政府・与党は17日、2008年度の診療報酬改定について、診療報酬本体(技術料)0.38%の引き上げで合意した。00年度改定以来、実に8年ぶりの「プラス改定」が実現した。一方で、薬価は1.1%(薬価ベース5.2%)の引き下げ。そもそも、疲弊しきった産科・小児科医などの内情が社会問題化していたことから、技術料マイナス改定は、政治的に困難な状況だった。
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診療報酬本体、プラス0.38%が確定 08年度診療報酬改定で、技術料の引き下げという「改定率」の予測において、少なくとも引き下げという選択肢は早々から消えていたと考えるべきで、焦点はあくまで年明け以降に決まる個々の「点数設定」である。改定率がマイナスであろうとプラスだろうと、最初から“米びつの争い”であることに違いはない。例年であれば、点数設定に手をつける権利を持っているのは日本医師会だが、勤務医との格差が指摘される開業医の初・再診料の引き上げ、据え置きは厳しい状況だ。
ところで、四捨五入しても0.4%、医療費ベースで約300億円という限られた財源では、産科・小児科の待遇改善には到底不十分である。政治的には「8年ぶりの技術料引き上げ」という最低限の建前は果たすかもしれないが、荒廃した医療現場を立て直すには焼け石に水の金額だ。一方で、来年度以降も、社会保障関連費で2、200億円の削減は政府の規定路線。高齢者医療費の自己負担引き上げの凍結、政管健保の国庫負担を健保・国保などに肩代わりさせる窮余の策は、1年間の期限付き。
来年度に200億円超を賄うはずの後発品の普及促進による毎年一定の財源確保は、日本の後発品市場を思えば、机上の空論とまでは言わないが、根拠の薄い皮算用だろう。結局のところ、来年度の予算では、誰かがカラになった米びつを抱えることになるはずだ。1年後の政治状況は極めて流動的だが、仮に現状のままとすると、製薬業界が最も恐れる薬価の「毎年改定」が現実味を帯びてくるかもしれない。
(医療ライター・田畑義行)
更新:2007/12/20 キャリアブレイン
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