洋式トイレで立って小用すると、どの程度はみ出るのかを調べた興味深いデータがある。「ライオン」(本社・東京)の調査によると、男性が1日の平均回数である7回小用すると、壁や便器周辺などに約2300滴もはみ出ていた。
直径2ミリ以下の目に見えない霧状のものもあり、乾燥すると悪臭が発生するという。「トイレの汚れの主因は男性の尿です」。同社広報部、下谷由紀さん(38)の指摘には、頭を垂れるしかない。
そもそも、なぜ飛び散るのか。高橋クリニック(東京都)院長で泌尿器科の高橋知宏医師(55)は「尿道は水道のホースと同じで、1本の筋で出るのが本来の姿。飛び散りが多い人は尿道などに何らかのトラブルがある可能性がある」と話す。少し心配になる。
飛び散り防止は「座り派」に転向するのが早道のようで、松下電工が30〜50代の夫婦1036人を対象に行った調査では、座って小用をする男性は49%。99年の初回調査時の15%から3倍に増え、既にほぼ半数に達した。
それでも座りたくない人はどうしたらいいのか。松下電器産業広報チームの秦慶治さん(40)は「便器にもよりますが、水面の中央部分にするのがベスト」と言う。同社の調査では、洋式便器の水面より手前に落とした場合は311滴、奥でも207滴が便器外に散ったが、水面中央だと85滴に抑えられた。
これを基に、同社は水面中央部分を「エチケットポイント」と名付け、ライトで照らして示す便座を開発。昨年発売し、同社の便座販売台数の3割に達する人気商品になった。
ただ、水面中央だと音が大きくなる悩みも。やはり座るしかないのか。【中西拓司】
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