ドドドッ。耳をつんざくごう音が響く。市街地は大きく波打ち、高速道路の橋脚がバタバタと倒れる―。
一九九五年一月十七日の阪神大震災。教訓を国内外に発信しようと、兵庫県が二〇〇二年に建設した「人と防災未来センター」(神戸市中央区)を先日、町内会の旅行で初めて訪れた。地域で防災意識を浸透させる参考にという趣旨だ。
印象的だったのはメーンの大型シアター。高さ六メートル、幅二十二メートルの壁面スクリーンに、科学的データを基に再現した住宅や商店街、ビルが倒れる様子などが映し出され、大地震の瞬間を体験できる。上映時間は約七分。参加の子どもが泣きだすほど臨場感があった。
香川県内の支局勤務だった当時、自衛隊の救援ヘリに同乗し、被災地の淡路島を取材した。震災の二日後。ぺしゃんこのわが家から黙々と家財を運び出す住民の姿に、声をかけるのをためらったことを思い出す。
今年も七月の新潟県中越沖地震では十人余の命が失われた。被災した自動車部品メーカーからの供給が途絶え、岡山でも三菱自動車水島製作所(倉敷市)や関連部品メーカーが一時、生産休止に追い込まれた。
近い将来の発生が懸念される東南海・南海地震では、岡山は最大震度6弱、振動・液状化による家屋倒壊は約八千八百棟と予想されている。津波を想定し、工場の生産設備を高所に移設した地場企業もある。
阪神大震災から間もなく十三年。岡山は震災への危機意識が薄いといわれる。企業や地域、家庭の備えは万全なのか。あらためて考えさせられた。(経済部・桑原功)