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【ゆうゆうLife】医療 納得は得られるか−動き出す医療版ADR(中) (2/3ページ)
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市民団体「医療事故市民オンブズマンメディオ」が医療事故被害者(家族を含む)に実施した調査によると、「医療事故後に病院から十分な謝罪があった」というケースはわずか3%。「事故自体よりもその後の対応が許せなかった」という回答も7割を超えた。
「医療版ADRを整備しても、初期対応がまずければ、患者側はADRを迂回(うかい)して弁護士や警察に駆け込む」。早稲田大学大学院法務研究科の和田仁孝教授は解説する。
和田教授が勧めるのが、医療側と患者側の対話の橋渡しをする「メディエーター」を活用した院内ADRだ。「医師は医学用語を交えて淡々と説明する傾向があり、患者さん側の誤解を招きやすい。仲介役が必要」
日本医療機能評価機構(東京都千代田区)の認定病院患者安全推進協議会はメディエーション講座を定期的に行う。今年度は2日間の「基礎編」を8回実施。16〜19年度で医師や看護師ら約400人が履修予定だ。
講師の中西淑美大阪大学特任講師は「遺族が何を望んでいるかをメディエーターが把握し、その悲嘆を乗り越えられるような協働を医療者側に考えてもらうようにできれば、紛争解決の糸口になり得る」と話す。