医師不足で過酷な勤務を強いられている県立病院の勤務医確保対策として、県は来年1月から、県立2病院の医師手当と宿日直手当を大幅に増額することを決めた。ハードな勤務に耐えられず異動・開業していく医師が後を絶たないことから、勤務医師を少しでも引き留め、新たな医師を呼び込むのがねらい。
2病院の医師不足は深刻で、今年4月現在で正規医師9人、専攻科医員16人、後期臨床研修医10人の欠員が出ている。産婦人科や麻酔科、救命救急科などの医師は、救急対応や当直、自宅待機など日々の業務を少人数で回している。1人しかいない中央病院の新生児科医師の場合、年間93回の当直、900時間の時間外勤務をこなし、勤務実態は限界に達しているのが現状だ。
医師手当は69年に始まり、70年から97年までは役職に応じて月額5万5000円~8万5000円が支給された。しかし県の給与カットの影響で、97年以降は一律5万5000円、04年からは同3万5000円へ減額された。今回の改正では、医師手当の役職制を復活し、月額6万~11万円、宿日直手当も現行の1回2万円から3万円へそれぞれ増額する。この結果、医師の年俸は平均で約1500万円程度で、47都道府県では中間ベースとなる見込み。
改正により年額約7400万円の支出増となるが、県からの繰出しは行わず、診療報酬で対応する。月森憲三病院局長は「患者が増えて医師が減る恒常的な悪循環に陥っている。まずは今いる医師に引き続き勤務してもらうための引き留め策」と話している。【酒造唯】
毎日新聞 2007年12月18日