県立厚生病院(鳥取県倉吉市東昭和町)は十八日、遠隔病理画像診断システムの「バーチャルスライドシステム」の運用を開始した。鳥取情報ハイウエーを利用して、鳥取大学医学部の病理医が、厚生病院で行っている手術中の病理組織診断など迅速に対処できる。同システムの県内の医療機関での導入は初めて。
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新システムの操作をする臨床検査技師=18日、倉吉市の県立厚生病院
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厚生病院は、地域がん診療連携拠点病院に指定されているが、病理医が常駐しておらず、これまでの画像を電話回線で鳥大医学部に送るシステムでは、画像の解像度も低く、病理医の診断までに時間がかかっていた。
新システムは、厚生病院内のサーバーに取り込んだ病理組織の標本画像を、厚生病院の手術室と中央検査室、鳥大医学部で同時に見ながら双方向でやり取りができる。
これまでは、手術中に病理組織を切り出してから、診断結果の回答があるまで一時間以上かかっていたが、新システムは画像が鮮明な上、画像の拡大やモニターしている部分の移動も簡単で、診断までの時間が短かくなるため、手術時間の短縮につながる。
厚生病院の吹野俊介外科部長は「新システムの導入で、病理組織を迅速かつ正確に把握して切除することができる。手術時間の短縮で患者側の負担も軽減され、退院までの期間も短くなる」と話している。