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【社会】

介護養成校入学13%減 低い待遇、景気回復で流出

2007年12月19日 朝刊

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 本年度の介護養成校(大学、短期大学、専門学校、高等学校の専攻科)の入学者数が昨年度から13%も減少していることが、厚生労働省の調査で分かった。その影響で来年度の学生募集を停止した専門学校も出ている。介護福祉士の待遇の悪さに加え、少子化や景気回復などが減少の原因とされ、業界への不信感が増したコムスン騒動以前から、学生の介護離れが進んでいたことになる。 

 厚労省の調査は全国の介護養成校の四月一日現在の入学者数を集計したもの。二〇〇六年度に一万九千二百八十九人だった介護養成課程の入学者数は、本年度は二千五百九十三人減の一万六千六百九十六人になった。一方、〇六年に四百五校(四百八十一課程)だった養成校の数は今年四百十九校(四百八十六課程)に増加。受け入れ先が増える一方で、学生減少が進む危機的な状況だ。

 学生数の激減で、東京都文京区の文京社会福祉専門学校は、来年度の学生募集を停止した。本年度の介護福祉学科(定員四十人)への入学者は十人台で、在学生が卒業する〇八年度末で閉校する。来年度の推薦入学で定員割れした県立短期大学も出ているという。

 介護離れの原因として、給与が安いのに仕事がきつい“3K”職場の実態が広く知られてきたことに加え、景気回復で他産業に人が流れたことがあげられている。東京都内の介護専門学校の人事担当者は「さらに今年はコムスン問題が追い打ちをかけ、家族や高校の教師が介護分野への進学を勧めない傾向が強まっている」と話す。

 現在、現場で働く介護福祉士は約二十四万人で、約三十八万人は資格を持ちながら現場を離れている。政府は急速に進む高齢化を見込み「(七年後には、ヘルパーを含め)介護職員を四十万−六十万人増やす必要がある」と試算。関係者からは「学生の急速な介護離れで、介護保険制度の維持すら厳しくなっている。早期の対策が必要」という声が高まっている。

 

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