県警がストーカー規制法に基づき男に文書で警告した。さらに、この男の自宅を警察官が訪れたところ、未施錠の状態で銃や実弾が保管されていた。県警は、銃刀法違反容疑などで書類送検し、銃の許可も取り消された。
05年6月には大分市の70歳代の男が自宅近くで交通トラブルを巡る口論から、相手にナタを向けて脅迫し、銃刀法違反容疑で逮捕され、散弾銃の許可を取り消された。
島根県では06年、50歳代の男が周囲の人に日ごろから「おれんようにするぞ」と脅し、手で小突くなどの言動があった。近隣住民が苦情を寄せたのがきっかけで、県警は男を暴力行為法違反容疑で逮捕した。猟銃の所持者であることが判明したため、許可を取り消した。
銃の所持は高齢者にも認められ、年齢の上限はない。高齢の所有者が起こすトラブルもある。
佐賀県では今月、70歳代の男性が実弾2発の入った散弾銃を猟場に置き忘れ、騒ぎになった。警察官ら約30人が捜索し、約9時間後に発見した。調べに男性は「銃を忘れた場所も忘れてしまった」と話しており、銃の管理ができないとして許可を取り消されている。
毎日新聞 2007年12月22日 2時30分