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浜松強盗殺人の日系人被告 ブラジルで禁固34年の判決

2007年12月18日12時24分

 浜松市で05年11月に起きたレストラン店主強盗殺害事件で、ブラジル・ミナスジェライス州の地方裁判所は17日、強盗殺人と放火未遂の罪に問われた日系ブラジル人、アルバレンガ・ウンベルト・ジョゼ・ハジメ被告(36)に禁固34年5カ月の判決を言い渡した。

 日本政府がブラジル側に国外犯処罰を要請した事件で、判決が出たのは初めて。アルバレンガ被告は、事件直後にブラジルに帰国していた。

 ブラジルの法制度では強盗殺人罪は最長で禁固30年、放火罪は同6年が命じられる。法曹関係者によると、判決は「健全な社会生活を営んでいた人を殺害し、家庭を破壊した。残酷な犯行を隠そうと放火した上、電気代や借金を支払うことなく逃亡した」と指摘。厳しい判決となった。

 判決によると、アルバレンガ被告は05年11月22日午前2時ごろ、浜松市のレストラン店内で店主の三上要さん(当時57)の首を絞めて殺害、現金約4万1000円を奪って逃亡した。また「海外での犯罪は、被告人が最後に居住した州の州都の裁判所が審理する」と明記。日本での犯罪を同地裁が裁く妥当性を強調した。

 担当のジニス検事は、朝日新聞の取材に「犯罪事実がきちんと立証された」と判決を評価した。

 ブラジルは憲法で自国民の外国への引き渡しを禁じている。また両国には犯罪人引き渡し条約も結ばれていない。このため、日本側は国際手配とともに、06年12月にブラジル側に国外犯処罰を要請した。

 ブラジルの地元検察庁は2月、同被告を起訴して身柄を拘束。3月から裁判が始まった。同被告は起訴前から一貫して容疑を否認していた。

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 日本の警察庁によると、逮捕前に日本から出国したブラジル人容疑者は05年末で86人にのぼった。容疑者を日本に引き渡すよう求める被害者遺族らの活動を受けて、日本政府は06年末以降、ブラジル側に国外犯処罰を要請するようになった。

 現在サンパウロ州の地裁では、99年に浜松市で起きた女子高生ひき逃げ死亡事故で起訴された日系ブラジル人、ヒガキ・ミルトン・ノボル被告(32)の審理が続いている。また、静岡県焼津市で昨年12月に起きたブラジル人母子3人殺害事件でも、ブラジルに逃亡したネベス・エジルソン・ドニゼッチ容疑者(44)について殺人容疑で国外犯処罰が要請された。

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