登山計画書(登山届)はなるべく書いたほうがいいです。行動予定やおおよその歩行時間を計上して紙面に書くことによって計画を具体的に把握でき、机上でのシュミレーション登山を行うことになります。また装備や食料などの書き出しもしますから、忘れていたもの・忘れそうなものなどの確認も出来ます。
遭難を救助する側からみると計画書が唯一の資料になります。この資料を頼りに捜索活動を始めるわけですからできるだけ理解してもらいやすい文書を提出したいものです。
国内の山では登山計画書は統一された正式な書式というものはありません。山岳会によっても書き方は違いますし、県警で書式を提供している県もありますがその県だけのものですし、条例を設けている県・・・たとえば積雪期の剣岳へ登る為の富山県への提出文書などは、役所側から書類が送られてくるのでこれに記入し郵送し折り返し許可を得てから山に向かいます。
○登山計画書の書式一例です
ここではHTML形式での計画書をご覧になってもらいます。罫線枠取りなど間隔に少し無理がありますがご容赦を。
登山計画書
年 月 日
______________御中
所 属__________山岳連盟(協会) |
緊急連絡先______________ |
団体名________________ |
氏 名________________ |
所在地________________ |
住 所________________ |
___________________
пQ_________________ |
п@昼間_______________
夜間_______________ |
代表者________________ |
救助体勢 ある(___ 名) なし |
山域・山名
及びルート/
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登山目的/ ※@
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登山 期間 年 月 日( ) 〜 年 月 日( ) うち予備日 日
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集合場所 |
下山予定 日 時頃
(予備日を含んだ最終下山予定時刻)
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行動予定
________________________________________
________________________________________
________________________________________
________________________________________
________________________________________
________________________________________
________________________________________
________________________________________ |
任務 |
氏 名 : |
年齢 |
住 所 ・ 電話番号 : |
緊急連絡先п@: |
CL |
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SL |
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渉外 |
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記録 |
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写真 |
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食当 |
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天気 |
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<概念図>国土地理院1/25000地形図[ ]
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<遭難対策>
○トランシーバー (144/430MHz)使用MHz
コールサイン_____________
○携帯電話 有 ・ 無
番号____−_____−_____
○山岳保険の加入 有 ・ 無
○食料____日分・非常食___日分携帯
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<特記事項>
・荒天・非常時対策
・エスケープルート
・参加者のヤッケ・服装の色
・下山遅れの時の捜索依頼開始日・時刻
・その他
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◎所属山岳会の遭難対策担当者の連絡先や加盟団体の救助隊の連絡先(事前に了解を得て)を記入します (他会との合同登山の場合は、他会の連絡先も記入しておけばより良いです)
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●無所属の方は 所属〜代表者欄は記入しなくても構いません
● ※@の登山目的は登山の形態も含みます
日帰り往復登山or縦走、小屋泊往復登山or縦走、テント泊往復登山or縦走、沢登り、岩登り(登攀)、
アイスクライミング、雪山、山スキーなどを記入します。
●計画書で重要な点は、留守を守る側・救助に向かう側からすると次の2点が重要になります。
@予備日を含めた最終下山日と時刻の明記
A山岳保険加入の有無
@留守を預かる側からすると下山遅れから遭難とわかるケースが一般的です。計画書には予備日を含めた最終下山日・時刻を明記し、それより遅れた場合は、その日の何時、また翌日の何時に遭難と断定してもらい救助対策のための行動を起こしてもらうか、前もって留守をお願いする人と話し合っておく必要があります。
私のサークルの場合は、
・予備日を含めた最終下山日の22時を待っても連絡がない場合は下山遅れとみなす。
・翌日の15時から関係者への連絡を開始する。
・同日の19時に集合して救助の段取り手順を決めます。
・最終下山日の翌々日の朝6時に遭難と断定して行動をとります。
A山岳保険の加入の有無を明記しておかないと山域によってはヘリコプターでの救助が難しいことがあります。
●提出
登山計画書の提出は、まず自分の留守を言付ける人へ。そして出来れば登山当日の1週間前までに郵送。そして登山当日に山の最寄の駅の計画書投函ポストや現地入山口の計画書投函ポストに投函します。最近は県警によっては電子メールでの提出も認めているところもあります。
計画書の宛先は山域所轄の警察署・地域課宛になります。山域所轄の警察署の住所などを探すのが面倒なときは都道府県の警察本部地域課宛でもOKです。ネットのタウンページhttp://itp.ne.jp/servlet/jp.ne.itp.sear.SCMSVTopから目的の山の県警警察本部を検索すれば住所などはすぐわかるでしょう。
マイカー登山などの場合で提出場所が現地でもわからない場合は、山へ行く途中の道路沿い地元の駐在所などがあるようでしたらそこに提出することも可能です。思いつきの当日決定山行の場合はほとんど途中の駐在&ポストでいいでしょう。
人気のない辺ぴな山域や冬の時期、そして岩・沢など特別な登山をする場合は極力前もって郵送で提出しておくほうが良いです。警察のほうではそれなりの心積もりや待機をしてくれたり、私の過去の経験では雪山でラッセルまでやってくれた県警の山岳救助隊員もいました(^_^;)。
※計画書の提出に対して下山届けの提出は一般的には義務付けていないようです。
○実際は、計画書の作成は同行者や自分よりベテランがやってくれることもあります。お膳立てされた計画に便乗する登山は楽な反面、依存性も強くなってしまうので危険な場合があります。登山は新聞・雑誌などの公募登山であってもすべて参加した本人の自己責任が大前提です。登山は何事も補償してくれるようなパック旅行やツアーではないので、主催者(引率者・リーダー)に全面的に依存していると、刻一刻変る天候や自分の調子みたいなもので当初の計画を変更せざるを得なくなった場合や、不慮のことが起きた場合などには判断と行動ができません。ですからお膳立て計画の場合でも自分で一応シュミレーションを書き出してあれこれしておいたほうが、エスケープ的な候補と方法を用意しておける結果にもなりますし八方ふさがりのようなことにもならないのではと思います。
日帰り程度の登山ですと私もそうなのですが行き当たりばったりみたいなほうが新鮮で前もって計画するのは億劫なこともあります。このような気持ちは実は注意信号で山を楽観し始めています。山で生活できるほど自然と同化できる順応力があって、ビバークすること・登ること・降りることにも精通していれば大丈夫なのでしょうが、ふつうは自然のなかでは生きられない自分でしたら用意周到を心がけるべきです。 |