ここから本文エリア 「訓練で座禅」是か非か2007年12月17日
県消防学校(静岡市清水区)が今年度の新規消防職員の訓練の中で座禅を実施したのは信教の自由を侵している可能性があると、静岡市のキリスト教系市民団体が主張している。市民団体側は18日に学校を訪ねて説明を求める。これに対し、同校の加藤晴夫校長(58)は「特定の宗教行為に参加しているということではない。ぜひ理解してもらいたい」と話している。(中野渉) 県消防学校は毎年4月から半年間、県内の各消防本部に新たに採用された消防職員を集め、「初任教育」として基礎的教育訓練をしている。訓練は全国の都道府県や政令指定都市の消防学校でそれぞれ行われているが、座学から実践的なものまで多岐にわたる。詳細は各学校が決めている。 基礎教育の中には「情操教育」が4時間設けられており、同校は例年、ボランティア団体職員による講義などを開いていた。今年は5月21日の午前中、静岡市清水区の臨済宗の寺で座禅をし、僧侶の説法を聞く研修をした。職員140人は2班に分かれ、約10キロ離れた寺への行きか帰り道を走った。 これに対して、首相の靖国神社参拝などに反対している静岡市の市民団体「静岡靖国問題連絡協議会」代表代行の中川弘さん(66)は「公的機関が、特定の宗教行為に参加していることになるのでは」と疑問を呈する。 同協議会は10月、同校に対して質問状を送った。これに対して学校側は「座禅は、普段の生活の中で正座をして背筋を伸ばして足の組み方を教えることと違いはない。宗教とは何ら関係はない」との加藤校長名の回答文書を送った。 しかし同協議会側は納得せず、18日に同校を訪れて加藤校長に直接説明を求めることになった。中川さんは「座禅をした職員の中には様々な宗教の人もいるはずで、精神的苦痛を与えた可能性がある」と話す。 これに対して加藤校長は「座禅で心を無にして、奉仕の精神や忍耐心などを育てることを目的とした。僧侶は説法で『人はどう生きるか』と説いたが、入信を促すようなものではまったくなく、嫌なら参加しなくても構わないものだった」と説明している。ただ、来年度も再び実施するかは現時点では白紙という。 マイタウン静岡
|
ここから広告です 広告終わり マイタウン静岡一覧企画特集
ここから広告です 広告終わり 朝日新聞社から |