開館初日には大勢の市民が詰め掛けた=中国江蘇省の「南京大虐殺記念館」で2007年12月13日、大谷麻由美撮影
【南京(中国江蘇省)大谷麻由美】1937年の南京虐殺事件から70年を迎えた13日、中国江蘇省の「南京大虐殺記念館」が新装オープンした。20、30代の若い世代を含め、約8万人が訪れ、歴史問題への関心の高さを示した。
開館式典には政府関係者や事件の生存者、日本人有志ら約8000人が出席、25分で終了した。中国側は日本政府関係者に事前に「控えめにした」と説明しており、大規模式典で日本を刺激することは避けたようだ。
南京市内の中学2年、呉承偉さん(14)は「旧日本軍が本当に何をしたのかを知りたかった」と熱心に見学した。自宅でも歴史問題が話題にのぼり「歴史は身近だ」という。事件の生存者、李淑芬さん(85)は「記念館が大きくなった喜びと同時に、悲惨な思い出がよみがえる」と述べ、日本に対する複雑な思いを吐露した。
記念館は85年に開館した。参観者と新資料の増加に対応するため、05年から総額約3億2800万元(約50億円)で拡張工事を開始。広さは約3倍になり、展示館は従来の12倍以上の9800平方メートルに、写真は6倍近い3500枚に増えた。
資料や写真、映像などで事件を紹介する形式が多く「史実重視」の姿勢を強調した。また、展示には中日英の説明文が付き、音声解説が12言語になるなど国際色を高めた。
日本で異論のある犠牲者数「30万人」については、朱成山館長は「当時の軍事法廷などで実証済み」として、引き続き各所に掲示された。