県は18日の県会衛生委員会で、県立阿南病院(下伊那郡阿南町)の療養病床(45床)を来年3月末で廃止する方針を明らかにした。同病院によると同日現在、計26人の入院者がおり、今後受け入れ先などを調整する。県は「医師不足と、国の医療制度改革に伴う対応」(県立病院課)としている。
同病院の療養病床は、医療保険適用の医療型15床と、介護保険適用の介護型30床。厚生労働省は、医療費抑制を狙いに介護型を11年度末で廃止する方針を示しており、地元の阿南町などはこれまで同年度までの存続を求めてきた。
しかし、03年度に10人いた同病院の常勤医師数は、退職などで本年度6人に減少。非常勤を含めても8・7人で、国の基準(10人)を割り込み、介護型の報酬が来年度から前倒しで打ち切られる見通しになったという。このため県側は、介護型の継続が不可能と判断。残る医療型についても「採算面から維持は困難」としている。
病院側は入院者について、併設の介護老人保健施設への受け入れや、入院期間90日以内の「亜急性期病床」を5床から10床に増やすことなどで対応する方針だ。
県の方針に対し、佐々木暢生・阿南町長は取材に、「受け入れざるを得ないが、利用者の行き先確保を考えると冷たい仕打ちだと思う」。下伊那郡南部5町村でつくる保健医療協議会長の松島貞治・泰阜村長は「現段階では県の方針を受け止めたい。併設の老健施設の増床を含め今後の対応をさらに考えてほしい」としている。