最終更新時刻:2007年12月19日(水) 15時54分

58

パブコメを書こう

公開日時:
2007/11/15 12:12
著者:
kenn

皆さんパブコメ書きました?私はギリギリようやく書き上げました。これから送信するところです。

まだ書いてない人は、ぜひ今すぐ書きましょう。11月15日必着です(あと12時間ってこと?)。そして、できればその内容をブログに公開しましょう。パブリックライティングのよい訓練になりますよ。

どう書いていいかわからない人は、MIAUのパブコメ案パブコメ・ジェネレータ、あとはクロサカタツヤさんのパブコメのすすめが参考になると思います。

そして、意見提出方法はこちら

自分のやつは、内容的にはちょっと不完全燃焼ですけど、時間切れ。もう少しグッと迫るコメントができると思ったんだけどなぁ。

一応、以下に公開しておきます。ご参考まで。

1.個人/団体の別
2.氏名/団体名(団体の場合は、代表者の氏名も御記入下さい。)
3.住所
4.連絡先(電話番号、電子メールアドレスなど)
5.該当ページおよび項目名
6.御意見

結論:ダウンロード違法化に反対します。

「第30条の適用範囲からの除外」(104ページ)にある「ストリーミング」と「ダウンロード」の区別ですが、この点を中心に整理させていただきたいと思います。

文化審議会著作権分科会の報告書
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/toushin/06012705/002/003/001.htm

の「一時的蓄積」をめぐる議論もみてみましたが、まだ十分に整理できていないとの感想を持ちました。

コンテンツ提供者の立場からみると、ストリーミングとは、

・基本的にはその場限りのコンテンツ消費体験
・リプレイするためには原則として再度そのサイトに行く必要がある
・コンテンツ提供者が差し止めればリプレイも制御できる

という定義かと思います。

一方、技術提供者の立場からみると、ストリーミングというのは一言でいえば

・データのダウンロード完了を待たずに再生を始めるという技術

というものです。

一時的蓄積(キャッシュ)はそれを実現するための枝葉末節な技術的詳細に過ぎません。

つまり、ストリーミングとはユーザのコンテンツ消費体験を改善するために、データの受信が始まったらすぐにコンテンツを再生すると同時にダウンロードも並行して実行するという技術的な工夫という位置づけになります。したがって、ストリーミングというのはダウンロードの一種であって、相互に排他的な概念ではありません。

では、コンテンツ提供者にとっての「ダウンロード」とは、上記のストリーミングと対比する意味合いにおいて、どのようなものとして見えているのでしょうか。

それは、

1)リプレイに制限がない
2)素材として編集・再利用が可能
3)第三者に転送が可能(違法コピーなど)

という3点に集約できると私は考えます。

ここで、1)については、コンテンツ提供者側にとってのデメリットは、「ストリーミングなら実現できたであろうリプレイのコントロールができない」になります。つまり、リプレイを制限したいという実需があるかどうか。一方で「閲覧のたびに帯域を消費しない」というメリットも見逃せません。このメリットは現実的なもので、それゆえにYouTubeの「一時的でない」ローカル・キャッシュ問題などが出てきているわけです。

次に2)ですが、これは既存の著作者を守るか、それとも新たな著作者の出現に期待するか、立場によって意見が分かれるところだと思います。しかし、あらゆる創作活動は過去に発表されてきたものに何らかの形で影響を受けてきたものである以上、社会的弱者であり、かつ新たなマーケットを開拓すべき未来の著作者に対して、むしろ編集権は積極的に認められるべきだ、と考えます。

たとえば、デジタル登場以前から複製しても劣化のない創作物として「文章」がありますが、文章において認められている「引用」およびパソコンによるコピー&ペーストが禁止されている国というものがあるとすれば、間違いなく創作生産性を落とし、ひいては国際的な競争力を落とすことは想像に難くありません。いずれにせよ、2)は本筋とはあまり関係がないようです。

さて、問題は3)です。これこそが、いわゆる「ストリーミング」との決定的な、しかも外部から観測可能な差異であると考えます。1)と2)が、それ自体では外部から観測不可能なアクティビティ、すなわち「コンテンツの私的利用」の範囲にとどまるものであったのに対して、3)はその(生あるいは編集済みの)コンテンツを「発表」するシチュエーションとなります。

商業用コンテンツをそのまま第三者に横流しすればそれは違法コピーですし、素材としての利用であってもパロディやサンプリングといえない明らかな剽窃であれば、元著作者と係争の余地はあるでしょう。

すなわち、いわゆる「ダウンロード」という形式のもつ性質は基本的に良いもので、これが具体的に問題となるのは、ストリーミングかどうかというダウンロード方法それ自体の区別ではなく、それを二次的に第三者に転送(アップロード)できてしまうこと、という点に尽きるのではないでしょうか。

ここまでのロジックが正しいとするならば、送信可能化権によるコントロールこそがコンテンツ提供者の意図に沿った最も効率の高い方法である、という結論になると思います。(なお、その前提として効率の悪いザル法を積み上げることは望ましくない、という共通認識があるものと期待しています。)

それから、海賊版の配布サイトとYouTubeなどの投稿サイトは明確に区別できるはずだという予断が報告書に見られましたが、そもそもYouTubeもかつては海賊版サイトのような扱いでしたから、そういう結果論にもとづいた主観的な判断をストリーミングの議論とむすびつけてしまうのは不適切と考えます。客観的事実だけをいえば、どちらもダウンロードであり、どちらも投稿サイトであり、違いといえばDMCAに準拠しているかどうかぐらいです。

ダウンロードの違法化に反対する理由は他にも色々ありますが、今回パブコメを書いた動機は、「ストリーミング」と「ダウンロード」という言葉については技術業界とコンテンツ業界で大きな「定義の不一致」が存在するということをまず再確認していただきたい、ということです。そして、いずれか一方の常識はもう一方の常識ではない以上、お互いが納得できる別の着地点を模索する必要があるのではないでしょうか。

以上

Steve Winwood / While You See A Chance

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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