-あ-

【あいがよい】[合いが良い]《F》
 プラモデルの部品の継ぎ目が、隙間も段差もなくぴったりと合うこと。昔は胴体が反っていて、どう頑張っても接着を引きはがしてぱっくり口を開けてしまうキットとか、左右で長さが違うとか、継ぎ目が階段になっているキットとかはザラだった。現在のタミヤやハセガワのキットでは、『継ぎ目を埋める』という言葉自体が死語になっていたりする。分割されたキャノピーを組み立てて、蛍光灯の照り返しが継ぎ目でずれずにぴたりと繋がったりすると感動ものである。

【あいはない】[愛はない]
 747のエコノミークラスには、機首に向かって左からAからKまで最大で10列の席が並んでいる。AからKまでなら11列では?と思った方…鋭い!これはアルファベットの『I』が数字の『1』と紛らわしいので『I』を飛ばしてA・B・C・D・E・F・G・H・J・Kと並んでいる。
 このため、一昔前のホノルル線やグアム線では新婚さんがH・J列の席を割り当てられ「隣り合わせじゃない!」と大騒ぎになるのは日常茶飯だった。今では皆さん飛行機に乗り慣れた方ばかりでこういう騒動も昔話になったが…。
 まあ何のことはない「二人の間に愛(I)はない…」というだけの話…って、おいおい。H・J・K列は3人掛けなので「御相(I)席はございません」とは言えない。ちゃんちゃん…。

【アイブロウ・ウインドウ】ボタン 解説画像を別ウィンドウで表示
 眉墨を塗るためのテンプレートではない。古いジェット旅客機がコクピットのシールド(正面窓)の上に設けていた小窓。眉毛のようなのでアイブロウ・ウインドウである。天測航法を行うための窓ではなく、アメリカ連邦航空局が「ジェット機はスピードが速いから、プロペラ機より広い視界にしなさい!」と義務づけたために、視野角を稼ぐためだけに設けられた。全然意味がないのでこの規定も廃止され、最近作られた旅客機からは姿を消しつつある。眉毛剃っちゃったわけだ。最近多いよな、とりあえず眉描かないと火事から逃げ出すこともできない人…。

【アイベックス】[IBEX]
元のフェアリンク。2004年10月に日本デジタル研究所(JDL)がフェアリンクの株式の47%を取得し、商号を現在のIBEXとしている。IBEXとはJDLの主力商品である会計ソフトウエアIBEX出納帳から取っている。金を出して好きな社名に変えるってのは出資者の勝手だが、そんな名前の航空会社には乗りたくないなと思うのは私の勝手だ。

【アイムセイフ】[IMSAFE]
 パイロットのセルフチェック項目として挙げられる、Illness(病気)Medication(服薬)Stress(ストレス)Alcohol(アルコール)Fatigue(疲労)Emotion(感情)の頭文字。
 Illness(病気)風邪程度であっても、判断力、警戒心、記憶力は低下する。
 Medication(服薬)ほぼすべての薬は、パイロットの能力を低下させる。 
 Stress(ストレス)ストレスは、上空に上がっても解消できない。
 Alcohol(飲酒)アルコールは、パイロットの能力を大幅に低下させる。
 Fatigue(疲労)疲労は、重大なエラーを呼ぶ。
 Emotion(感情)怒り、悲しみは、正常な判断力を失わせる。
 パイロットではないという方も、車を運転する前には、是非思い起こしていただきたい「自分は安全か?」と…。

【アエロバティックき】[アエロバティック機]
 アエロバティックスという競技を行う飛行機…そのまんまである。簡単に言ってしまえばアクロバット飛行を行うために作られている飛行機。運用限界等指定書に示される耐空類別では飛行機曲技Aという種類に類別される。背面飛行やループ、ロールなどを行うことができる飛行機で、逆さまになっても飛び続けることができ、どのような飛行姿勢であっても燃料タンクからエンジンへ、燃料の供給が途切れないよう工夫がされている。当然、曲技飛行によって機体に大きな荷重がかかっても十分耐えうる強度も必要である。代表的なものに、AirRockでおなじみの複葉アエロバティック機、ピッツ・スペシャル、'80年代以降国際大会で賞を総なめにしている単葉アエロバティック機、エクストラ300などがある。複葉アエロバティック機は、翼面荷重を低くすることができ、限られたパワーで最良の運動性能を獲得することができる。対して、単葉のアエロバティック機は大出力のエンジンと巨大なプロペラが生み出す強烈なプロペラ後流を操縦舵面に当てて、半ば強引に機動を行うという違いがある。このため、普通の飛行機のエルロンは主翼の翼端寄りにあって主翼の半分程度の巾なのだが、単葉アエロバティック機のエルロンはプロペラ後流を受ける必要から、主翼の翼根から翼端にまで及ぶ巨大なものとなる。

【あおぐみ】[青組]《S》
全日空の系列に属する航空会社。全日本空輸とその直接傘下であるエアーニッポン、エアージャパン、エアーネクスト、日本貨物航空、エアー北海道、エアーセントラル、オールニッポンヘリコプターと、さらに国内線コードシェアで提携する北海道国際航空、IBEXエアラインズが(…まだ他にあったかな?)これにあたる。

【アオザイ】
 ベトナム女性が着用する絹織物の民族衣装。ベトナム航空ではキャビンアテンダントの制服に採用している(編み笠はないが…)制服は生地で支給され、会社指定の仕立て店に持ち込んで仕立てて貰うのだが、採寸箇所は十五箇所にも及ぶ。一見、飾りのないチャイナドレスにパンツの組み合わせといった感じだが、脇腹まで伸びる長いスリットと、殆ど余裕のないぴったりとした仕立てが特徴。ちょっとでも太るともう着られない、かといって痩せるとこれまた生地が弛んで格好悪い、恐るべき制服。

【あおファントム】[青ファントム]《F》ボタン 解説画像を別ウィンドウで表示
 英国海軍のローヤルブルー塗装ファントムではなく、ブルー濃淡の迷彩を施された、航空自衛隊第3航空団第8飛行隊(三沢基地)に所属する4機のF-4EJのこと。F-2の迷彩と同じものである。洋上で、上から見た場合の迷彩効果を期待したものと言われる。曇りの日にはかなり目立つ気がするが…。

【あかぐみ】[赤組]《S》
日本航空の系列に属する航空会社。日本航空インターナショナル、日本航空ジャパン、日本アジア航空、JALウェイズ、日本トランスオーシャン航空、JALエクスプレス、J-AIR、日本エアコミューター、北海道エアコミューター、琉球エアコミューターなどが(…まだ他にあったかな?)これにあたる。

【あかトンボ】[赤トンボ]
 「来るなら来てみろ赤トンボ」で知られる海軍九三式中間練習機のこと。昭和8年から20年まで5000機あまりが生産された。来るなら来てみろと言ってるけれど、非武装の布張り複葉機なので来られたらひとたまりもないことは誰の目にも明らかなのだが、これに爆弾くくりつけて特攻に使ったというから呆れ果てて物も言えない。上層部に提出する書類のための『お飾り』『員数合わせ』だったことは明らかで、そんなことで死んでいった搭乗員はたまったものではない。
 陸軍に比べ海軍はリベラルだったとか言う人々もいるが、所詮は同じ国の軍隊、大して変わりはないような…。

【あかぼし】[赤星]《F》
 旧ソ連軍機またはロシア軍機のこと。ただし帝政ロシア軍機は含まない。主翼と垂直尾翼に塗られた赤い星から。鉄のカーテンに覆われた(中に一機、日通の黄色いシートに覆われたヤツもいたな)怪しい機体に魅せられ、迂闊に手を出してしまうと資料がない、キットがない、で大変であった。ソ連が崩壊してロシアになって、少しはましになったが…。三倍速い赤い彗星のことではないし、ましてやジョニー・ライデン少佐機は白星である。(ガンダムから離れろ!)「完璧な資料なんか探してたら、赤星なんかいつまでたっても作れないよ!」「赤星のキットがストレートに組めるわけないだろ」「赤星の実機写真はないねぇ」という具合に使う。

【あがり】[上がり]《F》
 離陸上昇してゆく航空機のこと。離陸機を撮影した写真は「上がりのカット」という。

【あがる】[上がる]《F》
(1)離陸上昇してゆく航空機のこと。
(2)現像直後の写真。「ポジが上がる」などというように使う。

【アクションショット】[action shot]《F》
 狭義では、飛行機写真のうち、飛行中、タキシング中、滑走中など、飛行機が動いている状態を撮影した写真をいう。広義では、風景と絡めたり、流し撮りや、機体の一部分を切り取ったり、ランプで働く人を入れたり、シルエットにしたり、バルブ撮影などもアクションショットの範疇に含まれる。中でも流し撮りはアクションショットの代表例と言っていいし、ヒコーキ写真の醍醐味、必須テクと言っても過言ではない。静止状態で真横から撮影したスポッター写真以外、すべてアクションショットとする、いささか乱暴な考え方もある。欧米ではスポッター写真が主流だが、日本では離着陸時などのアクションショットが主流。一昔前まで、滑走路の端で巨大な望遠レンズを構えて、飛んでいる飛行機を撮っているのは間違いなく日本人だったが、最近はスポッター写真の総本山ヨーロッパでもアクションショットを撮る人が増えてきたらしい。飛行機は飛んでいてこそ本来の姿、ようやく諸君も気づいたか…。

【アグレッサー】[aggressor]
(1)敵軍部隊。本来の意味はこちらである。自衛隊では、対抗部隊という当たり障りのない言い方をする。なぜなら平和憲法を有する我が国に敵国などあり得ないから、という摩訶不思議な理屈によるのである。
(2)演習などで敵役を演じる専門の部隊。航空機の本でアグレッサーと書いてある場合は、大概こちらの意味である。仮想敵国の戦術を研究・再現し、演習で胸を貸すのがその役目。よって訓練相手に簡単に負けてしまうようではお話にならない。

【あしや】[芦屋]
 兵庫県芦屋市ではなく、福岡県遠賀郡芦屋町にある航空自衛隊芦屋基地のこと。ここの航空祭はブルーインパルスが来る割には、来場者数が少ないという変わった特徴がある。戦闘機が配備されている築城基地の陰に隠れた存在だからだろうか?ブルーインパルスも含めてT-4ばっかりだからだろうか?いや、今でも築城からのリモートだとみんな思っているのだろうか?いやいや、みんな兵庫県芦屋市に航空自衛隊の基地があると思ってそっちへ…んな奴いねえっての。ともあれ、のんびりゆったりとブルーインパルスを眺めるにはお勧めである。ただ、自衛隊基地周辺というのはおおむね道路事情が宜しくない傾向があり、芦屋も例外ではないので、帰りの渋滞が…。

【アストロ・ハッチ】
 古い中・大型機のコクピット後方上部に設けられていた透明ドーム。航法士という人がこの透明ドームに六分儀(セクスタンス)という測定器具を突っ込んで(機種によっては六分儀が常設されていた)星の見える角度を測り、現在位置を割り出していた。旅客機だとDC-4あたりまで付いてたようだが、'60年代にはその殆どが撤去され残った穴は埋められていたようだ。軍用機だと海上自衛隊のP-2J対潜哨戒機が装備していたので、日本では'80年代までは普通に見られた。ロシアには今でもまだゴロゴロいるらしい。

【アスペクトひ】[アスペクト比]
 縦横比。モニタのアスペクト比と言えば、モニタ画面の縦横比のこと。最近はずいぶん横長のものも多い。主翼のアスペクト比と言えば、主翼の縦横比。矩形翼(上から見て、長方形の主翼)の場合は、翼弦長(翼型の前縁と後縁とを結ぶ直線の長さ)を翼幅で割った数字である。よって、矩形翼でアスペクト比が1の場合、正方形の主翼ということになる。実在しないけどね。それ以外の楕円翼、テーパー翼、後退翼、三角翼など場合、翼巾の二乗を翼面積で割って求める。この数字が大きいと横に細長い翼になる。同じ翼面積の場合で、アスペクト比が大きいと、安定性は高いけれどあまり小回りが利かないし、アスペクト比が小さいと、小回りは利くけれども安定性が低いという傾向がある。グライダーや人力飛行機ではアスペクト比が大きな主翼が用いられ、ジェット戦闘機などではアスペクト比の小さな主翼が用いられる。ジェット戦闘機のアスペクト比は1〜3、ジェット旅客機でも7〜9だが、人力飛行機のアスペクト比に至っては20近くにもなる。翼巾の半分以下の高度で地面効果が起こるため、大きなアスペクト比は低空で効率よく揚力を生みだし、人力飛行機が飛行距離を伸ばす上で有利に働くからである。

【アッパーデッキ】
 747の2階席部分。1階席部分は『メインデッキ』という。アッパーデッキとは本来船の上部甲板のことを言う。上部甲板といっても船体部分における上部甲板なので、現代の船では相当下の方になる。というのは船体の上に上部構造物(ハウスと呼ぶ)が乗って、そこに乗員や乗客が乗るようになったのは汽船が登場してからの話で、帆船が活躍していた頃はそんなものはなく、船長も一等船客も貨物もみんな船体の中に押し込められていた。そのころのアッパーデッキなのである。その後ハウスが付くようになり、ハウスの1階、船体部分の屋上に当たる甲板をブリッジデッキ(たとえそこにもうブリッジはなくても)とかシェードデッキなどと呼び、アッパーデッキはその1階下になる。その後も汽船の大型化はさら進み、その上にボートデッキ、プロムナードデッキ、リドデッキ、ナビゲーションデッキ、コンパスデッキ…と、好き勝手に名前を付けてどんどん積み上げていったので、アッパーデッキという名前は、今では随分下の方に取り残されちゃっているのである。

【アテンションプリーズ】[Attention please]
(1)スチュワーデスが機内アナウンスをする際の決まり文句。ほぼ死語。
(2)TBS系列で放映されたテレビドラマ。『サインはV』の後を受け、1970年8月23日から1971年3月28日まで全32話放映、毎週日曜日、19:30からの30分番組。主演は紀比呂子。制作は「あの!」大映テレビ。職業系根性ドラマの原点であり、航空ドラマの始祖的存在にして伝説的番組。DVDで出してくれないかなぁ。これを見てスチュワーデスを志した方は非常に多かったが、現在もなお飛んでいる人は幼稚園の頃に見た人ぐらいで、もう数少なかろう。原作は細川知栄子(『王家の紋章』で今なお活躍中の細川智栄子である)週刊少女フレンドに連載されていたコミック作品である。
 同名の主題歌はザ・バーズが歌っていた「ひに光 ひらける波を 今私は 見る…」で知られる曲で、レコードは曲のみとドラマ入り、かおりくみこによるカヴァーの3種類が存在したようで、コレクターの方は注意が必要。2番の歌詞「朝焼けの 花粉を浴びて 今私は 着く…」は、目がかゆくなってくしゃみが出そうだ…。
(3)1979年にアイドル歌手の能瀬慶子が歌った「土曜日の闇の中 光の帯をひいて…」という曲。カラオケで『アテンションプリーズ』と言えば、ほとんどの場合この曲のことだが、「♪わぁたぁしを うぅけぇとぉめぇてぇ〜〜〜〜〜〜〜〜」と、歌うラムシェバックとかフゴイド運動とかフラットスピン(…ああもうぐちゃぐちゃ)とまでいわれる能瀬の唱法をいかに再現するかがポイントと言えよう。作詞は喜多条忠、作曲はなんとあの浜田省吾である。

【アドオン運賃】[add on fare]
 国際線と同時に利用する場合に適用される出発国側国内線の運賃。国際線と同時に予約する。世界中に山ほどある空港を、いちいち結んで直行運賃を設定していたら大変なことになってしまうので、国内線部分を別表で示し、国際線運賃に加算(アドオン)する。早割り運賃などよりも高くつく場合もあるので、比較して予約した方が良い。国内線を乗り継がなければならない人は必ず問い合わせること。国際線を利用する距離などによっては国内線分が無料となる場合もある。

【アナカン】
(1)Unaccompanied Minor。略してUM。付き添い人(同行する大人の乗客)のいない小児旅客。ちびっ子パイロットとか、お子様ひとり旅とかいうアレである。
(2)unaccompanied baggage。別送手荷物。航空貨物として運送される旅客の身の回り品など。割引貨物運賃が適用される。

【アネミック・ハイポキシア】[Anaemic Hypoxia]
 貧血性の酸欠症状のこと。献血をした直後はたいてい貧血気味になっているので、酸素を体内各部へ運ぶ役割を担う赤血球(正確には、赤血球に含まれる血中ヘモグロビン)が不足した状態になってしまっている。このため、地上での生活には差し支えなくても、大気の薄い上空に上がると酸欠症状を呈してしまう。400ccの献血をしたら72時間くらいは飛行を差し控えたほうが良いとされている。献血基準を満たさないほど貧血気味の人は、食生活を改善した方がいいぞ。ヘモグロビンの元となる鉄分を多く含んでいるレバーとシジミを食べなさい。スッポンの生き血を飲めとは言わないから…。

【アブガス】
 アヴィエーションガソリンの略。→航空ガソリン

【アフターバーナー】[After Burner] ボタン 解説画像を別ウィンドウで表示
 ジェットエンジンのタービン後方に設けられ、排気に残っている酸素を利用して、燃料を噴射し再燃焼させて推力を増大させる装置。戦闘機などに装備されるほか、コンコルドにも装備されている。大量の燃料を消費し、二段構えで二酸化炭素を大量生産する、地球に優しくない装備。燃料消費が激しいから,たいていは連続使用時間に制限がある。アフターバーナを使用している場合、ノズル内部がオレンジ色に輝き、エンジンの後ろから炎の尾を引いているのですぐわかる。
イギリスではリヒート(reheat)と呼んでいる。ロールス・ロイスの商標だそうだ。

【アフトファン・ジェットエンジン】ボタン 解説画像を別ウィンドウで表示
 通常のターボファンエンジン(殆どの旅客機のエンジン)は、ファンが一番前に付いているのだが、このファンを一番後ろに付けているジェットエンジン。通常のターボファンエンジンでは、エンジンの最後部にある低圧タービンから最前部のファンまでのシャフトが、高圧タービンと高圧コンプレッサを結んでいるシャフトの中を通る二重構造(ロールス・ロイスのRB211やトレントに至っては、三軸式なので三重構造)になっていて、とても複雑なのだが、低圧タービンの直後にファンを置くアフトファンならば、この二重構造を解消できる。但し、ファンの中心付近は高温の排気にさらされ、外周は冷たい冷気にさらされることになるため、タービン部とファン部分を一体とせず、間はリング状の部品で仕切られている。コンベア990、ダッソー・ミステール20/ファルコンやロックウェル・セイバーライナーなどに用いられているとか。そりゃまたずいぶんとマイナーなエンジンだなぁ…。

【アボート】[abort]
 トラブルなどで飛行を中止すること。離陸前であればグランド・アボートと呼ばれる。ガンダムSEEDで、カタパルトの信号機(?)にも表示されてるね。アボート回数÷飛行回数×100がアボート率である。当然ながらアボート率は低いに越したことはない。英和辞典でabortを引いてみると、真っ先に出てくるのは妊娠中絶。ま、似たようなものか。なお、インターネットの匿名掲示板で時折見かけるのはあぼ〜んである。利用規程に違反する書き込みを管理者が削除したという意味。あぼ〜んの語源には諸説あるが、abortを語源とする説が有力とされている。

【あぼ〜ん】《S》
習志野の陸上自衛隊第一空挺団。語源は空挺部隊を意味するAIRBONE(エアボーン)がなまったもの、というのはもちろん表向きで、インターネットの匿名掲示板で規約に違反した書き込みを管理者が削除した箇所に表示される、あの『あぼ〜ん』である。

【アムラーム】[AMRAAM]
 歌手の安室奈美恵を真似た女の子とは全然関係ない…ってずいぶん古いな。Advanced Midium Range Air to Air Missileの略。アメリカなどで採用されている新世代中距離空対空ミサイル、AIM-120のこと。

【あめいろ】[飴色]
 正しくは『飴色説』とすべきであろうか。零戦一一型〜三二型に当初施されていたとされる機体塗色。『緑褐色』あるいは『青畳色』と呼ばれていた塗色の上から防錆と塗膜保護のためにワニスが塗られ、赤みの強い緑がかったミディアムグレー(なんだそりゃ)とでも言うか、カフェオレに抹茶オーレを混ぜたような色とでも言うか、とても文章などでは表現できない色だったようである。インターネットで使われる16進数の色指定で言えば、#CCCC00とか#CCCC33が近いようである。しかも上塗りされたワニスの色によって、見る角度などでも多少色が異なるらしい。飴色説の根拠は世界各地の博物館に保存されていた零戦の外板なのだが、半世紀以上経過しているため、ワニスの変色などによって赤みがかった可能性もある。
 飴色説には異論もあり、その代表が『明灰白色説』だが、映画や模型用塗料でおなじみの明灰白色では明度が高すぎる(モノクロ写真では機体や尾翼に入った白帯とのコントラストがはっきりと出ている。模型用として市販されている明灰白色塗料の明度ではここまではっきり出ない)ため、灰色であったとしても、明灰白色よりももっと明度の低い色ではなかったかと思われる。ヘンダーソン飛行場近くで発見された坂井三郎氏の乗機『V-103』号機の外板は、いわゆる明灰白色に近い青みがかった薄灰色だが、半世紀近く湿地帯の土中にあったものなので、博物館の飴色の外板と同様、鵜呑みにすることはできない。
 わざわざ塗装の上からワニスを上塗りしたのは、九五式艦上戦闘機に施されていた銀塗装の塗膜が弱く、塩害による機体の腐食を防ぐために急遽ワニスを上塗りした経験からと言われている。灰色塗料の塗膜に充分な強度があることがわかり、ワニスの上塗りをやめたか、あるいは塗装工程を簡略化したことで、飴色と灰色の2種類の零戦が出現した可能性も否定できない。現に、機体の前後で色の(明度の)違う零戦が存在したことも確認されている。
 飴色説にせよ、明灰白色説にせよ、保存されていた外板から塗料片の成分分析をしたわけではないし、分析結果から当時の塗料を再現して耐候性加速試験を行っているわけでもない。科学的なアプローチを抜きにして、半世紀以上も前の、どう変色したかわからない外板と、曖昧になった記憶と、当時の公文書の解釈とがぶつかり合っている『神学論争』だから、永久に正解は出ないだろう。『邪馬台国はどこだ?』ってのとあまり変わらない話である。たった半世紀前の話なのだが…。

【あらぎょう】[荒行]《F》
 マイレージサービスのマイルを稼ぐ『修行』のひとつ。長距離国際線やアッパークラスを利用して、マイルを一気に稼ぐことを言う。

【アリス・エア】[Alice air]ボタン 解説画像を別ウィンドウで表示
 中日本エアラインサービスのコールサイン。航空ファンは航空会社をコールサインで呼んだりするが、ここの場合誰もアリス・エアなんて洒落た呼び方はしていない。胴長短足のダックスフントみたいなフォッカー50の外観から、ポチ!なんぞと呼ばれているのである。

【アリタリア】[Alitalia]
 →Alitalia

【アルクラッドざい】[アルクラッド材]
耐食性で純アルミにやや劣るジュラルミンなどのアルミ合金に耐食性を持たせるために、アルミ合金材の周りに耐食性に優れた純アルミを貼り付け、熱間圧延(アルミ合金の場合、インゴットを400℃〜500℃に熱してローラーで押しつぶし、板材、棒材などに伸ばす)したもの。

【アレスティング・フック】 [arresting hook]
 着艦フック。艦載機の尾部に付いているフックのこと。空母の甲板に渡されたワイヤーロープに、機体尾部から降ろしたアレスティング・フックを引っかけ、艦載機に制動を掛ける…つ〜か、失速させて甲板上に落とすと言うべきか…。アレスター(arrester)あるいはアレスター・フック(arrester hook)と呼ぶ場合もある。ワイヤーの端はリールに巻き取られた状態で、アレスティング・フックで引っ張られることによりリールから引き出されるが、リールには電磁ブレーキが掛かっているので機体を停めることができるというわけ。最近では、ワイヤーの端を梃子に掛け、ワイヤーが引っ張られると梃子が油圧シリンダーのピストンを押し込み、制動を掛けるものもある。いずれにせよ、ワイヤーは固定されてはいない。いきなり大きな力でテンションを掛けると、如何にワイヤーが頑丈でも簡単に切れてしまうから制動をかけて徐々に(…と言ってもごく一瞬の出来事だが)機体にブレーキを掛ける。あのワイヤーが切れたら一大事で、ギターを弾いている人なら何となく想像がつくと思うが、あの細いギターの弦でも手を切るのだから、弾けたワイヤーで飛行甲板は血の池火の海の地獄絵図となってしまう。余談だが、このフックが飛行機マンガでは様々に活用される。滑走路の舗装に食い込ませて機体を停めるとか、逃走する車に引っかけて捕まえるとか、敵機のコクピットにぶち当てるとか、地球に落下してくる人工衛星をふんずかまえるなどなど、もうやりたい放題何でもありの便利な装備である。説明書をよく読み、用法を守って正しく使いましょう。

【アンカレジけいゆ】[アンカレジ経由]
 →ポーラールート

【アンカレジのうどんや】[アンカレジのうどん屋]
 寒い時はうどんに限るねぇ…ってわけでもあるまいが、北極経由便で賑わったかつてのアンカレジ空港には、日本語と韓国語を自在に操る名物おばちゃんのうどん屋が店を開いていて、飛行機が腹ごしらえをしている間、乗客もうどんで腹ごしらえをすることができた。立ち上る湯気で隠しながら、久しぶりの醤油とだしの味に涙した旅人も多かろう。
 現在のアンカレジは、貨物便の中継基地となっており、行くのも一苦労。アンカレジといえば必ず話題に上った名物のうどん屋も既に廃業していたそうな。

【あんぽのおか】[安保の丘]
 米軍基地を見下ろす丘にはたいていこの名が付いている。だからといって国土地理院の地図に載るような名前ではない。見晴らしは素晴らしく良いのだが、演習などの際にはデモ隊と機動隊に挟まれるので危険なことこの上ない。こんな場所で写真を撮ろうなんて絶対に考えてはいけない。なお、嘉手納基地を見渡す丘は『安保の見える丘』だそうである。

-い-

【イートップス】[ETOPS]
 →ETOPS

【イグルー】[Igloo]
 
一機100億円の戦闘機…それは『イーグル』パレット積み貨物の上に被せ、貨物を風雨から保護するグラスファイバー製の覆い。地上の貨物設備が良くなった御陰なのか、最近見かけないねぇ…。イヌイットが狩りの時に作る氷のドーム小屋が名前の由来。

【イジェクション・シート】
 射出座席。よくインジェクションシート、なんて言ってる人がいるけど、正しくはイジェクションシート。インジェクションシートだと、射出成形で作った座席って、それじゃプラモデルだ。→射出座席

【イストリヴィーテリ】[Истребитепъ]
 ロシア語で戦闘機のことだが、どちらかというと『戦争をする飛行機』ぐらいの意味のようだ。「先がとんがった飛行機はみんな戦闘機!」「軍艦はみんな戦艦!」「大砲積んでキャタピラ履いてれば戦車!」みたいなもんだ。

【イストリヴィーテリ・ピリフヴァーチク】
[Истребитепъ пепехватчик]

 ロシア(旧ソ連)の戦闘機で、防空軍に所属し、領内に侵入してくる(…と、想定される)敵爆撃機を迎撃する任務を負った戦闘機を言う。要撃戦闘機とか迎撃戦闘機のことである。かつて函館に亡命してきたMig25フォックスバットとか、サハリン沖で大韓航空機を撃墜したSu-15は、イストリヴィーテリ・ピリフヴァーチクにあたる。わざわざ広大なロシアの奥深く、クレムリン目指してのこのこ侵入する爆撃機ってのもICBM(大陸間弾道弾)やSLBM(潜水艦発射弾道弾)の登場で非現実的なものになったので、最近イストリヴィーテリ・ピリフヴァーチクとして作られた戦闘機は殆どない。

【いたづけ】[板付]
 板付飛行場のこと。現在の福岡空港である。高齢の人などはB777が太平洋を飛び交うこのご時世に今なお「板付まで飛行機で…」なんて言っていたりする。板付という地名が似合うのは、DC-6とかバイカウントあたり…百歩譲ってよど号の頃までだと思うが…。んでまた最近の旅行代理店の従業員も勉強が足りないから「そんな空港、ありませんよ」なんて平然と言い放ったりする。「無いはずはない!福岡の板付だ!」「じゃ、代わりに福岡空港で…」代わりも何も、そこが板付なんだって…。福岡空港内には航空自衛隊の春日基地飛行場地区と呼ばれるエリアがあり、板付飛行場と呼ばれていた名残をとどめている。西部航空方面隊支援飛行隊および航空救難団春日ヘリコプター空輸隊がここに所在している。

【いたのサーカス】[板野サーカス]
 ロボットアニメによく見られる独特の演出のひとつ。無数のミサイルが白煙を曳いて視点を中心として渦を巻くように飛んで行き、画面の端から次々と爆発してゆく様子を、アニメファンはこの演出を行った特技監督板野一郎氏の名を冠してこう呼ぶ。自転車で走りながら、ロケット花火を後ろから水平撃ちしてもらってどのように見えるかを確かめたというエピソ−ドもあるけど、よいこのみんなは真似しないようにね。実物で実際に行われることはなく(ミサイルのムダだっての)アニメだけのものである。よって航空用語ではなく、アニメ用語である。

【いたみくうこうのタクシー】[伊丹空港のタクシー]
 伊丹空港は、兵庫県伊丹市と、大阪府豊中市にまたがって位置している。そのため、兵庫県のタクシーと大阪府のタクシーが空港ターミナルに乗り入れ、それぞれ別々の乗り場を設けていて、神戸へ行く場合は兵庫県のタクシー乗り場、大阪市内へ行く場合は大阪府のタクシー乗り場から乗る。ややこしいのは『滑走路の端』まで行くような場合で、ちょうどこのあたりで府県境が入り組んでいるので運転手に拒否される場合がある。タクシー営業を所管する運輸行政の欠陥で、運転手のせいではない。
 このような場合、空港ターミナルビル内の案内所には道路地図が備えられているので、それを見せて貰い、自分が向かう場所の市名、所番地を確認し、運転手に告げる。たとえば、有名な32エンドに行く場合は『大阪府内近距離タクシー乗り場』のタクシーに乗り「豊中市原田中(はらだなか)2丁目、原田橋まで」と言えば良い。

【いちけんいちくうこう】[一県一空港]
 「すべての県に空港を!」という感動的なスローガンのもと、日本全国で熱烈に展開されているゼネコン万歳(マンセー)な公共(?)事業。埼玉や奈良のように予定がない県の分は『北九州新空港』のような一県二空港できちんと埋め合わせているところが、お役所らしいっちゃ、らしいね。新幹線のトンネルの真上に作られる『静岡空港』のように、どこに飛行機飛ばすつもりなのかよくわからない空港とか、『びわこ空港』って、飛行艇専用ですか?とか、『能登空港』って、鉄道すら廃止になる所で誰が乗るんですか?とか、さらに『神戸空港』に至っては「関西空港神戸沖案の夢よもう一度!」…って意地で作っているんですか?とか。…もういいかげんにしてくれぃ。こんなことに使っているから、日本の航空燃料税と着陸料は世界一高くて、外国の航空会社がどんどん逃げてしまうんだ。そんなものより、アジアの核として相応しい首都空港の整備が先だろう。

【いっかつじょうがい】[一括場外]
 機材故障や天候不良などで欠航となった場合に、出発待合室にいる当該便の乗客を集めて事情を説明し、ご理解をいただいて待機場所(たいてい航空会社の用意した空港近くのホテル)に、これまた航空会社のかき集めたバスでご移動を頂き、運航の再開か代替手段が確保できるまで待機してもらうこと。国内線の場合は、大概は払い戻して新幹線でどうぞと言えば片が付くからまあいいいとして(…新幹線があればな)国際線の場合は出国手続きを終えてしまっているので、旅券には出国取り消しのスタンプを押さなきゃならないし、出発はいつになるかわからないから待機場所から一歩も動けないし、乗客の怒りは爆発寸前だし、地上職員にとっては…想像したくない事態である。

【いっきとうせん】[一機当千]
 正しくは一騎当千だ。一騎で千人の敵と渡り合うほどの凄腕、という意味だ。戦闘機が積んでいる機銃弾は500〜600発ぐらいだから、一発ずつ当てていっても千機の敵機には到底足りないぞ。二機ずつ串刺しにするか?

【いっちょんちょん】[144]《F》
 『いちよんよん』ではなく、なぜかいっちょんちょんと読む。縮尺1/144の模型のこと。全長50m前後の機体を1ft程度の模型にすることを目的としたため、このような半端な数字になったと言われる。単発レシプロ機だと5cm程でお手頃だが、小さいだけに塗り分けは細かくて大変。迷彩塗装ともなれば地獄の荒行である。全長18mのガンダムなら14cm程度だが、全長140mのデンドロビウムを1/144の模型にすると、なんと1m近くにもなる。そんなものどこに置くんだ。ワイドボディ機ではいささか大きく、やはり全長40〜50mの中型旅客機などが最適なサイズ。童友社のフォッカーF27フレンドシップやハセガワのYS-11がこのスケールで、日本型Nゲージ鉄道模型(1/150、細かく見ると1/140〜1/160程度のばらつきあり)の豊富なアクセサリーを使ってローカル空港のジオラマを作ると楽しい。最近巷でよく見かけるお菓子のおまけ戦車(戦車のおまけがお菓子、との説もあり)も1/144だが、同スケールのレシプロ戦闘機と並べてみると、飛行機は意外に大きい。

【イノップ】[INOP]《S》
 INOPerationの略で、故障のこと。転じて使えない人。
 故障にまつわる話や失敗談を集めたのが有名な『イノップ物語』である。(ウソ)

【イレブン】《F》
 マクダネル・ダグラスMD-11。外観上は胴体をストレッチしたDC-10だが。操縦機器も大幅に変更されて運航乗務員2名での操縦を可能とし、計器はグラスコクピットと呼ばれるモニタ表示を主体としたものに変更されている。11は11でもYS-11は『YS』(ワイエス)と呼ぶ。

【いわくにあがり】[岩国上がり]《F》
 岩国基地Runway20からの離陸直後、基地北側にある帝人の工場群を避けるために行う上昇旋回。飛んでいる飛行機の背中が撮れるので軍用機ファンの人気が高い。空気中に適当なお湿りがあると、ベイパーがきれいな弧を描いてなかなか絵になる。ヘリやハリアーには関係ない話で、P3CやKC-130は旋回が緩やかでイマイチ絵にならず、FA-18ホーネットばっかりなのが難点。海と川に囲まれた基地なので撮影場所が限られ、ホーネットを画面一杯に写すなら400mm以上のレンズが必須。 岩国基地は沖合展開工事が進んでいるので、撮りに行くなら今のうちである。 なお、足場があまりよくない撮影場所もあるらしく、年に数人、カメラを抱えたまま海にディッチング(着水)してしまったりしているらしい。

【インアド】[INAD]《S》
 INADomissible passengerの略。入国拒否者。イナドと言う場合もある。入国審査で入国を拒否された乗客が出た場合、出発地への送還は運んできた事業者(航空会社や船会社)の責任で行わなければならない。そうならないように航空会社はチェックインの際にパスポートは言うに及ばずビザから帰りの航空券まで徹底的にチェックするのだが、それでも入国拒否折り返し便で即送還という人は後を絶たない。

【いんずう】[員数]
武器や装備品の定数。イージス護衛艦からシーツに至るまで装備品には各部隊が保有する定数というモノがあり、保有すべき数量と年数がそれぞれ定められていて、会計検査の時に並べて過不足や不具合がないかチェックされる。だから壊れたからといって燃えないゴミとして捨てたり、マニア向けにネットオークションで売ったりしてはいけない。定数と合わないと大騒ぎになる。ただ世の中というのは不思議なモノで、なぜか定数より実数の方が多くなったりする。これも問題になるので、員数より多いモノは員数外としてどこかに隠し、会計検査をやり過ごそうとするのだが、実は正規の装備品ではなくよく似た私物が紛れ込んでいただけのことで、検査官から指摘されてかえって藪蛇になるってのもよくある話。

【インターバル】[Interval]
 フライトとフライトの間。国内線で即時折り返しお茶一杯の暇もなしの数十分もインターバルなら、ステイ先で休日やスタンバイを挟んだ数日に渡るような場合もインターバルである。この辺の定義は航空会社によって異なるようである。自宅に帰れる場合はインターバルとは言わないようである。

【インフォつき】[info付き]《S》
 要注意人物などを指して用いる。「今日のチーフはinfo付き」とか「あのシップはinfo付き」というように使う。

【インファント】[INFANT]
 幼児。国際線では旅行出発時点で2歳未満。国内線では3歳未満。座席を使わず同伴の大人が抱きかかえているなら運賃は普通運賃の10%、座席を使う場合は小児運賃を適用する。抱きかかえていれば安上がりだからといって、機内で何時間も子供を抱きかかえているわけにはいかないし、急に機体が大きく揺れた場合などは抱えていられるものではないのは自動車事故の場合と一緒。ヘタをすると子供がお母さんのエアバッグになってしまうので、運賃をケチって抱きかかえているのはやめよう。かと言って大人用の座席にそのまま幼児を座らせるのも危険だ。じゃあ、チャイルドシートは用意されているかというと、多くの航空会社では乗客の持ち込んだチャイルドシートに使用承認を与えるというスタンスである。いったいこいつら何様のつもりなんだろうね。基本的に乳幼児の身体を固定できる設備はバシネットという、壁に取り付け、生後6ヶ月程度までの乳児が使えるベビーベッドしかない。子供運賃であろうと運賃を頂くなら、それなりの配慮をして頂きたいものである。航空会社って、安全を大声で叫んではいるけれども実態はこの程度なのである。運賃を収受する以上、航空会社側がチャイルドシートを用意するのが筋だと思うのだが…。結局乗客が小児運賃を払った上でチャイルドシートを持ち込み自衛するしかない。市販されている自動車用チャイルドシートの一部には、アメリカ連邦航空局(国土交通省ではないところが、トホホである)の航空機内使用認可を受けたものがあるので、チャイルドシートメーカーに問い合わせてみるといいだろう。

-う-

【ヴァルキリー】[Valkyrie] 
 1950年代に開発されたアメリカの超音速戦略爆撃機XB-70のことを主にいう。当時の最先端技術をありったけぶち込み、マッハ3での飛行が可能な爆撃機だったのだが、笑ってしまうほどの高額な機体価格や、ICBM、SLBM、巡航ミサイルなどの登場などにより計画はキャンセルされ、結局試作機2機が製作されただけで終わった。だから頭に試作を表す『X』がついたまま。
 たったの2機だけ製作された試作機だが、その製作費用は17億ドルとも言われる。17億ドルという額は当時のアメリカに流通していた通貨を、銀行の金庫から子供の貯金箱、果てはおとーさんのポケットの小銭に至るまですべてかき集めてもまだ足りないぐらいだそうで、既に国家予算の規模さえ越えてしまっている。量産されれば単価は下がるとは言え、ものには限度ってものがある。何しろこのプロジェクトを推進したカーチス・ルメイという米空軍の偉いさんは、大戦中に日本本土への無差別爆撃を命じた前科があり、生まれてこの方モノの加減ってのを知らずに生きてきたようなとんでもない御仁だった。まあ、何はともあれ、量産されなくて良かった良かった。
 で、そのヴァルキリーに驚き、ソ連が迎撃用に開発した戦闘機がMig25フォックスバット、で、そのMig25の対抗馬にアメリカが作った戦闘機がF-15イーグルで、そのF-15の登場に慌てたソ連は…冷戦時代はこんなことが延々と続いたわけだ。いつの間にか爆撃機そっちのけになったが…。
 余談だが『バルキリー』は、テレビアニメ『超時空要塞マクロス』の戦闘機、VF-1のことなのでご注意を…。

【ウィルコ】[WILCO]
 i WILl COmplyの略。って読みづらいな。I will complyなのだが…「了解。指示に従う」という意味。

【ウイングレット】[winglet]
 翼端に取り付けられた小さな翼。翼端板とも呼ばれているが、翼端板は翼の上面に巻き上げられる空気の流れを堰き止め、翼端渦を抑えるもの。フォーミュラカーのウイング端に付いている板が翼端板。1930年代には既にその効果が確認されていたが、アスペクト比の大きな飛行機の翼では翼端板は殆ど効果がない。効果を発揮するには翼巾の半分以上の高さが必要で、このため飛行機の主翼に翼端板が付けられることはなかった。ウイングレットは翼端で渦を巻いている空気の流れを、揚力と推進力に変えるもの。ハイテク旅客機の象徴みたいに見られるが、それ以前の旅客機にも改造で取り付けられているケースもある。
 一時期、鳥人間コンテスト出場機にも取り付けられていたが、あの速度での効果のほどは疑問。取付強度不足で脱落する機体が続出したため現在ではほとんど取り付けられていないようだ。飛行機の設計って難しい…。

【ウェザリング】
 模型にオイルや埃、煤などによる汚れを塗料などで再現し、リアルに見せること。ふき取りができて下地の塗膜を痛めにくいエナメル系塗料などがよく用いられる。茶色や灰色を凹み部分に塗りつけてはふき取り、隅の部分に拭き残した塗料を汚れに見立てたり、ごくほんのり薄く吹き付け塗装したりする。前から後ろへ汚れが流れた感じに暈かすとスピード感が強調されてかっこいい。実機では上から雨水に乗って流れてきた汚れと、下からは滑走中に路面から跳ね上げた汚れが集まって、腹の辺りがもう真っ黒ってことはままあるけど、やりすぎると小汚くてみすぼらしいだけと言う結果に終わりかねないから、ま、程々にな。塗料は乾くと色が変わるから、目立たないところを予定より薄め、控えめに汚してみて様子を見たほうがいいと思うぞ。

【ウェットサンプ】
 エンジン下部にオイルパンを設け、ここに潤滑油を貯めておき、ポンプによる汲み上げやクランク軸による跳ね上げでエンジン上部へ潤滑油を供給する方式。航空機用レシプロエンジンでは飛行姿勢によっては潤滑油の供給不良を起こすおそれがあることや、星形エンジンや倒立V型エンジンでの採用は不可能(下向きのシリンダーがオイル漬けになってしまう)なことから、軽飛行機用水平対向エンジン以外ではあまり使われておらず、潤滑油タンクをエンジンの外に置くドライサンプ方式が主流。ウェットサンプ方式は使用する潤滑油の量が少なくて済み、構造が単純で製造や維持にかかるコストを削減できることから、自動車用エンジンや汎用エンジンなどに広く用いられる。

【ウェットリース】
 航空機のリース形態で、運航乗務員、客室乗務員、機体整備等を含めたもの。特定の時期に需要が集中し機材も乗員も不足する場合などに見られる運航形態。系列傘下にチャーター専門航空会社を設立し、チャーター運航のない場合に機材を借りるような場合もある…が、チャーター需要が予測を下回ってしまい、ウエットリース専門のようになってしまった航空会社もある。機材のみを借り乗務員は自前で用意する場合は『ドライリース』という。ウエットリースに損害保険を含めたリース形態を『ACMIリース』と呼ぶ。

【ウエバラ】《S》
 Weight & Balanceの略。航空機には燃料も乗客も貨物も重心を外さないようにバランスよく、かつ、当たり前だが重量オーバーをしないように積み込む必要がある。同じ機体でも到着地の天候や滑走路の長さなどによって搭載できる量は制限されるし、YS-11クラスの飛行機だと、飛行中に通路を一人が歩いただけでコクピットクルーにはわかると言われるくらい、そのバランスは繊細である。バランスが取れているからといっても、重量物を端に置くと慣性モーメントで機体がふらついて、航空機ではなくやじろべえになってしまうので、重いモノはなるべく重心近くに置く。いきなり重いモノを後部から積み降ろしをすると、機体がしりもちを付いてしまうから積み降ろしの順序も考えなければならない。いろいろ気を遣う大変な仕事なのである。団体さんがキャビンのど真ん中でどんちゃん騒ぎをしているのも、大きな荷物を機体の重心近くに置いているからだと思えば、少しは溜飲も下がるかな。ちなみに中・大型旅客機では赤ん坊からKonisikiに至るまで、乗客一人あたり手荷物込み75kgでウェイト・アンド・バランスの計算をするが、小さな飛行機だと乗客の体重まで量って席を決めないと、機体のバランスが取れなくなってしまう。なお、搭載品の優先順位は1.燃料と乗務員(当たり前だ)2.郵便物(民間航空創設以来の伝統である)3.乗客(こんなに五月蠅い搭載品は他にない)とその手荷物(載せなかったら、五月蠅い搭載品が大騒ぎである)機内で乗客が消費する飲食物等(足りなくなると、五月蠅い搭載品がさらに騒ぎ始める)4.貨物の順である。こうしてウェイト・アンド・バランスを決定し、ロードプラン(搭載計画書)を作成して、その通りに搭載した後、ロードプランに機長の承認をもらって出発準備は完了する。航空機ってのはなかなか難儀な乗り物なのである。

【ウエバラさん】《S》
 ウエバラとはWeight & Balanceの略。搭載品の重量を計算し、搭載位置を決める人。よって上原さんとは何ら関係ない。

【ウォーバーズ】
 戦う鳥、すなわち軍鶏のこと…ではない。もちろん軍隊で通信に用いられた伝書鳩でもない。大戦機のことで、ここで言う大戦とは第二次世界大戦のことである。アメリカ・イギリスなど戦勝国の機体は数も多く、愛好家や博物館によって大切に保管されていたものが多いからまだいいとして。ドイツ・日本などの敗戦国の機体は世界各地にがらくた同然でしまい込まれていた(中には、野ざらし雨ざらし、さらには地中に埋まっていた物もある)部品や設計図をかき集め、足りない部品や飛行に耐えられない部品を新製して復元し、モノクロ写真しかない日本機は何色で塗られていたかを喧々囂々と議論し…と大変な苦労を要する。こうなると平安時代の文化財の修復より大変である。

【うどんですかい】[UDON de SKY]
 日本航空と日清食品が共同開発したカップ麺。機内食の常識を根底から覆し、ケータリング業界を震撼させた革命児…一見何のことはないミニサイズカップ麺なのだが、気圧が低く沸点が下がってしまう機内で食べるカップ麺なのでその辺は工夫されているようだ。同シリーズに『そばですかい』『ラーメンですかい』がある。
 市販もされており、日本航空の通信販売の他空港売店『ブルースカイ』東京・有楽町の『JAL PLAZA』でも買える。それにしても機内でみんなして一斉にずるずるとカップ麺をすする光景…想像しただけで笑える。

【うどんや】[うどん屋]
 うどん屋といえばかつてはアンカレジが有名だったが、実はシアトルの空港にもなかなか怪しいうどん屋がある。巨大なコップ(野球場などでコーラを入れて売ってるようなあのでっかいコップ)に、真っ黒なつゆと、ぶつ切りになってしまったうどんが入っている。食べづらいこと夥しいが、イチローの応援に、あるいはボーイング工場見学のついでにいかが?

【うめぼしくん】[梅干君]《F》
日本国の政府専用機のこと。インターネットの匿名掲示板で使われる。垂直尾翼の日の丸が名前の由来。『梅干君』のほか『梅干ジャンボ』とか、単に『梅干』と呼ばれる場合もある。軍用機ファンの中には、フェリーや訓練時に使うコールサイン『CYGNUS1』(20-1101)『CYGNUS2』(20-1102)で呼ぶ人もいる。
さらに、コクピットのてっぺんから旗を立てている場合は『ハタ坊』とも呼ばれるとか。

【うんがぼり】[運河堀]《F》
(1)プラモデルのパネルラインの凹モールドが、深くて幅広すぎる状態。マスキングしたその下から塗料が流れ込み塗装失敗の原因にもなる。『ドブ』ともいう。その隣のリベットのモールドはザラザラで『大根おろし』になっていたりする。ガン○ムじゃないんだから…。
(2)プラモデルのパネルラインの凹モールドが、スケールの割に狭くて浅すぎるような場合に、モールドを掘り直すこと。あまりに浅いと塗膜でモールドが埋まってしまうとはいえ、いろいろ難儀である。

【うんようじゅみょう】[運用寿命][service life]
 航空機メーカーが安全性を保証する期間の目安として定めた寿命のこと。機種によって異なるが、おおむね就航から20年程度と考えてよい。ボーイング747の場合では、就航から20年以上、飛行回数2万回以上、飛行時間6万時間以上のいずれか一つでも該当する機体は運用寿命を迎えたこととされる。運用寿命を超える機体は『経年機』あるいは『エイジング・エアクラフト(aging aircraft)』などと呼ばれる。

-え-

【エアシステム】
 日本エアシステムのコールサイン。新塗装のJAノLになってもエアシステムのままだから、ややこしいことややこしいこと…。

【エアバン】《F》
 エアバンド、またはエアバンドレシーバーの略。航空無線あるいは航空無線受信機のこと。→AB

【エアバンド・レシーバー】
 航空無線で使用している周波数帯の受信ができる受信機。→広帯域受信機

【エアフォース・ツー】[Air Force 2]
 アメリカ合衆国副大統領が塔乗する空軍機のコールサイン。副大統領搭乗中のみ使用され、副大統領が搭乗していない場合のコールサインはSAM(サム:Special Air Missionの略)+登録記号を使用する。
 「只今、副大統領を乗せたエアフォース・ワンが到着いたしました」とニュースで報じていたら、機内のどこかに大統領が潜んでいると思って良い。(ウソ)

【エアフォース・ワン】[Air Force 1]
(1)アメリカ合衆国大統領が塔乗する空軍機のコールサイン。有名な白と水色の専用特別機だけでなく、大統領搭乗中の空軍機ならば『エアフォース・ワン』である。1996年1月にクリントン大統領がボスニアへ行った時に搭乗したC-17も、コールサインはもちろん『エアフォース・ワン』だった。大統領搭乗中のみ使用され、フェリーフライトなどで大統領が搭乗していない場合のコールサインはSAM(サム:Special Air Missionの略)+登録記号を使用する。アイゼンハワー大統領の頃までは大統領搭乗中でも登録記号をコールサインにしていた。
 大統領搭乗中のみのコ−ルサインということで、これにまつわるエピソードはいろいろある。ニクソン大統領はエアフォース・ワンで郷里カリフォルニアへ帰る途中に辞任が確定し、専用機の機長が飛行中に無線で「現時点を以て本機のコールサインを『エアフォース・ワン』から『SAM27000』に変更する」と宣言したという有名な話があるが、真偽のほどは定かでない。1963年11月にダラスで暗殺されたケネディ大統領の後を受けたジョンソン副大統領(当時)は、ダラスからワシントンDCに戻るNo26000機内で大統領就任宣誓を行っているが、これは飛行中ではなくダラス駐機中に行われたらしい。飛行中にコールサインが変わるというのはいかにも一般ウケしそうな話なのだが、その多くはどうも作り話くさい。大統領が空中綱渡りで別の飛行機から乗り移ってきたというのなら話は別だが…。それはそうと、ヒラリー・クリントンがボスニアへ行った時にC-17に搭乗しているが、大統領夫人が搭乗する場合って、エアフォース・いくつになるんだ?
(2)アメリカ合衆国大統領専用空軍機の通称。正式名称ではない。1990年から現用で使用されているVC-25Aという、ボーイング747をベースに製造された2機(登録記号28000と予備機の29000)と、かつては1959年から使用されていたVC-137Cという、ボーイング707をベースに製造された2機(登録記号26000、27000)があった。白と水色の大統領専用機のカラーリングデザインは、工業デザイナーのレイモンド・ローウィ(口紅から機関車までのキャッチフレーズで知られる。TWAのロゴデザインもこの人だ)の提示した案を、ケネディがオーバルハウスの床に並べて選んだといわれている。
 大統領専用ヘリコプターというのもあるが、こちらは海兵隊所属機なので、大統領搭乗時には『マリーン・ワン』というコールサインを使用する。

【エアポート】[Airport]
(1)空港
(2)Appleの無線LANルータ。お菓子の甘食みたいな形のルータである。日本では既にAirportが商標として登録されていたため、AirMacの名で販売されている。

【エアポケット】
 マスコミの造語。ほかの星はどうか知らないが、少なくとも地球の大気圏にそんなものは存在しない。『航空の○○』とか自称している某新聞社でもこの程度なのである。正確かつ誰にでもわかりやすい表現を求めるならば『乱気流』『気流の乱れ』で充分である。

【エアロダンシング】[aerodancing]
 セガから発売されている家庭用ゲーム機用コンバットフライトシミュレータ。1999年、ドリームキャスト向けに「featuring Blue Impulse」が発売されて以来、リアルなグラフィックと細かな飛行特性の再現で圧倒的な支持を受けている。エアロダンシングのためだけにドリキャスを購入したという人もいたくらいで、この点については編者も身に覚えがないわけではない。ミサイルを発射すると空気抵抗が減って速度が上がるぐらいなら驚かないが、矩形翼機での翼端失速の再現には、正直参った。現在ではプレイステーション2専用のエアロダンシング4が発売されていて、新たにヘリコプターも加わっている。アラート勤務で領空侵犯機をお迎えに行ったり、救難ミッションまでついて、あとはもう怪獣退治ぐらいしかやることは残されていないようである。

【えいこう】[栄光]
 なんかこう書くと、福山市内の印刷会社みたいだが…航空自衛隊でのロッキードF104スターファイター戦闘機の愛称。→最後の有人戦闘機

【えいこうだん】[曳光弾]
 機関銃の弾丸が、どこへ飛んで行っているかを示すために、尾部から炎の尾を引いて飛ぶ機関銃弾。対空機銃や機載機銃の場合、概ね5発に一発の割合で混ぜ込まれている。つまり、オレンジ色の曳光弾の光と光の間に、目に見えないけれど機関銃弾が4発飛んでいるということ。見た目の5倍。当たるなと言う方が無理である。

【えいこうデコイ】[曳航デコイ]
 飛行機から長いワイヤーで引きずって使用する、おとりのためのポッド。チャフもフレアもあらゆる電波発信行為も、機体から離れた曳航デコイから行うようにすれば、飛行機本体の安全性が高まるという目論見である。そうなると、さらに曳航デコイに舵を付けて操縦できるようにし、武装を施してあらぬところから攻撃を仕掛けてやろうと妄想する人もいる。ビットとか、ファンネルとか、ガン・バレルとか、オールラウンド攻撃とかってやつだな。こうなるともはや戦闘機などではなくモビルアーマーと呼ぶべきである。ガン○ムの見過ぎだっての…。

【エイジアン・エクスプレス】
 エアバス・インダストリー、中国、シンガポール共同による100席級ジェット旅客機開発計画。A31Xという機体案の取りまとめには至ったのだが、新型機の開発は大きな経済的リスクを伴うとして計画は中止となった。これに代わってエアバス社はA320の胴体を短縮し垂直尾翼を延長した100席級旅客機A318を登場させ、2002年1月に初飛行している。

【エイジング・エアクラフト】[aging aircraft]
 →経年機

【エイト】《F》
 ダグラスDC-8。胴体をストレッチしたDC-8-60シリーズ以降については『エンピツエイト』の呼び名もある。

【エヴィエィター】
 米海軍機の操縦士。パイロットとは本来、港湾や海峡などで船舶を誘導する水先案内人のことなので、海軍機の操縦士はエヴィエィターと言う。なおこれは余談だが、 米海軍の影響を大きく受けている海上自衛隊でも、海上自衛隊の操縦士はパイロットなのだそうである。編者は海自の操縦士にパイロットとエヴィエイターのどちらかと尋ねたことがあるが「エヴィエイターって、それ何ですか?」と逆に聞かれてしまった。

【エーカーズ】[ACARS]

 →ACARS

【エーリッヒ・ハルトマン】[Erich Hartmann]
 第2次大戦中、1942年から1945年5月8日、ドイツ降伏のその日まで東部戦線でBf109を駆り、撃墜機数352機という途方もない記録をうち立てたルフトヴァッフェのエース。352機という撃墜機数は空前の数であり、今後も破られることはないだろう(…もちろん、撃墜王なんて現れない世の中がいい)Bf109が名機とされる理由の多くはハルトマンの戦績にあると言っても過言ではない。そんなハルトマンも最初の頃は鳴かず飛ばずどころか、味方機を敵機と誤認して逃げ回り、果ては不時着するという失態まで演じている。戦闘機パイロットとして頭角を現すのは1943年7月、いわゆるクルスクの戦いからで、7月だけで24機を撃墜している。乗機のコクピット横に描かれたハートマークは、元々は彼が率いていた第9飛行中隊のエンブレムで、第9飛行中隊を離れた後も、彼のパーソナルマークとして乗機に受け継がれている。ハートの中に書かれた『Usch』は、妻ウルスラ・ペーシュのニックネーム。325機という撃墜機数は、彼の技量もさることながら戦いの日々を生き延び、妻のもとへ帰ろうとした強い意志があったからこそだ。
 1922年4月19日、バイザッハで生まれる。父は医師、母はパイロット。16歳で既にグライダー指導員の資格を取得。1940年、空軍に入隊。戦闘機パイロットとして東部戦線に従軍し325機を撃墜。戦後10年間にわたって捕虜としてソ連に抑留され、帰国を果たした後、1959年、西ドイツ空軍第71戦闘航空団司令に就任。1993年9月20日、71歳の生涯を閉じる。

【エクステンダー】[extender]
(1)米空軍の空中給油機、マクダネルダグラスKC-10エクステンダー。DC-10の空中給油機仕様である。
(2)キヤノン製のテレコンバータのこと。一眼レフ用は望遠レンズの後方に取り付け、焦点距離を2倍、または1.4倍にする2種類がある。135mm以上の単焦点レンズと、一部の望遠ズームレンズが対応している。開放F値が1.4Xで1段、2Xで2段落ちるので、なるべく大口径のレンズで使用するのが吉。オートフォーカスの一部機能に制約を受ける場合がある。長玉を用いる機会の多い飛行機写真では、持っていて損はない。

【エコノミークラス】
 ファーストクラス、ビジネスクラスと来てその下、つまりは三等座席である。新幹線の普通車より狭い座席で、テーブルを降ろせば足が組めず、リクライニングを倒せば後ろの客が文句を言い出すか、さもなきゃ後ろの客が読んでいる新聞がバサバサと頭に当たる。最近よくあるバケットタイプのシートだと、戦闘機の射出座席の方がゆったりしていて座り心地がいいのだから悲しくなる。エコノミークラスで東京から沖縄までの2時間半と、新幹線の普通車で大阪までの2時間半で疲れが全然違うのはどういうことだ?もともと割引運賃用の座席、正規運賃なんかで乗ってはいけない。「到着までごゆっくりおくつろぎ下さい」…って、そのアナウンスはブラックジョークってやつかな?

【エコノミークラスしょうこうぐん】[エコノミークラス症候群]
 正しくは『深部静脈血栓症』という。別名として『旅行血栓症』という呼称もある。→深部静脈血栓症

【エシュロン】[Echelon]
 斜め一列に組む隊形のこと。梯子形隊形ともいう。

【エスケープ・スライド】[escape slide]
 客室の扉に設けられている、窒素ガスや炭酸ガスで膨張・展開する緊急脱出用の滑り台。ドアモードが『 AUTOMATIC』あるいは『ARMED 』(航空会社によって異なる)に切り替えられている状態でドアを開くと自動的に作動し、約10秒で使用可能となる。先端部には減速のための滑り止めがあり、機体にはスライドを照らすための照明が設けられている。着水時にはいかだになる『スライドラフト』を装備している機種もある。滑り降りる際は、ポケットの筆記具や鋭利な装身具を外し、荷物は放棄する。ハイヒールは脱ぐ(スライドを痛めるばかりでなく、ヒールがスライドに突き刺さると慣性で立ち上がってしまい、スライドから転落する場合があり危険)乗務員の指示に従い、先に降りた人がスライドから降りるまで待つ。背中を起こして滑り(背中がつく姿勢は速度がつきすぎる)腕は前に突き出す(手が触れると摩擦でやけどをしたり、直進できずにスライドから転落するおそれがある)スライドの出口をすみやかに空け、可能ならば、次に降りてきた人がスライドから立ち上がるのを手伝ったり、負傷者の援護を行う。火災が発生している場合はできるだけ機体から離れる必要があるが、その際は他の飛行機や消防車には近づかないようにする。

【エデュアルド】
 チェコのプラモデル用エッチングパーツメーカー。コクピットパネルとか射出座席のディティールアップパーツを出していて評判は極めて高い。川崎T-4なんていう、世界的に見れば極めてローカルでマイナーな機体のパーツもきっちり出してきてくれるから嬉しくなってしまうけど、これ作っている人は実機見たことあるんだろうか?
 対応機種は豊富だが、取り扱っている模型店は極めて限られ、金さえ出せば何でもあると言われる東京でさえも、山手線の内側には皆無と言っていい。ヒコーキ模型ってマイナーな趣味だったんだな。つ〜か、バブル期の地価上昇とその後の不景気で、山手線の内側でスケールモデル専門の模型店自体をやってけなくしちゃったんだけどね。編者も、いつ止まるかいつになったら動くか知れたものじゃないあの中央線にがたごと揺られて、一枚のエッチング板を求め、はるばる阿佐ヶ谷の小さな模型店へ買い出しに行ってるのだな。

【エリア・ルール】
 主翼の断面積の分だけ胴体の断面積を絞って、主翼と胴体の干渉による空気抵抗を減らす手法。ちょうどコカコーラの瓶に翼を付けたような格好になる。どの航空書もこう説明しているだけで、どうして空気抵抗が減るのかという説明がない。恐らく流体力学やら何やら、数時間にも及ぶレクチャーを受けないと理解不能な、非常に難解な理論らしいのでここでは追求しないでおく。コンベアF102デルタダガーの試作機、YF102が音速を超えられなかったため、あわててリチャード・ウイッカムが発見した『エリア・ルール』理論に縋り、117日かけて突貫工事で改造して飛ばしてみたらあら不思議。試験空域への上昇中にいともあっさり音速を突破し、めでたく制式機採用に至ったというエピソードがある。とはいえ、モノを搭載する上で一番おいしい部分である胴体中央を絞るわけで、搭載量を考慮しなければならない輸送機などでは、エリア・ルールの採用はほとんど考慮されたことはない。数少ない例外のひとつが超音速旅客機コンコルドである。デルタ翼に対するエリアルールを適用し、胴体前部よりも後部胴体が若干細くなっているが、よ〜く見ないとわからない程度である。乗ってみると後部に向かって通路が狭くなっているそうだ。超音速機以外の輸送機におけるエリア・ルールの適用はボーイング747の-300、SUD、旅客用-400に見られる。その前に製造されたボーイング747SPが設計目標より高い航続性能を発揮したのがきっかけで、調べてみたら、主翼の位置に若干被るようになっていたアッパーデッキの膨らみが、エリア・ルールの効果を発揮していたことがわかった。狙っていたわけではなく、結果オーライってヤツである。
  戦闘機や攻撃機でも空気抵抗の低減やステルス性を考慮すると、胴体内部の搭載量を重視せざるを得なくなり、主翼と胴体の干渉による空気抵抗を減らし、かつ胴体内の搭載量を確保するため、最近ではブレンデット・ウイング・ボディ(Blended Wing Body=BWB)という、胴体と主翼を緩やかな曲面で結ぶ、エリア・ルールの応用的手法が採られるようになってきた。→断面積法則・面積法則

【エリコプテール】[Helicoptere]
 1863年に、フランスのホントン・ダメクールが作った模型ヘリコプター。蒸気機関を利用して二重反転ローターを回すもの。Helicoptereはギリシャ語で螺旋を意味するHelixと、翼を意味するPteronから作られた合成語で、ヘリコプターの語源である。 偉大なるおフランス語は世界一美しい言語(自称)であり、これを実現するため多くの場合Hを発音しない。ヘリコプテールではなくエリコプテール、ヘラーのホチキス戦車ではなくエレールのオチキス戦車、ホテルではなくオテル、ヒロシマではなくイロシマである。アンシェヌマンにリエゾンと言って、単語の語尾の音を次の単語の語頭の音につなげるというルールが適用される場合もある。5キロはサンク・キロではなくサンキロ、航空郵便のpar avionはパー・アヴィオンではなく、一つに繋げてパラヴィオンと発音してスィルブプレ…。

【エルテン】[L10]《F》
 →トライスター

【えんかん】[煙缶]
 タバコの吸い殻を集める密閉可能な赤いペール缶。航空祭で喫煙所に置いてある、あの水を入れた赤い缶容器のこと。自衛隊ではこれがある場所が喫煙所になる。それ以外の場所は禁煙だぞ。

【えんきしすう】[煙揮指数][smoke volatility index]
 ジェット燃料の燃焼性能を示す指標の一つ。燃焼エネルギーの損失、あるいは燃焼室やタービンへのカーボン堆積を避けるためにジェット燃料には良好な燃焼性が要求される。パラフィン系炭化水素は最も燃焼性が高く、芳香族炭化水素が増大すると燃焼性が低下してカーボン粒子が発生しやすくなる。

【エンジェル】[angel]《S》
 昔の飛行機乗りは高度1,000フィートをエンジェル1と言っていた。最近はあまり聞かない。ALT(アルト)という言い方をしているようだ。こちらも高度1,000フィートをALT1としている。昔の人は東京タワーのてっぺんあたりの高さでもエンジェル(天使)がいるような高いところだと思っていたらしい。現在のジェット旅客機が飛んでいる高度1万メートルは約エンジェル33、となる。

【エンジンストール】[Engine Stall]
 ジェットエンジンが吸入する空気の流れに乱れが生じ、エンジン内部で燃焼不良を起こすこと。仰角が過大になった場合などに起こり、尾部にエンジンを装備している機種では主翼によって乱された気流でも起こる。
 エンジンの失速状態ともいえるが、仰角を抑えないと回復しないし、エンジンが失火状態になってしまうと再起動して推力が回復するまで高度は落ちっぱなしになり、大変危険。また、不完全燃焼や冷却空気の吸入不良によってエンジンを損傷する場合もある。
 余談だが、車のエンジンでもカッコつけて「エンジンストールが起きてさぁ…」などという場合があるが、停止の際にクラッチを切るタイミングが遅れ、エンジンが「ぷすん!」と止まってしまうのは単なる『エンスト』つまり『エンジンストップ』以外の何者でもない。恥ずかしい失敗を何やら格好良さそうな言葉で糊塗しないように。

【えんせい】[遠征]《F》
(1)遠くの飛行場へ飛行機を見に行くこと。秋の航空祭シーズンになると毎週日曜日は日本中の基地を訪ね歩くようになる。で、病高じて「今年はリノ、来年はエア・タトゥー」と世界を渡り歩いたり「航空祭は前日から現地入りが鉄則!」とか言い出すようになる。こうなると人生おしまいである。あ、編者も前日現地入りを基本としているが、編者の場合は地元の名物料理と地酒をたっぷり堪能して、旅気分を満喫しつつ宿でゆっくり休んで、翌日の航空祭に備えて英気を養うためなので心配御無用(…誰がじゃ!)である。ついでに温泉もあると、もう言うことないんだがなぁ。自由に旅してうまいもん食って飛行場で軍用機眺めるなんて、世の中が平和だからできること。誰だって平和がいいに決まっている。飛行機が壊れるから戦争反対っ!
(2)で、航空祭の遠征で写真を撮り溜め、知識も深まってくると、インターネットのwebページを作るぐらいでは飽きたらず、今度は飛行機の同人誌を作るようになる。もはや禁断の領域である。そうなるとあちこちで開かれている同人誌即売会への遠征が始まる。いわゆるコミケ遠征、コミティア遠征である。東京で開かれるこの二つの即売会は航空同人サークルの参加が多い。さらに東京の場合、のりもの学会という乗り物同人誌専門即売会もある。軍用機専門のサークルには参加資格がないとかで、参加している航空同人サークルは数少ないが…なにしろ民間航空の同人サークルって、片手の指でお釣りが来るほどあるからね。逆に地方都市での即売会となると、大阪でさえ航空同人サークルが自分ところだけ、ということがままあり、売れ行きなどもそれなりに覚悟が必要。周囲からは「へ〜、飛行機の本もあるんだぁ…」ってもう珍獣か絶滅危惧動物扱いである。航空祭も同人誌即売会も大概は日曜日にやるから、航空同人はスケジュールの調整がもう大変で大変で…。中には同人誌即売会の遠征でマイルを稼いでいるiヶ谷君のような例もあるよな。

【えんたい】[掩体]ボタン 解説画像を別ウィンドウで表示
 敵の対地攻撃から、駐機している飛行機を守るために作られたコンクリートの覆い。厚さ1mを超えるコンクリートアーチの覆いの上にさらに土を盛り草を植えて偽装する。なにしろ爆撃に耐えようと言う代物、とにかく頑丈なので簡単には壊せない。飛行場がなくなって畑になっても住宅地になっても盛り土が流れ去ってコンクリートだけになってもしぶとく残り、戦後60年にもなろうというのに今でもあちこちにあって戦時中は軍の飛行場だった場所だと主張している。多くの場合私有地になっているので場所をお教えすることはできない。何度か雑誌に紹介されるたびにマニアックな見物人が押し掛けて困ったのだそうだ。遠巻きに眺めるだけなら、米子空港ターミナルビル屋上から原形をよくとどめた旧海軍の半地下式掩体壕を望むことができる。
  なお、露天掩体なるものもある。露天風呂と同じで屋根がない。駐機場の周りを一機分ずつ土手で囲い、誘爆や飛散した破片で被害が拡大しないようにしたもの。土手を作っている暇のない最前線近くの飛行場では、土嚢を積んだり、水を入れたドラム缶を並べたり、弾薬箱に土を詰めて積み上げたりする。気休めに上から偽装網など被せるが、運悪く直撃食らった飛行機は「♪はいそれま〜で〜よ〜」(植木等)である。

【エンド】《F》
 runway end、滑走路末端のことだが、ファンが言う場合は主に滑走路末端付近で飛行機撮影に適した場所。当然フェンスの外になる。「伊丹の32(さんにい)エンド」などという。

【エンドース】
(1)endorsement 。運送の権利を譲渡するために、航空会社間で行われる航空券の裏書。「同業の誼で、うちのお客、お宅で運んでくれない?」で、縁通す…ではない。 正規運賃の航空券ならば、同じ区間を運航する他の航空会社の同等のクラスに変更ができ、予約した便より前に出発する便ならば手数料は不要である。
(2)転じて、航空券発券後に、利用する航空会社を変更することを言う。国際線のエンドースなんて、高額な正規運賃を払って得られる特権。割引運賃の貧乏人には真似できない。そりゃもう豪気なもんである。

【えんとつ】[煙突]《F》
 ニコンの大口径超望遠レンズ。つや消しの黒なのでこう呼ばれる。キヤノンの大口径超望遠レンズは白いので大根と呼ばれる。どっちもどっちである。

【エンピツ】《F》
 →エンピツエイト

【エンピツエイト】《F》
 ダグラスDC-8-60シリーズ。ナローボディをストレッチしているのでまさに鉛筆のような細長い機体。『エンピツ』と呼ぶ人もいた。50シリーズ以前またはDC-8全般を指す場合は単に『エイト』と呼ぶ。

-お-

【おいだし】[追い出し]
 航空祭終了後、観客に出ていってもらうための作業。日没前にエプロンエリアの清掃を済ませ、よからぬことを企む輩が基地内に残っていないかを確かめなければならないので、航空祭の終了は早いのである。蛍の光をエンドレスで流しながら、観客エリアを隊員が一列横隊で前進し、まだ帰らずに居座る観客を出口へ追い立てる方法(まるでGメン75である)と、観客エリア最前列に張られたロープを徐々に後方へ移動させ、観客を追い立てる方法のふた通りがある。天気がよくて予定していた飛行展示がつつがなく行われると、追い出しも情け容赦ないのだが、天候に恵まれず殆どのスケジュールがキャンセルされ、しかもお客も少なかった日などは、観客エリアを徐々に狭めながらも、1時間ぐらいは延長して帰還機の離陸を見せてくれる場合もある。

【おおさかのいたみくうこう】[大阪の伊丹空港]
 伊丹市は兵庫県にあり『大阪の伊丹空港』という言い方は、厳密に言えば変なのだが…。

【おおぞらにかんぱい】[大空に乾杯]
 吉永小百合主演で1966年2月25日に封切られた劇場映画。スチュワーデスドラマの嚆矢と言える。迷曲「奈良の春日野」(♪奈良の春日野青芝に、腰を下ろせば鹿の糞…って曲だ)でコメディエンヌになりかけた吉永小百合が、全日空スチュワーデス役を演じるということで注目を集めた。その吉永小百合が今でも殆ど変わってないのにはビックリである。
 製作:日活、監督:斎藤武市(代表作:愛と死をみつめて)、原作:若山三郎、脚本:白坂依志夫・中野顕彰、撮影:萩原憲治、音楽:小杉太一郎、出演:吉永小百合・和泉雅子・十朱幸代・浜田光夫、主題曲 「そこは青い空だった」(橋幸夫と吉永小百合のデュエット)上映時間 97分。併映は石原裕次郎主演、二人の銀座。
 当時巷の人気と話題をさらった小百合、裕次郎、ボーイング727(なにしろ化粧品会社の名前にまでなった。ビクターのトランジスターラジオ、Mach X-727ってのもあったな)の揃い踏みで、新宿・浅草の上映館では一週間で28,000人の観客動員を記録した。ビデオ・DVDはいずれも発売されていない。最近になって全日空国際線ビデオプログラムとして上映されている。国際線乗客の映像特典で終わらせず、是非DVDで発売して頂きたいものである。

【おおぞらのサムライ】[大空のサムライ]
 零式戦闘機のパイロットであった海軍中尉坂井三郎氏の自伝。光人社から刊行されている。戦記ではあるがむしろ人生のバイブルと呼ぶのが相応しい好著である。じっくりと読めば小学生でもわかる。読み返すたびに心に染みる物がある。学校の図書室にこそ常備すべき本である。まず読むべし!文句を言わず読むべし!飛行機を語る前にまず読むべし!飛行機に興味のない奴も読むべし!日本人なら読むべし!日本人でなくても読むべし!夏休みの読書感想文に読むべしっ!!

【おおだてのしろくうこう】[大館能代空港]
 秋田県北部、大館市と能代市の中間に位置する空港。中間に位置しているのでどちらからも遠い。どうでもいいが「秘湯巡りの拠点」ってキャッチフレーズは大笑いだぞ。確かに、オンリー・ワンではあるけれどね…。

【オートジャイロ】
 ヘリコプターの遠いご先祖様。『ルパン三世・カリオストロの城』で、ルパンと銭形が城から退却する時に登場したのでご存知の方も多かろう。まずローターを回転させ、ローターの回転に勢いが付いたところでエンジンのクラッチを機首プロペラに切り替えて数十m程滑走して、回転しているローターで揚力を得る航空機。仰角を付けエンジンをフル回転させることでホバリングもできたし、ヘリコプターのように無滑走での着陸もできた。あまり見かけることはないが、個人が自作したり、キットなどで販売されている機体は世界でかなりの数があるようだ。

【オートローテーション】[autorotation]
 ヘリコプターが、エンジン故障などの際に行う緊急着陸の手法。ローターとエンジンの間にあるクラッチやギアを切り離し、風を受けて回るローターが生み出す揚力によってゆるやかに降下し、着陸する。要するに竹とんぼ状態である。上昇はできないので着陸にはなるべく広い場所を選び、姿勢を保って慎重に降下しなければならない。ラジコンヘリを楽しまれる方もマスターすべき基本的テクである。

【オーバーブッキング】[over booking]
(1)航空会社の見解としては、キャンセル分を見越し、座席数以上の予約を受ける在庫管理方式の一つ、とされる。COB(Controlled Over Booking=制御された予約超過)とも呼ばれ、本来の意味はこちらを指す。
(2)乗客側から見た場合、航空会社がキャンセル分の予測を誤り、定員オーバーになってしまって希望していた便に搭乗できなくなる状態。一般にいわれるオーバーブッキングとはこちらを指す。空いているアッパークラスへの無償アップグレードというおいしいケースや、同じ日の後続便に振り替えというならばいいほうで、ホテル代航空会社負担で翌日以降の便に振り替えや、経由便に振り替えでしかも経由地で1泊などという場合もままある。乗客側の対策としてはリコンファームをすれば確実とかいわれるが、そもそも予測が誤っているのだから全く意味がない。早めにチェックインするのも対策のひとつではあるが、チェックインする前から既に振り替えが決められている場合もある。搭乗したら席がなく、飛行機から降ろされたなどといういい加減な航空会社も存在するので要注意。
 国内線の場合でも、迷惑料として金一封(大概は金1万円也)進呈で後続便へご案内、というのはよくある。オーバーブッキングは航空会社が迷惑料を払っても、ホテル代を負担してでも「空席で飛ばすよりは、やった方が得だ」という計算で行っている。乗れないのならば精々ゴネてホテル代でも後続便のアップグレードでもせしめた方が良い。そのくらいの出費は航空会社の損得勘定に入っている。平然とこんなことやっているのは航空会社ぐらいのものだ。大人しく言われるままで引き下がることはない。ただし、暴力はいかんよ。

【オープンジョー】[open joe]
 『鮫の開き』ではない。往復航空券で往路の着地と復路の発地が異なるか、往路の発地と復路の着地が異なる旅行形態である『シングル・オープンジョー』を主に指す。例えば、東京からサンフランシスコに着き、陸路移動してロサンゼルスから東京に戻る場合、あるいは、東京からロンドンへ行き、ロンドンから関西空港へ戻る場合などがこれにあたる。空路が単純往復ではなく、V字型の『口が開いた』状態なのでオープンジョーという。オープンジョーとストップオーバーを組み合わせ、Y字型の旅程を組むこともできる。口が開いているのは基本的に同一国内であることが条件だが、米国・カナダ間や北欧三国相互間の場合は同一国とみなしている。
 『ダブル・オープンジョー』というのもあり、この場合は往路の着地と復路の発地が異なり、さらに往路の発地と復路の着地も異なる場合をいう。この場合もストップオーバーと組み合わせ、X字型の旅程を組むこともできる。→シングル・オープンジョー・ダブル・オープンジョー

【オーロラ】
 東京・札幌間に運航されていた夜行便。日本航空がダグラスDC-7Cを使用し1957年7月20日から毎年夏期に運航し、後に東亜国内航空が引き継ぎ1974年10月まで運航された。1960年の運航では東京を深夜1:00に出発し札幌着が早朝4:00、札幌発は深夜1:30で東京に早朝4:30に到着というダイヤだった。運賃は普通運賃の1割5分引きの9950円、参考までに当時の急行2等寝台(今のA寝台に相当)では9080円であった。夜行列車では所要時間が25時間、昼行特急の『はつかり』『おおぞら』乗り継ぎでも19時間半もかかった時代なので、車中での食事などを考えるとかなりお得だったようだ。深夜の出発なので市内営業所からの送迎バスが運転されたようで、東京営業所集合は23:40、札幌営業所集合は23:50と当時のパンフレットに書かれている。
 羽田も千歳も24時間運用になったことだし、復活してくれないかねぇ…ジェット機では速すぎて時間潰しが大変かな?

【おきスポ】[沖スポ]《S》
 東スポの姉妹紙沖縄スポーツ(そんなのあるかい!)ではない。→沖止め

【おきどめ】[沖止め]《S》
 空港のターミナルビル(埠頭)から離れた場所(沖)にシップを泊めること。旅客はタラップで搭乗・降機し、飛行機とターミナルビルの間はランプバス(はしけ)で移動する。福岡空港あたりだとターミナルビル前のスポットでもボーディングブリッジ(桟橋)がなく、ターミナルまで徒歩(水泳)ということもある。編者はある時ハーレクイン機で福岡に着いたらこの沖止めで、しかも雨が降っていた。地上職員さんに「沖止めですか?」と聞いたら「はい、艀もございませんので泳いでいただきます。浮き輪をどうぞ」とナイスな答えと一緒に傘を渡された。最近洒落のわかるヤツが少ないから、そのネタはあんまり使わない方がいいぞ。着陸料が安いという説もあるが定かでない。なお、国賓クラスの特別機は全世界ほぼ間違いなく沖止めである。

【おきなわキャンペーン】[沖縄キャンペーン]
 沖縄・奄美方面パッケージツアーの広告キャンペーン。例年2月にプレスリリースが出され、3月から広告が出稿される。ピークは4月で、ゴールデンウィークを過ぎると北海道キャンペーンにバトンタッチする。最近では水着姿の広告がセクハラに当たるとか言う、自称市民団体からの訳のわからない御批判とか、海外リゾート地へのツアーが安価になったこともあって地味になってしまったが、1980年代の沖縄キャンペーンと言ったら、そらもうド派手にやっていたものである。スキーツアーのポパイやスヌーピーが引っ込み、水着モデルのポスターと等身大立て看板が、もうやりすぎってぐらい旅行代理店の店頭を埋め尽くして、CM曲がチャートに入ってくると本格的な春の到来。それは街の風物詩であった。最強だったのが全日空スカイホリデー。CM曲は『高気圧ガール』と『踊ろよフィッシュ』の山下達郎。南良孝もそうだったっけ?薬師丸ひろ子の映画のイメージがあるけど…。CMモデルには2時間ドラマの検事さんでおなじみ鷲尾いさ子なんて人もいたっけ。これに対抗して日航ジェットプラン(JAL STORYを経て、現在のジャルステージ)が送り込んでいたのが『シンデレラ・サマー』と『ふたりの愛ランド(チャゲとのデュエット)』の石川優子である。一発屋の代表格トム☆キャット(しかもCM曲が当たらなかった)とか、CMモデルにはワイドショーでおなじみ吉川十和子なんてのもいたな。TDAナイスウィング(のちにJASナイスウィング)の場合は、東亜国内航空が沖縄路線を持っていなかったので、奄美・ヨロン(カタカナなのがポイント)キャンペーンだった。キャンペーン自体は3社の中で最も地味だったが、モデルの日焼け度は最も高かった気がする。写真の露出(モデルが着ているモノの、布の面積ではないぞ!)もアンダー気味にして、肌の黒さを強調していたな。少々時代が最近になるが、財前直見がモデルとしてここからデビューし、華やかなりし沖縄・奄美キャンペーンの掉尾を飾っている。それが今ではJALのお局スチュワーデス刑事だから世の中わからない。ああそういえば、藤原紀香とかCC Girlっても、確かJALの沖縄キャンペーンに出ていたような気がする。それにつけても、南の島に誘うのに、おっさんのモデルはないだろう。とほほと思う今日この頃である。

【おくレ!】[送レ!]
 一般の無線交信で言う「…どうぞ」に相当する言葉。陸上自衛隊の無線交信で使われる。
「夕食が届いたら、連絡を請う。こちらから受領に行く。送レ!」…どっちやねん?

【おじろわし】[尾白鷲] ボタン 解説画像を別ウィンドウで表示
 南西混成航空団第83航空隊(沖縄県・那覇基地)第302飛行隊の部隊マーク。実はアレはカンムリワシではなく、オジロワシである。しっぽが白いでしょ?第302飛行隊は1974年に第2航空団(北海道・千歳基地)隷下に編成され、オジロワシの部隊マークは1977年に制定。1985年に現在の那覇基地に移った後もそのまま使われている。垂直尾翼に描かれている部隊マークとしては空自で最大級。現行の規定では国籍表示(日の丸)より大きくしてはならないようだが、通達される前に決めたデザインなので、現在もそのまま使用されているのだそうである。沖縄にオジロワシというのも変だが、ファンの人気は非常に高く、那覇基地の航空祭は遠く東京などからもファンがやってくる。同じ日に新田原基地(宮崎県)でアグレッサーとブルーインパルスが競演していようと、そんなのお構いなしに沖縄日帰りを敢行するのである。…ったく、熱過ぎるぜファントムフリーク。海外のファンにも、現在世界で最も派手なファントムとして広く知られている。
 ちなみに、オジロワシは北海道に渡ってくる冬鳥。魚類などを主な餌としている。近年環境の変化などで大幅に生息数が減少し、環境省が絶滅危惧(特)B類に指定している。

【おす】[牡]《F》
 ダグラスDC-10のうち、主脚の間にも脚を一本持っているものをいう。足の間にもう一本あるのでオスである
って、まぁ、お下品ざぁますわ…。中央の脚のないDC-10は、もちろんメスなのだが、中央の脚を使用せず、常時ちゃんとしまっているヤツもいるし、中央の脚を取り外してしまったり、逆に追加している性転換機などもいるので、外見だけで生まれつきのオスメスの区別をするのはほぼ不可能である。

【オスナ】
 『押すな』である。トリムタブなど、押したり踏んだりぶつけたりすると、壊れたり調整が狂ってしまうような場所に表示される。ステンシルで塗装してあるので画数の少ないカタカナ書きである。同様に『サワルナ』というのもあるが、オスナと意味は同じと考えてよい。いずれも現在では英語表記の『DON'T (DO NOT、またはNOの場合も見られる)TOUCH』がこれに代わっている。飛行機って、案外ヤワである。

【おちゃくみ】[お茶汲み]
どこの世界でも下っ端の仕事。人によって異なる砂糖やミルクの好みの量を覚えたり、それなりに大変な仕事ではある。自衛隊の一般の部隊では一士、二士(一等兵、二等兵)と言うホントの下っ端の仕事だが、市ヶ谷(防衛庁本庁)では二佐、三佐(中佐、少佐)という、一般の部隊なら黒塗りの乗用車のお迎えで出勤するような人がお茶汲みをしていてびっくりさせられるのである。

【おつなか】[乙仲]
 乙種海運仲立人の略。港湾運送業者のこと。荷主の依頼により貨物の搭載、取り下ろし、通関事務などを代行する業者。航空貨物関係の用語には、海運関係の用語がそのまま入っていることが多い。

【おつぶそう】[乙武装]
 自衛隊のドレスコードの一つで、作業服(迷彩服ではない)上下に弾帯、ライナー(樹脂製のヘルメット。鉄帽の下にセットするので内帽とも言う)を装着し、半長靴を履く。半長靴のない海上自衛隊は短靴に脚絆である。災害出動の際はこの服装である。

【オフライン】
(1)日本に乗り入れていない航空会社。乗り入れのない日本発着の場合、一部の割引運賃では2社以上にまたがる乗り継ぎになるため運賃を通算することができず、却って高くつく。このため日本からの観光客を呼び込みたい航空会社では乗り継ぎ割引運賃を設定する場合がある。主に日本国内の旅行業者が使用する用語。

(2)自社が運航を行っていない路線のこと。航空貨物関係の用語。

【オペラ】[OPERA]
 OPERAtionの略で、指揮所のこと。
 第2次大戦中、ドイツ空軍の防空指揮所が、その内部配置から『オペラハウス』と呼ばれていたこととは、あまり関係ないようである。

【おみあいシート】[お見合いシート]《S》
 ジャンプシートと向かい合わせになる、ドアのそばの座席。足下広くてキャビンアテンダントとお向かいになれるので人気があるが、前の座席下に置けるはずの荷物は前に座席がないため置き場がなく、機内で預かってもらうことになりこの点は少々難儀だ。また非常時にはこの席に座っている乗客に緊急脱出の支援を要請するため、外国の航空会社では言葉の通じない乗客の着席は拒否されるし、航空会社によっては社員や、自国の警察官・軍人などに限って着席を認めている場合もある。
なお、日本航空のDC-10、MD-11の右側一番前のドア(R1ドア)にはキャビンアテンダントの配置がないので、お見合いにはならないぞ…って万一の場合誰がドア操作をするんですか?もしかして、訓練受けてない私がやるんですかぁ?

【およびだし】[お呼び出し]《F》
 空港でよく耳にする「日本航空で、関西にご出発のiヶ谷様…」というあの放送。チェックインしたはいいけど、出発時刻になってもまだ飛行機に搭乗していない場合、空港中に『お呼び出し』を申し上げられてしまう。恥ずかしいことこの上ない。こうしてお呼び出しをされたお客は、飛行機へ全力疾走する羽目になり、乗務員から栄光ある『ランナー』の称号を頂くことになる。

【おり】[檻]《F》
 羽田空港西ターミナルビル屋上に設けられた、偏執狂的としか言いようのない柵のこと。そのうちこれが日本中の空港に波及してゆくかと思うと、暗鬱とさせられる。優雅で長閑な時代というのは、こうして少しずつ失われてゆくのである。こんな柵ひとつでテロを抑止できると国土交通省や警察庁が思っているなら、おめでたいとしか言いようがない。

【オリンピア】
 全日空が運航していたYS-11の愛称。1964年に、日本航空機製造からリースした機体で東京オリンピックの聖火輸送を行ったことにちなんだもの。

【オンスケ】
(1)《S》on scheduleの略。スケジュール通りで、遅延・欠航などがない状態。「901便、オンスケで28番に到着」とか、航空ファン同士が旅行する場合などは「当日は南ターミナル9時集合。遅刻しないように、オンスケでお願いします」というように使う。
(2)《F》スケジュールに載っている便、つまり定期便のこと。スケジュールにない臨時便、不定期便はノンスケという。

【オン・ボード・クーリエ】[on boad courier]
 小口少量の貨物を手荷物扱いで輸送する航空貨物サービスの一形態。貨物会社の人(または、貨物会社と契約しているクーリエと呼ばれる職業の人)が、預かった貨物を自分の手荷物ということにして、旅客機に乗客として乗り込み輸送する。乗客の手荷物なので搭載優先順位は貨物より高く、税関の検査も最優先。チケットが取れれば輸送可能だが、通常の航空貨物より運賃ははるかに高いので主に書類、原稿、薬品などの緊急輸送に向いている。引き受けられる重量は、エコノミークラス扱いで輸送する場合で最大20kgまで。航空業界にはこういう仕事もある。マイルの貯まりそうな仕事である。

【オンライン】
 定期便で日本に乗り入れている航空会社。主に旅行業者が使用する用語。

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