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【主張】来年度予算 これで財政再建できるか

2007.12.21 03:30
このニュースのトピックス主張

 福田康夫政権で初めての編成となる来年度予算の財務省原案が内示された。総選挙やねじれ国会を意識した財政規律の緩みが目立ち、基礎的財政収支の赤字は5年ぶりに悪化した。政府目標である2011年度の黒字化に黄信号が灯(とも)ったともいえる。

 原案は新規国債の発行こそ今年度を下回ったものの、国債関連の収支を除く基礎的財政収支の赤字は5兆1900億円と大幅に拡大した。税収が鈍化するのに、それに見合った歳出削減がなされなかったからだ。

 とくに歳出圧力が目立ったのは、社会保障と地方対策である。参院選大敗を受けた与党が総選挙に向けて重点とする分野だが、その抑制こそが財政再建のカギを握る。

 社会保障費はいうまでもなく最大の歳出項目であり、中でも医療費は今後急増が見込まれる。昨年の骨太方針による来年度の社会保障費抑制計画は2200億円だが、原案はこの肝心な分野で数字合わせに終わった。

 本来は引き下げ余地のある診療報酬で対応すべきなのに、逆に過酷な勤務医や小児科などの医師不足対策を理由に引き上げた。その代わり、大企業の健保組合から中小企業の政管健保への財政支援で国庫補助を抑制するなどして計画を達成したのである。

 医師不足対策などは開業医優遇の診療報酬体系を見直せば十分に可能だろう。健保一元化の議論があるとはいえ、大企業サラリーマンが診療報酬上げの割を食うのは納得できまい。今年度補正予算では高齢者医療の負担増凍結で多額な歳出も盛り込んだ。

 選挙を見越した医師会への配慮が透けてみえるが、構図は地方対策も同じだ。法人事業税収を大都市から地方に回すのに地方交付税は増加し、道路特定財源の一般財源化も今年度並みにとどまった。少子化の中での教職員増加も含め財政規律は明らかに緩んだ。

 来年度政府経済見通しによると、名目成長率は基礎的収支黒字化目標を決めた昨年の骨太方針を大きく下回る。今後も骨太の前提のクリアが難しいとなれば税収増は期待できまい。消費税の具体的議論も進んでいない。

 このままでは財政悪化は止まらなくなる。福田政権には歳出・歳入一体改革の基本に戻るよう強く求めたい。

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