|
沖縄の守り神・シーサーと一緒に記念撮影を撮るトルシエFC琉球総監督
|
|
JFL(日本フットボールリーグ)のFC琉球の総監督に就任したフィリップ・トルシエ氏(52)が、補強第1弾として元日本代表DF秋田豊(37=前京都)を獲得した。秋田のリーダーシップを高く評価する同監督が熱望し、現役引退を発表していた秋田も、引退を撤回して快諾した。トルシエ氏は、19日に那覇市内で就任会見を行い「素晴らしいチャレンジだ」と抱負を語った。
【日本代表カレンダー】
FC琉球を強くしたいというトルシエ総監督の熱意の表れだった。前日夕方に那覇に到着すると、さっそく日本代表監督時代の愛弟子・秋田と連絡を取った。「FC琉球を強くしたい。手を貸してくれ」。引退を発表していた37歳のベテランの心が揺れた。その場で引退を撤回し、FC琉球入団を内諾したという。
秋田は今季名古屋からJ2京都に移籍したが、ケガもあって出場は14試合にとどまった。京都がJ1昇格を果たして一区切り付いたことから、今季限りでの引退を表明していたが、FC琉球で新たな挑戦を始めるトルシエ氏にとっては、必要な人材だった。
日本代表の指揮を執った02年W杯日韓大会でトルシエ氏は、FW中山雅史(磐田)とともに大会直前に秋田を代表メンバーに選んだ。闘志あふれるプレーが若手の手本になるということに加え、トルシエ監督と若い選手のパイプ役になることを要求した。W杯では1試合も出場する機会はなかったが、最も信頼を寄せていたベテランだった。
チームを強くするためには、自分の考えを熟知し、プロ意識を注入できるベテランが不可欠。秋田は、来季は選手に専念する予定だが、指導者としても期待しており、2〜3年後には監督兼任となる可能性もある。「3年以内にJ2、5年でJ1。そしてJ1に居続けられるチームにしたい」と野口社長が語る目標。秋田というリーダーを得て、沖縄が活気づいてきた。
<「ハイサイ」「チバリヨー」ご機嫌です>トルシエ氏は会見で、総監督就任を決意した経緯を「野口社長の夢と情熱が私を魅了した。FC琉球を完全なプロにし、エリートに導きたい」と説明した。野口必勝社長は、パリやオーストラリアまで出向いて口説いたという。その熱意が就任の決め手だった。
総監督の役割について「私は監督ではない」とベンチでの指揮については否定したが、トップチームを時間が許す限り指導すると同時に、チーム全体の方向性なども決めていくという。そして「J1に上がれば鹿島や浦和とここで対戦できる。FC琉球だけでなく、沖縄全体を巻き込む大構想だ」と続けた。
かりゆしウエア姿で登場し「ハイサイ」「チバリヨー」など、方言も織り交ぜながら会見したトルシエ氏は、沖縄にサッカーを根付かせる「大構想を自分の手で引っ張っていきたい」と話した。
◆秋田 豊(あきた・ゆたか)1970年(昭45)8月6日、愛知県生まれの37歳。愛知高校から愛知学院大を経て、93年に鹿島入り。当たりの強い大型ストッパーとして頭角を現し、94年には日本代表入りした。W杯は98年フランス大会と02年日韓大会に出場。04年に名古屋に移籍し、今季からJ2京都に所属。J1通算は391試合23得点。J2京都では14試合0得点。国際Aマッチ通算45試合4得点。1メートル80、78キロ。
|