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終わらない被害:ドメスティック・バイオレンス/2 住民票“たやすく”入手 /兵庫

 ◇非開示は1年更新

 DV(ドメスティック・バイオレンス=配偶者や恋人間の暴力)被害者の多くが、加害者から逃れても「付きまとい行為」の被害を受ける。

 川本弥生さん(45歳、仮名)と長女亜紀さん(17歳、同)も、元夫の男(43)の家を出てから、職場や学校の前で待たれたり、車のタイヤをパンクさせられるなどの被害を受けた。付きまといは、男が長男諒君(当時15歳)を刺殺して逮捕されるまで続いた。

 転居先がなぜ男に分かったのか、弥生さんはずっと疑問に思っていた。市役所で驚くべきことを聞かされた。「法律上、住民票は誰でも請求できる。目的を確認してから交付しているが、元夫に『妻が養育費を払わず、連絡が取れなくなった』などと言われた場合は交付せざるを得ない」。住民票は転居前の住所でも請求でき、そこに転出先の住所が記載されていたのだった。

 DVやストーカー被害者に限り、住民票を他人に開示しないよう申請することはできる。しかし非開示の期間は1年で、更新のたびに警察の「被害者の証明書」が必要だ。「毎年、事件のことを詳しく話さなければならない。なるべく思い出さないようにしているのに」

 個人情報保護のため、住民票の交付は本人や家族らに限るよう住民基本台帳法が改正され、来年6月までに施行される。しかしDV加害者を「家族」から除外するような規定はない。非開示の1年更新もそのままだ。被害者にとって状況は何も変わらない。弥生さんはDV問題への社会の関心の薄さを痛感している。=つづく

〔神戸版〕

毎日新聞 2007年12月18日

 

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