一言でスラッグ弾が発射できる銃と言っても色々あります、クレー射撃でおなじみの2連銃、猟野で見かける自動銃やポンプ(スライドアクション)銃、固定標的射撃や猟野で見かけるボルト式銃などです。何れの銃についても、ショットシェルが発射できると同時にライフルドスラグ(写真下)と呼ばれる一発弾が発射可能です。 つまり散弾銃をお持ちの方は直ぐにでもスラッグ射撃が可能です。 |
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ライフルドスラグ(Remington) 弾頭の周りの溝は回転を与えると言うよりチョーク付き銃のチョーク破損を防ぐためのものです。 |
さらに近年ではスラッグ弾専用の銃として銃刀法のライフルに関する定義を逆さに考え、散弾銃でありながら銃身の1/2にライフリング加工を実施し、弾頭に回転を与えることで命中精度を上げ遠射を可能にした散弾銃が販売されています。 実際ハーフライフリングの散弾銃にサボット弾を用いれば100mで4cm程度のグルーピングが可能になってきており、50mであればライフル銃と肩を並べる程の命中精度と言っても良いぐらいです。(ワンホールとまでは行きませんが前弾の後に弾痕の一部が重なります) |
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サボット弾って? |
サボットスラグ(Remington) サボット弾とはサボットスラグのことで中心の弾頭(鉛又は銅)をプラスチックのワッヅで覆った弾です。 サボット弾を1/2のライフルドバレルの散弾銃で発射した場合、銃身のライフリングにプラスチックワッヅが食い込み、弾頭に回転を与えることで弾の弾道を安定させ命中精度を上げようとしたものです。 |
このサボット弾頭であれば100m〜120mまでは十分に射程距離となり鹿猟等で使用されています。 |
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スラッグ弾はライフル弾と比較し弾速が遅いので遠くの獲物を撃つ場合、獲物の動きをかなり先読みしたリードが必要になります。 |
サボット弾を発射できるスラッグ専用銃(1/2ライフルドバレル)としては自動銃・ポンプ銃・ボルト式銃などがあります。自動銃およびポンプ式銃に関しては銃身が交換式になっているため、一般的に銃身と機関部が一体構造になっているボルト式散弾銃より命中精度が落ちると言われています。 また自動銃とポンプ銃を比較すると、自動銃では発射ガスの一部をBoltの作動(排莢と次弾の装填)に使用するため、集弾が思ったより良くないと言う報告もあります。 つまり基本的な銃の集弾性能としては |
ボルト式散弾銃 > ポンプ式 > 自動式 |
が成り立ちます。ここで言う集弾とは標的を用いて1cm、1mmを争うもので、実際の猟では支障が無いレベルと思われます。 |
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自動銃の中でもリコイル・オートと呼ばれる慣性自動方式(リレードブローバック)の自動銃では発射ガスを回転に使用しませんのでポンプ式と同じ性能が発揮できます。 |
現在販売されている、スラッグ専用銃には銃身への加工を全くしていないシリンダー(平筒)と呼ばれるものとサボット弾を撃つためのサボットスラグ専用銃の2種類があります。ここではサボットスラグ専用銃つまり弾頭に回転を与えるために、銃身の1/2にライフリング加工がされている銃に付いて紹介します。 その形態もライフル銃と見間違えるばかりです。 |
BROWNING A-BOLT 日本ではミロクが製造 なぜか製造中止に!? |
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TAR-HUNT SLUG GUN | |
MARLIN M512 | |
MOSSBERG M695 | |
SAVEGE M210 | |
Remigton 870 (ポンプ) (スライドアクション) |
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Remigton 11-87&1100 (ガスオート) |
上記銃は何れも12番の散弾銃です。散弾銃の所持許可で所持ができます。また銃身へ1/2ライフリング加工がされている銃であれば、サボット弾を用いる事で飛躍的に命中精度を上げることが可能になります。 |
スラッグ弾の威力が、近射ではライフルに勝るとも劣らないパワーを持っているのを御存知でしょうか。ライフルドスラグではその形状から直ぐに威力が低下し遠射には向きませんが(遠射では命中精度も悪い)、サボットスラグを用いればその弾頭が回転しながら飛んで行く為、命中精度を保ったまま威力を遠くまで持続させることが可能になります。 |
Muzzle (銃口) |
50yds 45.7m |
100yds 91m |
125yds 112.5m |
備考 |
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ライフルド |
Remington |
3009 | − | − | − | 3inch |
BRENNEKE CLASSIC |
2745 | 1540 | 1035 | − | 2-3/4inch | |
BRENNEKE GOLD |
3017 | 1749 | 1240 | − | 3inch *1 |
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サボット |
Remington PR12MRS |
2498 | 1896 | 1481 | − | 3inch |
FEDERAL P151SS |
2335 | 1750 | 1345 | 1205 | 3inch | |
ライフル弾 |
.243win | 1993 | − | 1551 | − | 80gr softpoint |
.308win | 2743 | − | 1896 | − | 180gr softpoint |
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.30-06 | 2913 | − | 2203 | − | 180gr softpoint |
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7mm Rem MAG |
3178 | − | 2718 | − | 175gr softpoint |
*1:ライフルドスラグですがハーフライフリング銃身で弾頭に 回転をかけて使用します |
この表からもわかるとおり、発射直後のエネルギーであれば、スラッグ弾はライフル(308win、30-06口径)に勝るとも劣らないパワーがあります。しかし50mも飛べば急速にエネルギーは半減し、100mともなればライフル弾の半分となってしまいます。 エネルギーを弾頭重量で稼ぐスラッグ弾と弾速で稼ぐライフル弾の違いです。 エネルギーの低下が少なく数キロ先まで弾が飛んでいくライフル所持が厳しい理由はここにあります。 しかしサボット弾を用いれば、銃口付近のエネルギーこそライフルドスラッグに比べて少ないですが、弾頭形状が小さく弾速を稼げるためエネルギー低下を少なくでき100mを超える遠距離での狩猟が可能になります。 これらスラグ弾の飛行と銃の組み合わせに関して、Q&Aに載せましたので参考にしてください。 |