南沙群島の領有権をめぐり、中国とベトナムの衝突が再び激化しつつある。
1998年3月に武力衝突まで発生した両国は、今年に入って互いに同地域の行政管理の強化を図り、対立が尖鋭化した。最近、ベトナムの反中デモと中国の抗議声明が相次いでいる。
▲油田開発の試みに行政区域新設で対抗〓衝突の発端はベトナムで始まった。ベトナムは今年4月、スプラトリー群島(南沙群島)の油田開発を決定し、英国のBP社との合作で天然ガスのパイプラインを建設する計画だ。
ベトナムはまた、全体48島のうちベトナムが占有している24島に国会代表を選出する選挙も実施することを決めた。
ベトナムがこのように南沙群島を自国の領土に編入するための手続きに入ると、中国がただちに反撃に出た。
中国は先月、南沙群島と中沙、西沙群島を含む260万平方キロメートルの海洋に浮かぶ島をすべて合わせて県レベルの市である三沙市を新設し、海南省に編入させた。
これに対してベトナムでは今月9日、市民約200人がハノイの中国大使館の前で抗議デモを起こした。16日にも、約400人が参加したデモが続いた。特に16日のデモは、ハノイの中国大使館だけでなく、ホーチミンの中国総領事館の前でも起こり、ベトナム内の反中感情は徐々に拡散する様相を呈している。
中国外交部の秦剛報道官は、「平和的な解決ではないこのような抗議デモは、両国関係を傷つける行為だ」と非難し、再発防止を求めた。
▲紛争の原因と背景〓今回、直接的な発端となった南沙群島を含め、3群島の陸地面積は13平方キロメートルで、中国全体陸地面積960万平方キロメートルの1.35%にすぎない。
しかしこれらの島が占める海洋面積は260万平方キロメートルで、中国全体領海および湖面積470万平方キロメートルの55.3%にのぼる。
南沙群島はインド洋と太平洋をつなぐ戦略的要衝地で、300億トン規模の石油の埋蔵が推定されている。水産物の宝庫であり、有名観光地でもある。
南沙群島は全体48島のうち、ベトナムが24島を占有し、中国が10島、フィリピン=7島、マレーシア=6島、台湾=1島の順に占有している。
南沙群島の領有権紛争は1960年代、石油と天然ガスなどの天然資源の可能性が提起されて始まった。1998年には軍事衝突まで発生したが、関連国が紛争防止に合意した02年以降、武力衝突は起きていない。
西沙群島では中国とベトナムが、中沙群島では中国とフィリピンが領有権をめぐって対立している。