少子化対策事業として、独身者に出会いの場を提供する自治体が増えている。農家の後継者不足が深刻な山間部では、定期的にイベントを企画するなど、自治体も“愛のキューピッド”役に懸命だ。【伊澤拓也】
県は今月、企業と共同で独身限定のイベントを開く「ぐんま赤い糸プロジェクト」(あいぷろ)を発足させた。都道府県では4例目という。特徴は会社や法人などが県に会員登録する点。登録団体は独身従業員・職員へメールなどでイベントを告知するだけで、従業員らが実施団体に参加を申し込むため、プライバシーが保護される。既に数十社が登録。来年2月に初イベントを企画している。
05年の国勢調査では、県内の未婚率は男45・1%、女54・0%。25年前と比べると共に20ポイント以上増えており、少子化の一因となっている。また、国立社会保障・人口問題研究所の調査で「結婚できない理由」のトップは、男女とも「適当な相手にめぐり合わない」だった。このため、県が出会いの場の提供に乗り出したようだ。
市町村の取り組みは県よりも早い。最も先進的な下仁田町では、06年12月に長野県・野尻湖への日帰りツアーを企画、男女各25人が参加した。既に5回のイベントを実施。当初は町関係者らの内輪行事だったが、最近ではフリーペーパーで参加者を募るなど徐々に広がりを見せている。同町を手本に昭和村では委員会を発足させ、来年、イベントを行う。
また、嬬恋村は6月、村外の女性を招き、キャベツ収穫の農業体験ツアーを実施。「嫁探し」のきっかけづくりで、その後連絡を取り合うカップルもいるという。今月は「キャンドルパーティーナイト」を開いたばかりで、今後も随時、企画を展開していく考えだ。
県こども未来室の井野佳一室長は「交流の機会が少ない職種の人に、おせっかいをやいて、少子化対策の一助にしたい」と話す。
毎日新聞 2007年12月18日