防衛専門商社「山田洋行」元専務、宮崎元伸容疑者(69)が東京地検特捜部の調べに対し、社団法人「日米平和・文化交流協会」専務理事の秋山直紀氏側に03年末ごろ、約1億円を送金したと供述していることが分かった。福岡県苅田(かんだ)町の苅田港海底で見つかった旧日本陸軍の毒ガス弾を無害化する旧防衛庁の事業で、受注に便宜を図ってもらうよう依頼した見返りだったという。
事業は03年11月に一般競争入札があり、元専務の推す大手メーカーが20億6000万円で落札。山田洋行は、無害化処理装置納入やダイバー手配などを下請け受注したという。このメーカーは第2〜4期(04年12月〜来年3月)も計約190億円で随意契約した。
秋山氏は、日米の軍需産業と政界を結ぶパイプ役で「日米安全保障戦略会議」を定期的に開催。03年度以降、額賀福志郎財務相や前原誠司前民主党代表ら延べ21人が訪米したことが判明している。
秋山氏は協会を通じ「取材には答えられない」とコメント。メーカーは「技術面で優れていたので山田洋行に下請け発注した。秋山氏や政治家の関与はない」としている。
【ことば】日米平和・文化交流協会 1947年2月「日米文化振興会」として創立、68年7月に外務省所管の社団法人となり、06年6月に現在の名称に。会長は瓦力・元防衛庁長官。理事には、久間章生元防衛相ら国会議員やコーエン元国防長官ら日米の防衛産業関係者が名を連ねる。福田康夫首相、額賀福志郎財務相、石破茂防衛相も以前理事を務めた。主に日本の国会議員や防衛省職員らと、米国の国防関係者との交流事業を行っており、今年11月には東京都内で日米同盟などをテーマに「日米安全保障戦略会議」を開催した。
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