母乳中のニコチンが赤ちゃんの睡眠パターンを乱す |
母乳中のニコチンが乳児の睡眠パターンを混乱させ、睡眠(naps)時間を3分の1短くさせることが、米国の研究で明らかになった。妊娠中に禁煙したにもかかわらず、多くの女性が出産後に喫煙を再開している。授乳中の喫煙が禁忌(きんき)とされていないため、母親たちは乳児に受動喫煙させない限り無害だと考えがちだが、母乳に含まれるのニコチンの短、長期的な影響を検討した研究はほとんどない。 研究著者の米モネル化学感覚センター Monell Chemical Senses Center(フィラデルフィア)のJulie A. Mennella氏らは、生後2〜7カ月の母乳育児の乳児15人を対象に、3時間30分を単位として間隔を空けて2日間観察を行った。母親全員が喫煙者で、観察前の12時間は喫煙を控えた。1日は授乳前に1〜3本喫煙してもらい、もう1日は喫煙しないようにした。両日とも、乳児の要求に対応して授乳し、その後は横に寝かせつけた。乳児の睡眠と覚醒は足首のアクティグラフ(※睡眠と覚醒を自動判別する腕時計型高感度センサー)で観察し、授乳前の母乳サンプルのニコチンとニコチンの代謝物であるコチニンのレベルを測定した。 その結果、母親が喫煙した際の乳児の睡眠時間は53分で、喫煙しなかった場合には84分だった。総睡眠時間が37%減少していたが、原因は最長の睡眠時間の短縮と、active sleep(成人でのレム睡眠に該当)とquiet sleep(ノンレム睡眠に該当)の減少にあった。研究者らは、乳児はどちらの期間も同量の母乳を摂取していたが、これは乳児がたばこの風味を受け入れたことを意味するとしている。 Mennella氏らの従来の研究では、母乳中のニコチンレベルは、1〜2本の喫煙後30〜60分でピークとなり、3時間後には消失することが明らかになっており、このことは、母親が喫煙と授乳のタイミングを管理できることを意味しているという。乳児の成長に与えるニコチンの影響を完全に理解するためには、さらに研究が必要とされる。研究結果は、米医学誌「Pediatrics」9月号に掲載された。 (2007年9月4日/HealthDayNews) |
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