職転々、趣味に金 分かれる人物像 佐世保の乱射容疑者2007年12月17日11時50分 長崎県佐世保市のスポーツクラブで散弾銃を乱射し、逃走後に自殺したとされる馬込政義容疑者(37)=同市船越町。知人らの話をまとめると、職を転々としながら趣味には金を惜しまないという生活ぶりが浮かび上がる。
馬込容疑者は89年に地元の工業高校を卒業後、東海地方の家電量販店や医療機関、水産加工会社を転々とした。実家近くの病院にも看護助手として勤めたが、いずれも3年以内に退職した。 この間の95年には通信教育の放送大学に入学し、発達教育学を学んだ。司法書士をめざして勉強した時期もあったという。99年には職業訓練施設に通い、溶接などの技能を取得したが、定職にとどまることはなく、最近は無職だった。 友人の一人は「自分の気持ちをあまり話さず、人付き合いは苦手だった。昔は『何々になりたい』と話していたが、最近は将来のことは話さなくなった」と話す。 趣味には金をつぎ込んだ。 03年からの5年間に1丁20万円や28万円の散弾銃を3丁と空気銃1丁を購入。散弾銃の弾2千発(約6万6000円)をまとめ買いしたこともあった。 7、8年前から通っていたという佐世保市の釣具店では、5万円ほどのさおを買い、ジャケットなども釣り具の高級ブランドでそろえた。店長は「道具はきっちりさせたいタイプなんだと思っていた」と語る。 今年6月には300万円程度の新車のワンボックスカーを100万円の頭金でローンを組んで、10月には数十万円の釣り用の小型ボートを購入した。こうした費用は、数年前に公務員を退職した父親の退職金や母親が借金して工面した金を充てたと、周囲はみる。 身長は約180センチ。自宅裏の離れで寝起きしていた。友人は「テレビやパソコンがあり、棚にDVDが並んでいた」と話す。 生活ぶりは、近所の人には奇異に映ったようだ。ある男性は「いつも庭で釣り具の手入れをしていた。話しかけても無視された」と振り返る。 近年は、夜中に他人の家でトイレを借りようとする、外で銃を持ち歩くといった奇行も目立った。「お前らが悪口を言うから自分は就職できない」と言われた住民もいる。 一方、知人らが抱いていた印象は「温厚で、おとなしい」で一致する。高校時代の同級生の一人は「口を荒らげて怒ったことはないし、けんかもしたことがない」。馬込容疑者が車を購入した自動車販売店の店長は「口数は少なめだが、スタッフとも気軽に話す良いお客さんだった」。釣具店の店長も「おとなしそうな、にこにこした人。のほほんとした感じ」と思っていた。 11月に馬込容疑者と偶然会った高校時代の同級生は、「しばらくぶり」と手を上げる馬込容疑者の陽気さに驚いた。「いつでも連絡して」と携帯電話の番号を書いたメモを笑顔で渡された。「こんなやつだったかな」と違和感を覚えたという。 PR情報この記事の関連情報社会
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