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北朝鮮原子炉、燃料棒抜き取り開始 無能力化へ前進

2007年12月18日11時48分

 米政府当局者は17日、北朝鮮寧辺の核施設で無能力化作業に当たっている米チームが、5000キロワットの黒鉛減速炉(原子炉)で燃料棒の抜き取りを13日に始めたことを明らかにした。米政府は燃料棒の抜き取りを無能力化の中心的な措置と位置づけており、作業開始で「再稼働を約1年不可能にする」との目標に近づいたことになる。

 燃料棒の抜き取り自体は94年の米朝枠組み合意のもとでも行われたが、米政府の説明では、今回は別の新たな燃料を使えなくする措置も取ることになっている。北朝鮮との交渉に当たっているヒル米国務次官補は「再稼働を困難にする大きな効果があり、無能力化に真の価値を与える」と抜き取りを重視していた。

 無能力化チームは抜き取りに先立って、燃料棒を移し替える貯蔵プールの放射能除去作業を行った。ヒル氏によると、北朝鮮は抜き取りをすぐにも始めることを希望したが、安全確保のために米側の指示で開始を遅らせていたという。燃料棒は無能力化の後に行う「解体」段階で北朝鮮外に搬出する見通しだ。

 原子炉には約8000本の燃料棒があり、国務省当局者によると、すべてを取り出すのに100日程度かかる見通し。このため、作業完了は6者協議で設定した年末の期限を越え、来年3月下旬となりそうだ。ただ、米政府などは「安全性に配慮して作業を進めている」としており、期限超過を問題視しない立場だ。

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