育児休業を取得する女性医師は4人に1人と全業種平均を大きく下回り、子育て中でも7割の医療機関が当直勤務を課している―。岡山県医師会女医部会が、女性医師と病院を対象に行った初めての調査で、こんな勤務実態が明らかになった。
女性医師が仕事と育児を両立させる厳しさが浮き彫りになっており、地方の医師不足解消の面からも、出産後働きやすい環境整備が急務となっているといえそうだ。
アンケートは岡山、倉敷市を中心とした県内516人の女性医師と、180の病院を対象に実施。179人、87病院から回答があった。
子どものいる119人の女性医師のうち、育児休業を取得したのは29人でわずか24%。厚生労働省が2006年度に調べた全業種の平均育児休業取得率88・5%の3分の1以下だった。
夜間・休日の当直については、69%の病院が子どものいる女性医師でも「ある」と回答。緊急時の呼び出しなどがある病院も66%に上った。仕事を分割して勤務時間を減らすワークシェアリング、始業、終業時間を自由に決められるフレックスタイム制度を設けているのは34%で、院内に託児所を設置したり、契約保育所がある病院も33%にとどまった。
アンケートでは「育児休業を認められず、いったん退職になった」「パートでは他の医師の負担が増えるので、(代わりの人員が充てられる)休職を選択する」といった女性医師の声も寄せられており、厳しい勤務をこなす医療職場で理解を得る難しさをうかがわせた。
岡山県施設指導課によると、県内の医療機関に勤める女性医師は04年調査で761人と、1996年(561人)の1・4倍。比率も12・9%から15・8%と女性医師のウエートが高くなっており、出産を機に離職が進めば、医師不足に拍車が掛かるとの指摘もある。
同部会の小山武子会長は「現場が子育てに理解を示さなければ、女性医師は働き続けるのが難しい。国も医師の勤務状況を改善するような措置をとってほしい」と話している。