九日午前十時五十五分ごろ、静岡市葵区の静岡ヘリポート近くの遊水池に、NHKが契約しているオールニッポンヘリコプター(東京)所属のヘリコプターが墜落した。搭乗の同社社員二人が病院に運ばれたが、機長小宮義明さん(57)=神奈川県相模原市東淵野辺四=は間もなく死亡、整備士の亀山幸代さん(33)=同県茅ケ崎市南湖三=が重傷を負った。
機長から指示を受けた整備士が墜落直前に携帯電話で「(機体の方向を変える)ラダーペダルの調子が悪い。着陸の際に安定性がない」などと会社に連絡しており、静岡県警などが事故原因を調べている。
国土交通省航空・鉄道事故調査委員会も九日、調査官を派遣、原因究明を始めた。
静岡中央署などによると、ヘリはユーロコプター社製で中型機のEC135T2型。年一回の検査のため、午前十時ごろ、東京ヘリポートを出発し大阪に向かう途中、給油で静岡ヘリポートに立ち寄る予定だった。
オールニッポンヘリコプターによると、機長は総飛行時間が約五千七百時間のベテランで、報道取材に約二十年かかわった。同社のヘリ十三機はすべてNHKと契約。墜落したヘリは通常、新潟放送局の航空取材に使用されていたという。
静岡ヘリポートの井鍋進所長は「ヘリは池の上空で一時ホバリングしていたが、急に機体が回転しながら落ちた」と説明。墜落直前に機長から無線で風速などの問い合わせがあったが、混乱した様子はなかったという。
静岡地方気象台によると、九日の静岡市は風が弱く、晴れていた。
現場は静岡ヘリポートの南西約五百メートルで、工場や事務所のほか、西約八百メートルに県立こども病院がある。
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