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霜降り馬肉、実は馬脂注入 居酒屋チェーンに排除命令

2007年12月14日20時39分

 人工的に馬の背脂を注入した馬肉を「霜降り馬刺」「とろ馬刺」などと表示して販売したとして、公正取引委員会は14日、居酒屋チェーン3社と食肉加工業者、業務用スーパーの計5社に対し、再発防止などを求める排除命令を出した。天然育成の霜降り馬肉であるかのように消費者に誤認させる不当な表示だとして、景品表示法違反(優良誤認)にあたると判断した。

 排除命令の対象となったのは、居酒屋「白木屋」などを展開する「モンテローザ」(東京)▽「村さ来」を展開する「村さ来本社」(同)▽「八剣伝」などを展開する「マルシェ」(大阪)▽全国のスーパーなどに販売していた肉加工販売業「ファンシー」(東京)▽業務用食品スーパー「A―プライス」を展開する「トーホー」(兵庫)の5社。

 調べでは、5社は、国産や中国、カナダ産の赤身の馬肉に、40〜50本の針を機械で刺して脂を注入した加工馬肉を製造したり購入したりし、「霜降り」などと表示して販売していたという。

 モンテローザは04年10月〜06年10月に系列577店で、村さ来本社は06年4月〜今年3月に系列251店で、マルシェは05年5月〜今年5月に系列265店で、メニューやチラシに「霜降り馬刺」や「とろ馬刺」などと表示。ファンシーも、自社ブランドの商品のパックに「霜降り」と印刷。トーホーは「霜降」と書かれたラベルを張って販売していた。

 公取委は、脂を注入したことを示さなければ、熊本などで飼育されている天然の霜降り馬肉だと消費者が誤解する、と判断。業者間の取引価格は、脂注入の加工肉が1キロあたり3000〜4000円なのに対し、天然の霜降り馬肉は8000〜1万円するという。注入馬肉は、加工肉であることを明記した取引なら問題なく、加工業者の売り上げは年間約16億円だという。

 居酒屋チェーン各社は、すでに加工馬肉の販売を中止し、赤身や天然の霜降り肉に変更。ファンシーとトーホーは「注入」と表示して販売しているという。各社は「真摯(しんし)に受けとめ、消費者の皆さまにおわびします」などとコメントしている。

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