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社会保障国民会議を設置 首相意向、労使含め1月に会合

2007年12月18日16時11分

 福田首相は18日、社会保障全般について議論する「国民会議」を新たに立ち上げる考えを表明した。会議は経済団体や労働組合の代表、学識経験者らで構成。年金など社会保障制度を支える財源としての消費税率引き上げに向け、給付と負担のあり方についての議論を喚起するとともに、参院第1党の民主党との話し合いの糸口を見いだす狙いもありそうだ。政府は、来年1月中に初会合を開く方向で調整している。

 首相は同日、仕事と生活の調和を図る働き方について議論する「ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議」で、「様々な立場の方々に幅広く参加いただき、社会保障のあるべき姿と、政府にどのような役割を期待し、負担を分かち合うのか、国民の方々が思い描くことができるような議論を行いたい」と語った。

 会議の趣旨について、首相は同日午前、首相官邸で記者団に「スウェーデンのような完備されたものがいいのか、中福祉・中負担がいいのか、議論してもらいたい」と述べた。消費税引き上げについては「とりあえず議論しない」とし、半年をめどに議論をとりまとめたいとの考えを示した。

 首相は「宙に浮いた年金記録」問題をめぐる自らの発言が「公約違反」と批判され、内閣支持率が急落。「国民の安心と安全」を掲げる政権だけに、年金をはじめ社会保障制度の信頼回復が最優先課題となっている。今回の国民会議の設置で、社会保障問題に積極的に取り組むという政府の姿勢をアピールする狙いがあるとみられる。

 町村官房長官は同日午前の記者会見で、扱うテーマについては「社会保障に関する雇用、年金、医療、介護、福祉、子育て、少子化対策、男女共同参画など、具体的な中身と政府の役割について議論していく」と述べ、個別テーマごとに専門調査会を設けることも検討する考えを示した。

 首相は11月の小沢民主党代表との党首会談でも安全保障に加え、社会保障分野での政策協議を提唱。与野党の代表を含む年金をテーマにした国民会議の設置を打診したが、小沢氏は「国会で審議すればいい。特定政党で協議会をつくることには応じられない」と拒否した。

 社会保障制度をめぐっては、来年の通常国会でも議論が再燃するのは必至だ。09年度から基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げることが決まっているものの、与党が13日に決めた08年度の税制改正大綱では消費税の引き上げについて詳しい記述を見送るなど、衆院解散・総選挙を控えて社会保障制度の改革論議が停滞している。

 一方、民主党は総選挙に向け、通常国会で税制問題を焦点に政府・与党側を追及する方針。首相には国民会議を足がかりに社会保障制度改革論議の機運を高め、民主党の協力を引き出そうとの思惑もあるようだ。

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