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伊丹空港格下げ、揺れる地元 年4億〜5億円の負担発生

2007年12月18日

 第1種空港として国が管理・運営してきた大阪(伊丹)空港の「格下げ」が確実な情勢となり、地元自治体に波紋が広がっている。「格下げ」で来年度以降、経費負担を求められるためだ。周辺の市からは「負担するくらいなら廃港を」と強硬論も出る一方、大阪府からは「負担はやむを得ない」との声があがる。年明けにも始まる負担割合の協議は難航しそうだ。

 伊丹「格下げ」は、来年の通常国会に提案される空港整備法の全面改正案に盛り込まれる。全額国費負担だった整備費の3分の1を、大阪、兵庫両府県に求める。5年程度の軽減措置を設けるが、計年4億〜5億円の負担が生じる見通しだ。20日公表予定の08年度政府予算案では、地元負担を織り込んで空港整備費が計上される。

 両府県は表向き反対しているが、受け入れる姿勢を見せ始めている。国交省航空局幹部は「大阪府は関西空港、兵庫県は神戸空港を抱えている。伊丹のことばかり強く要求できないはずだ」と両府県の“弱み”を指摘する。

 関空の場合、第2滑走路を今年オープンさせるために、国交相と財務相が04年12月に交わした合意文書に「伊丹の格下げ」検討が盛り込まれた。大阪府幹部は「第2滑走路を強く求めた手前、(地元負担に)口をつぐむしかない」と打ち明ける。

 今後の焦点は負担の割合だ。伊丹空港の利用者の比率がおおむね大阪府2、兵庫県1の比率であるため、負担割合もこの割合にすべきだ、との考えが関係者の間で広がっている。兵庫県の井戸敏三知事も今月10日の記者会見で「大阪2、兵庫1」の割合について、「まだ議論する時期ではない」とクギを刺しつつ、「受益度からみて、一つの考え方」と理解を示した。

 両府県は法律上、空港の周辺自治体に負担の一部を転嫁することが可能だが、空港を市域に含む3市の態度は硬い。大阪府池田市の倉田薫市長は「地元市の了解なしに負担を求めるべきではない」とし、空港の撤去を迫ることも検討するという。同府豊中市の浅利敬一郎市長も「仮に国から負担を求められても、府と県で負うべきだ」。兵庫県伊丹市も「これまで通り国が負担すべきだ」(空港政策課)との姿勢だ。

 大阪府と兵庫県は90年に国と結んだ「存続協定」に「国が伊丹空港を直轄する」と記されているのを盾に地元負担に反対していた。このため、負担を前提にした話し合いを進めにくいという事情もある。

 国交省は「地元で決めるべき話」(航空局)との立場。大阪、兵庫両府県の空港担当者は「簡単に決められる話ではない」と頭を抱えている。

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