48.7%の得票率で次期大統領に当選したハンナラ党の李明博氏は20日、ソウル市内で記者会見し新政権の国政運営の方向性を明らかにした。キーワードは「和合の中の変化」、「先進国入り」、「新発展体制」で経済を重視したものとなっている。初の最高経営責任者(CEO)出身大統領となる同氏の経済関連公約をまとめた。
 記者会見で李氏は、「今後は建国、産業化、民主化を超えて先進化の段階に進まなければならない」として、経済活性化に向け努力することを約束した。 李氏の掲げる経済政策の目玉は年7%台の経済成長率。13年までに1人当たり実質国民総所得(GNI)を3万米ドルに引き上げる目標を掲げる。これに向け、企業が投資しやすい環境を造成する“企業寄り・市場寄り”の政策を強調する。2000年から増加率が年平均2.2%にとどまっている設備投資を促進するため、各種規制を緩和。中東やインドなど新市場への企業の進出を積極的に後押しする。また、知識産業や文化コンテンツなど高付加価値の新成長産業の海外進出も推進していく。 李氏は、「ここ10年で企業への規制が急増した訳ではないが、投資を促進する雰囲気が萎縮したのは事実」と主張。できるだけ早い時期に経済団体や中小企業の代表と会談し、政権発足前に企業が投資準備を行えるようにするとした。また、外国人投資を促すための新組織を設置することも検討している。 雇用政策では、「年間60万人・5年間で300万人」の雇用創出が目標。その中心となるのが青年層(15〜29歳)の失業者を減らすことだ。李氏は公約の中で、今年第3四半期(7〜9月)に7.1%に達した青年層の失業率を半減させることを約束している。 また、産業の融合を通じて新しい雇用の場を創出し、金融や企業資源サービス業、文化コンテンツ産業で質の高い雇用を増やしていく。このほか、「優良中小企業認証制度」を導入し、優秀な若者が大企業だけでなく中小企業にも目を向けるような仕組みを整備。総合就職ポータルサイトを立ち上げて、失業者の就職活動を積極的に支援する方針だ。 李氏は同日、中央選挙管理委員会から第17代大統領当選証の交付を受け、本格的な政権引き継ぎ作業を開始。「引き継ぎチーム」、「4月の総選挙チーム」などを結成し、政権発足の準備を急ぐよう側近に指示した。李氏は近く、盧武鉉大統領と会談し、国政全般について協議する予定。 ■財界は期待 全国経済人連合会(全経連)は、李氏の当選で新政権がスタートすれば、これまで滞っていた投資が活性化するとみて企業別の投資計画を取りまとめる作業に着手した。現在、国内製造業が不透明な政策のせいで投資できずに留保している現金資産は300兆ウォン台に上るという。 全経連はすでに、李氏に提出する規制撤廃案を作成しており、早い時期に李氏と会談して要望を伝える方針だ。 |