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終わらない被害:ドメスティック・バイオレンス/3 ショックから不登校に /兵庫

 ◇夢支えに立ち直り

 DV(ドメスティック・バイオレンス=配偶者や恋人間の暴力)に直面した子どもは、罪悪感や無力感を抱いたり、大人、社会に対して信頼感を持てなくなるという。

 川本弥生さん(45歳、仮名)の長女亜紀さん(17歳、同)もそうだった。兄の諒君(当時15歳)を刺殺した父親(43)から、自分も虐待を受けた。事件のショックもあって引きこもりがちになり、中学校にはほとんど通えなかった。

 亜紀さんは今、高校2年生。1年生の時は休むことが多かったけれど、「兄の分も高校生活を楽しみたい」と懸命だ。知らない大人と話すのは苦手だが、アルバイトも経験した。同級生の恋人ができ、クリスマスプレゼントにマフラーを編んでいる。

 表面上は青春を楽しんでいるようにみえるものの、突然ふさぎこむこともある。それでも、弥生さんの前では笑顔を絶やさないようにしている。「ママには心配かけたくないから」

 将来の夢は保育士になること。先日、高校の進路相談で「保育士は、虐待されたり、親の都合で一緒に生活できない子の施設で実習する。華やかな仕事ではないし、思っているよりずっと厳しい」と忠告された。心配する弥生さんに亜紀さんは「私はそういうところで働きたい」と宣言した。「いつの間に、こんなに強くなったのかな」と弥生さんはほほ笑んだ。=つづく

〔神戸版〕

毎日新聞 2007年12月19日

 

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