劣化が激しいキトラ古墳(明日香村)の天文図(天井)のはぎ取りが、安定性の高い「新兵器」、ダイヤモンドバンド・ソー(ダイヤモンドの粉末を付着させたステンレス製カッター)の開発で本格化しそうだ。
今夏の猛暑の影響で、石室内では9月以降、ダニなどの微生物が大量発生。しっくいの上で処理すれば、死がいをエサにカビが発生する恐れがあり、担当者が1匹ずつ捕獲しているという。1日150匹に達することもあるというから頭が下がる。
専門家は「微生物の代謝で酸が生じ、カビが生えやすくなるなど爆発的に劣化が進む危険がある」と警告する。しっくいがぜい弱で「最難関」と言われる天文図。「新兵器」の威力に期待したい。(林)
毎日新聞 2007年12月17日