防衛省の裏金が暴露され、月二十万円前後だった次官への配分が守屋容疑者の就任で増額されたとの証言があるという。何をかいわんやである 守屋前次官はメモ魔だった。面会者や会話内容を詳細に日記に記録していたが、退任騒ぎが起きた時にすべて焼却したと話している。土日のどちらか出勤して日記を書いていたと言うから相当なものだ 最近、明治・大正・昭和を生きた希代のメモ魔を描いた「枢密院議長の日記」(佐野眞一著・講談社現代新書)が評判になっている。二時間に約五千字も書く凄まじい官僚の日記である。ゴルフ好きの前次官が休日に職場で日記を書いている姿と重なった 大物政治家の日記は多いが、公開されることを念頭に書かれているので大した内容はないらしい。一方、政治家に近い官僚が何か書き残さずにおれないのは個人の性癖を通り越し、闇をのぞいた者の本能のようにも思える 「爪(つめ)で拾って箕(み)でこぼす」の言葉の通り、せっせとためた裏情報や秘密記録をごっそりと捨てることになるのは収賄事件でよく見る図式だ。「次官の日記」は面白いに決まっているが、公開された例は知らない。
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