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7歳と3歳の兄弟。どうしても兄を我慢させてしまいます

 7歳と3歳の息子がいます。3歳の息子は、何でも兄の持っているものを欲しがります。順番に、とか、半分ずつと言ってもなかなか聞いてくれません。そうなると、どうしても兄の方を我慢させてしまいます。言い聞かせて納得させようとも思うのですが、ついつい怒ってしまいます。
 叱ったり、怒ったりが多いと、これからの性格形成などに影響があるのでは・・と悩むこともあるのですが、自分の感情を抑えることがなかなか出来ません。上手な叱り方を教えて下さい。
(41歳・母親)

 兄弟げんかの仲裁は親にはとても難しいと思います。年齢が上とか下とかに関係なく、子どもにとって、親は自分の味方になってほしい存在だと思います。どちらが悪いとかの裁きは親にはして欲しくないと思っているのではないでしょうか?
 その心情をくみ取って、親は裁かないことがポイントではないかと思います。
 兄を叱ると、兄は弟ばかりをかわいがると思ってすねるでしょうし、弟を叱っても泣き騒ぐばかりで効果はないと思うのです。「2人でやりなさい」と、介入しないでおくのが良いと思います。親には忍耐が必要だと思いますが、2人がどのように折り合いをつけられるかが重要だと思います。どうしても力の強い方が優位になると思いますが、親が入らないほうが、力でねじ伏せることは良くないなあと自分で気づくことができるのではと思います。

ふくろうおじさん  現代の子育てでは、親が常に子どもの側にいます。子どもは親が自分を愛してくれているかどうか、が常に気になっていますので、兄弟ゲンカが複雑になっています。弟は親に訴えてでも自分の欲しいものを手に入れようとします。親が弟の味方をし、「貸してあげなさい」と言えば言うほど、兄はかたくなになり、貸したくなくなるものです。兄弟ゲンカの喧騒は、親にとっては大きなストレスですので、何とかおさめたいと思うのが自然です。しかし、親が入れば火に油を注ぐようなことにもなりかねません。
 下の子が小さな間は親が入ることも必要ですが、ご質問の場合、下の子が3歳になっていますし、お兄ちゃんは7歳ですから、かなり分別がつきます。体力の差もはっきりしています。そのため、「ケンカは、2人に任す」という親の基本姿勢を常々子どもたちに伝えておくのもひとつの方法かと思います。
 弟が兄のものを欲しがって、収拾がつかない時は「タイム」を取り、弟を兄から離すという方法があります。「タイム」というのはカナダではよく使う方法だそうで、決まった場所、例えば食卓とか台所とかの椅子にしばらく座らせる方法です。そうすることで、感情をおさめ、何がいけないのか、をゆっくりと考えさせるのです。その際、親の側に座らせるのがポイントです。3歳以上の子にはこの方法が有効です。ケンカの最中にいろいろ言っても効果がありません。冷静な時に親の考えを伝えておきましょう。

グランマ  2人の息子さんは毎日毎日けんかばかりの連続なのでしょうか?
 ときには仲良くしていることもあるようでしたら、そういう時に2人を前に思いきり感心したりほめたり、お母さんとしては「嬉しい」と思っていることを伝えて、良い気持ちにさせてあげてください。そうすれば「怒ってばかり」にはなりませんので、まず心配はいりません。
 3歳の弟さんにとっては、7歳のお兄ちゃんの持ち物は何でも魅力的に見えるので、お兄ちゃんの物だからこそ自分も触ってみたいし、使ってみたいのです。そのあたりの弟さんの「欲しい」気持ちをお母さんが代弁してあげてください。
 そして、お兄ちゃんに「我慢させる」のでなく、弟さんが「うらやましいな」と憧れていることを少しでも兄貴であるお兄ちゃんに分からせて、「貸してあげよう」というやさしい気持ちになるように、お母さんが両者の仲立ち役になってあげてください。
 もし、お兄ちゃんがどうしても「貸さない」というのであれば、たとえ泣き叫んでも、弟さんの方に「我慢させる」ことがあっても良いと思います。「貸してもらえない悔しさ」を味わうこともまた意味ある経験です。泣き叫ぶ弟を見ていては何となく気持ちが落ち着かないという経験もお兄ちゃんには大事でしょう。
 2人がどんなやりとりをするか、時には「けんか」は兄弟2人に任せて、行く末を見守ってみても良いと思います。こんなときどうしたら良いか、こんなときどういう気持ちになるかを2人に考えさせ、お母さんはそれぞれの気持ちに寄り添ったり共感したりを心がけてみてください。

火星  3歳になると自己主張が芽生えます。気に入ったオモチャは「渡さない、自分が使うんだ」と主張します。しかし、保育園などでルールやマナーを学び、社会性を身につけていきます。
 一方、年長の幼児や学童になると社会性が育ちますが、弟とのトラブルの解決にはまだ力不足です。お兄ちゃんは、同年齢の友達と一緒のときには精一杯背伸びしていい格好を見せますが、弟さんの前では自分の本音を出せる子どもに変身するのでしょう。
 このような兄弟のけんかはスポーツのようなもので、大騒ぎしてもケロッと仲直りするでしょう。その中で社会性を獲得し、成長していくものと思います。親はレフェリーの役をつとめ、ルール違反が起きないかに注意し、勝敗が決まったらゲームセットを宣言して終わりにします。叱ってやめさせるのでは成長しません。
 兄弟げんかの後、子どもたちの気持ちを楽にしてあげる工夫は親の任務だと思います。ひとりでいる時間を見つけ、その子だけの要求を聞いてあげる姿勢が大切です。そのとき「お兄ちゃんはこうなのに、お前ときたら……」と兄弟を比較する言葉は厳禁です。代わりに「良いとこ探し、出来ること探し」をして、そういう兄弟がお互いに協力し、「相手の不足をどのように自分の持てるもので補ってあげられるか」をアドバイスしてあげてはどうでしょうか。

2007年12月16日  読売新聞)
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