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NHKは29日夜、特別番組「NHKの再生をめざして」を総合テレビとラジオ第1で約30分間放送した。橋本元一会長、永井多恵子副会長が出演し、一連の不祥事、海老沢勝二前会長らの顧問就任について謝罪するとともに、“視聴者の声に耳を傾ける”ことに誠意を尽くす、とした。受信料不払いの予想外の広がりに、「なりふりかまわぬ」お詫び会見となったわけである。
ところで、今回のNHK問題でクローズアップされたのが普段は表に出ることがない、経営委員会という存在であった。
経営委員会については、放送法第13条(経営委員会の設置及び権限)において、1.協会に経営委員会を置く、2.経営委員会は、協会の経営方針その他その業務の運営に関する重要事項を決定する権限と責任を有する(昭34法30・1部改正)などと記されるほか、細部にわたり、取り決めがなされている。簡単にまとめると、以下のようになる。
全員非常勤で12人。「公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い知識と経験」を持つ者のうち教育、文化、科学、産業の専門分野、居住地区(各地域代表8人を含む)などから選ばれ、衆参両院の同意を得て首相が任命する。国家公務員、政党役員、放送用機械関係者や放送・新聞社関係者は資格がない。任期は3年で再任可能。委員長は互選。年間報酬は委員長が約880万円、委員が約700万円。
経営委員会委員のプロフィル
現在の12人は……以下の通り。
○関東甲信越地区
石原 邦夫委員長・東京海上日動火災保険社長(平成14.12.22就任)
=東大卒、66年東京海上火災保険に入り、95年同社取締役、01年同社長、04年東京海上火災保険と日動火災海上保険が合併し東京海上日動火災保険になり、同社長。02年12月からNHK経営委員。61歳。
○地区を通じて
堀部 政男委員長職務代行者・中央大学大学院法務研究科教授(平成11.12.22就任)
=東京大学大学院修士課程(基礎法学)修了。東京大学助手、一橋大学専任講師、同助教授、同教授、法学部長を経て、1997年4月から中央大学法学部教授。一橋大学名誉教授/情報公開・個人情報保護関係では、行政改革委員会行政情報公開部会専門委員、大蔵省・通産省個人信用情報保護・利用の在り方に関する懇談会座長、特殊法人情報公開検討委員会委員、物価安定政策会議特別部会公共料金情報公開検討委員会委員長、高度情報通信社会推進本部高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部、個人情報保護検討部会座長等を歴任。
○東海・北陸地区
深谷 紘一 デンソー社長(平成16.12.11)
○近畿地区
武田國男 武田薬品工業会長(平成14. 6.25)
○中国地区
小丸成洋 福山通運社長(平成16. 6.19)
○四国地区
梅原利之 四国旅客鉄道会長(平成16.12.11)
○九 州 ・ 沖 縄地区
保ゆかり オフィスピュア代表(平成14.12.22)
=コピーライターを経てオフィスピュア設立。自治体の総合計画策定等地域づくり政策、男女共同参画に関する条例・計画等女性政策に関するアドバイザー業務、人材育成事業に関する企画・実施イベントプロデュース等を行うとともに、フリーライターとしても活動。鹿児島市あきんど塾、鹿児島市のおかみさん会立ち上げにも参画。
○東北地区
一力徳子 よろづ園茶舗常務(平成13.12.11)
○北海道地区
小柴正則 北海道大学大学院教授(平成16. 6.19)
○地区を通じて
小林緑 国立音楽大学教授(平成13. 6.19)
○地区を通じて
佐々木涼子 東京女子大学文理学部教授(平成13. 6.19)
○地区を通じて
菅原明子 菅原研究所所長(平成14.12.22)
=1976年、東京大学医学部疫学教室にて博士課程修了。保健学博士。マハリシ国際大学社会心理学科客員教授。アジア・ヨーロッパ・アフリカ・アメリカなど、世界各国を訪問し、食生態学の調査研究を続けてきた。1983年、エッソ女性科学者奨励賞受賞。1984年、「菅原研究所」を設立。人間のための食環境づくりを西洋医学、東洋医学の両面から調査研究。女性科学者健康会議(WSF)代表で、毎年、女性イベントを主催。食育・健康教育の分野、そしてマイナスイオン科学の第一人者として、研究、執筆、講演活動などに精力的な活動を繰り広げている。主な著書に「マイナスイオンの秘密(PHP研究所)」、「食品成分表ハンドブック(池田書店)」、「ウィルスの時代がやってくる」(第二海援隊)、「黒い食べ物に秘密パワーがあった」(青春出版社)、など。
昨年12月19日、NHKの海老沢勝二前会長(70)が生出演した検証番組では、経営委員会を代表して、堀部政男氏が出演したが、どうにも発言に切れがなく、NHK会長の任命権ほか大きな権限を持つ組織の代表とはとても思えなかった。奇異な感じを受けたものである。上記委員の顔ぶれをみても、いったいいかなる選考プロセスを経て誰がどのような理由で選んだのか。誰もが簡単に知ることができるようになっていない。
また、活動の現実(月2回、各2時間。基本的に議題がNHK執行部側から提示される=NHK主導で運営)を見ても、責任と権限に見合った実態があるとは思えない。例えば、経営委員会は次のような時間とメンバーで開催されている。NHKの理事というのは、実質的な実力者(経営者)の集まりである。
経営委員会とNHK新役員
<会 議 の 名 称>
第986回経営委員会
<会議日時>
平成17年1月11日(火)午後3時から午後5時30分まで
同月12日(水)午前9時30分から午後0時30分まで
<出席者>
〔委員〕
◎石原邦夫○堀部政男
深谷紘一・武田國男・梅原利之・保ゆかり・一力徳子・小柴正則・小林緑・佐々木涼子・菅原明子
(◎委員長 ○委員長職務代行者)
〔監事〕
成田監事・池田監事・西尾監事
〔NHK役員〕
海老沢会長(※)・笠井副会長・橋本技師長・関根専務理事(※)・安岡理事・宮下理事・和崎理事・野島理事(※)・中山理事・諸星理事(※)・出田理事・三宅理事
※は海老沢前会長と同じ政治部出身者、もしくは経験者。政治部出身者はNHKの経営の中枢を占める。中でも諸星理事は海老沢会長と同じ茨城県出身で早稲田卒。次期会長候補と言われる。こうした百戦錬磨の政治部記者あがりと互角にやりあうのは容易ではない。
〔NHK05年1月25日付け新役員〕
1月25日、一連の不手際の責任をとって、海老沢会長、笠井副会長、関根専務理事が辞任し、新人事が公表された(以下の通り)。なお、1月26付けで、空席になっていた放送総局長の椅子に、出田幸彦理事が代行者として座ることに。新人事では、野島理事、諸星理事がそのまま残り、疑問視する業界関係者もいる。
会長 橋本元一
平成17年1月25日就任)昭和43年4月日本放送協会入局
平成13年6月技術局長
平成14年9月理事
平成16年9月専務理事・技師長
平成17年1月会長
副会長 永井多惠子
(平成17年1月25日就任)昭和35年4月日本放送協会入局
平成2年6月浦和(現さいたま)放送局長
平成5年6月解説委員室解説主幹
平成7年2月解説委員室専門委員
平成9年4月世田谷文化生活情報センター館長
平成17年1月副会長
理事 安岡裕幸
(平成13年4月25日就任)昭和43年4月郵政省入省
平成9年7月郵政省貯金局長
平成11年6月日本放送協会営業局特別主幹
平成13年4月理事
理事 宮下宣裕
(平成15年4月25日就任)昭和43年4月日本放送協会入局
平成11年6月衛星ハイビジョン局長
平成13年6月編成局長
平成15年4月理事
理事 和崎信哉
(平成15年4月25日就任)昭和43年4月日本放送協会入局
平成11年6月総合企画室〔デジタル放送推進〕局長
平成15年4月理事
理事 野島直樹
(平成15年4月25日就任)昭和44年7月日本放送協会入局
平成13年6月総合企画室〔経営計画〕局長
平成15年4月理事
理事 中山壮介
(平成15年4月25日就任)昭和43年4月日本放送協会入局
平成11年6月ラジオセンター長
平成14年6月広島放送局長
平成15年4月理事
理事 諸星衛
(平成15年4月25日就任)昭和45年4月日本放送協会入局
平成13年6月報道局長
平成15年4月理事
理事 出田幸彦
(平成15年4月25日就任)昭和45年4月日本放送協会入局
平成13年6月番組制作局長
平成15年4月理事
理事 三宅誠
(平成16年9月22日就任)昭和45年4月日本放送協会入局
平成14年6月放送技術研究所長
平成16年9月理事
監事 成田千代治
(平成15年4月22日就任)昭和43年4月日本放送協会入局
平成13年6月秘書室長
平成15年4月監事
監事 池田仁
(非常勤)
(平成15年7月18日就任)
昭和45年4月郵政省入省
平成10年6月郵政省東京郵政局長
平成11年7月郵政省大臣官房首席監察官
平成12年7月国家公務員共済組合連合会常務理事
平成15年7月日本放送協会監事
監事 西尾勝
(非常勤)
(平成15年3月12日就任)昭和49年6月東京大学法学部教授
平成11年4月国際基督教大学教授
平成11年6月東京大学名誉教授
平成15年3月日本放送協会監事
経営委員会に事務局
経営委員会のあり方がこの間の報道の中で大きく取上げられた結果、経営委員会(委員長・石原邦夫東京海上日動火災保険社長)は1月6日、執行部から独立した専属の事務局を同日付で新設した。これはNHK内部の不正や不適切な経理処理に対し、チェック機能を強化するのが狙いである。(1)ガバナンス(企業統治)の強化(2)コンプライアンス(法令順守)の徹底(3)公開性・透明性の確保―など、NHKの取り組みを「補佐」するのだという。
但し、事務局は委員会直属で、NHK内に設置し、専任は4人の規模だ。NHK職員2人が事務局長と担当部長、東京海上日動火災保険とJR四国からの出向者各1人が担当部長と副部長を受け持つ。事務スタッフは1人。
職員1万1800人の方向づけにコミットする役割は、現状の経営委員会という組織では無理ではないか?逆にそれができたら、それはそれで恐い話である。経営委員会は必要なのか?ともあれ、委員選考のプロセスの透明化、独自スタンスの確立、視聴者とのパイプづくりに尽力してもらいたい。
(小池正春)
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海老沢前会長
橋本新会長
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