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【社会】

1発20億、総計60億円 米高官 “上客”日本を高評価

2007年12月18日 夕刊

17日、ハワイ・カウアイ島の米軍施設で、イージス護衛艦「こんごう」の迎撃試験のため発射された中距離標的(半田滋撮影)

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 【カウアイ島(米ハワイ州)=半田滋】海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」が十七日午後零時十二分(日本時間十八日午前七時十二分)、ハワイ沖で行ったミサイル防衛(MD)システムの迎撃試験。米政府はカウアイ島にある「太平洋ミサイル射場(PMRF)」で弾道ミサイルに見立てた模擬標的発射を日米を通じて初めて公開し、世界で唯一の「MDパートナー国、日本」を優遇してみせた。 

 「お客さん」。米政府職員は同施設を利用する各国をこう呼んでいる。

 戦闘艦艇に搭載した艦対空や艦対艦のミサイル、魚雷などの性能を確認する模擬標的の発射場は米国でもカウアイ島にしかない。日本を含め各国艦艇が搭載するミサイルや魚雷は米国製。しかも米国は試験なしに運用開始を認めないから、どの国も必ずPMRFを利用する。

 費用は各国の負担だ。この日、「こんごう」が試射した一発約二十億円の海上配備型迎撃ミサイル(SM3)や標的になった模擬ミサイルなどの総計は約六十億円。その大半が米国に支払われる。

 今後、三隻のイージス護衛艦も米国で開発したMDソフトを搭載し、迎撃試験を行う。

 「MD対処艦」になるまで米国に払う改修費は約四百億円。米海軍は十隻前後のイージス艦をMD対処艦に改修しているが、費用の面から毎回試験するようなことはない。

 米国防総省ミサイル防衛局のオベリング局長は「米国とMD配備を議論している国は十二カ国ある。日本がリーダーシップをとってくれている」と述べ、「お客さん」の日本を高く評価した。

 迎撃試験に立ち会った防衛省の江渡聡徳副大臣は守屋武昌前防衛事務次官の汚職事件に関連して米国の武器メーカーを訪れ、水増し請求の有無を調査した帰途。試験終了後のコメントは英語を正文として発表し、米国への配慮をにじませた。

 

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