長崎県佐世保市の銃乱射事件で、馬込政義容疑者(37)=自殺=が約五年前から銃所持の許可や、許可証の更新を県公安委員会に計七回申請した際、地元駐在所の警察官が佐世保署からの照会にいずれも「問題なし」と報告していたことが十七日、分かった。容疑者宅周辺の住民は、馬込容疑者の奇異な行動から銃を所持させることの不安を相談していたが、警官は聞き入れていなかった。
近隣住民は「警察がきちんと調査し、所持申請を不許可にしていれば事件は起きなかった」と不信感を強めている。長崎県警が当時の経緯をあらためて調査しているが、都道府県公安委員会や警察の銃所持審査の在り方が問われることになりそうだ。
長崎県警によると、馬込容疑者は二○○二年七月、初めて散弾銃所持許可を県公安委員会から得た。その後も○三年二月に空気銃、同年六月と今年九月にそれぞれ散弾銃の所持が許され、三年に一度の更新が三回行われた。
近隣住民によると、最初の散弾銃を所持するようになったころから、馬込容疑者は夜中によその家を訪れ、突然トイレを借りようとしたり、銃を手にして周辺を歩き回ったりするようになった。
ある男性が駐在所に「彼に銃を持たせて大丈夫か。どうして許可したのか」と相談すると、警官は「持たせた原因を、いちいち言う必要はない」と答えたという。
銃所持の許可や更新申請が警察署に出されると、申請者の住所を管轄する交番や駐在所に署から照会があり、問題の有無を報告する規定になっている。駐在所からは馬込容疑者のいずれの申請、更新時も「問題なし」と報告されていた。
申請や更新の事務を担当する長崎県警生活環境課は「当時は不許可にしなければならない事情はなかったと思われる。法にのっとって許可した」としている。
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