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子どもたちの前でロールプレイを行うメンバーら







タイトル「すこやかさん」

子どものけんりCAPいしかわ

「自分の大切さ」伝える

 いじめや誘拐、虐待、性的暴力など、あらゆる暴力被害から子ども自身が心と体を守るための教育プログラム「CAP(キャップ)」。その普及活動に努めるNPO法人CAPセンター・JAPAN(兵庫県)の県内の登録団体として、主に学校教育の場で教育プログラムを実施している。

 CAPは「Child Assault Prevention(子どもへの暴力防止)」の頭文字で、子どもたち自身が暴力から自分を守るための知識や技能を身につけるための教育プログラム。アメリカで生まれ、日本では1995年にスペシャリスト養成講座が始まった。現在、世界16か国にプログラム実施団体があり、国内では約160のグループが活動しているという。

 プログラムは、ロールプレイ(役割劇)を主体としたワークショップ(参加型学習)形式。いじめっ子役、いじめられっ子役、友人役などをメンバー3人が演じ、子どもたちに「みんな安心して、自信を持って、自由に生きる権利を持っている」と、人権概念を伝えることから始まる。

 昨年から代表を務める藤井まり子さん(59)は「プログラムで教えるのはハウツーではなく、自分自身で考える力を養うこと」と話す。暴力への具体的な対策として「『いやだ』と言う」「逃げる」「相談する」という3つの方法も伝える。

 しかし、方法だけを伝えても、子どもたちが「自分は大切な存在なんだ」という意識を持たない限り、暴力にさらされた時、「自分で自分を守る」という本来の姿が発揮できないという。

 もう一つの特徴は、子どもだけがプログラムを受講するのではなく、必ず保護者、教職員用の大人向けワークショップを事前に行うこと。藤井さんは「子どもたちの話を受け止める大人が主体的にかかわらなければ、問題は解決しない」と説明する。

 前身の「金沢CAP」は98年に発足。活動範囲が県内全域に広がってきたため、昨年5月、現在の名称に変更した。内灘町では、小学3、4年生全員が毎年、順番にプログラムを学ぶなど活動は少しずつ広がりを見せている。

 ワークショップの実施には事前リハーサルが必要で、メンバーの負担は決して軽くない。しかし、「今まで怖かったけど、少し安心できた」という子どもたちの声が、活動を後押ししている。

*取材後記*

 ワークショップの進め方について熱心に議論するメンバーの姿から、「子どもたちのために」という真摯(しんし)な思いが伝わってきました。(藤元陽)

2007年12月15日  読売新聞)
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