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【社会】高さ20メートル 氷点下の救出 乗客「トイレ…きつかった」2007年12月16日 朝刊
スキー客90人を乗せたゴンドラリフトは突然、停止した。氷点下7度に降り続ける雪。高いところで地上20メートル、ビルなら7階ほどの高さで宙づりになった乗客たちは、恐怖に陥れられた。長野県王滝村のスキー場「おんたけ2240」で15日起きたゴンドラ事故。週末をスキーで楽しもうとしていた人たちは、酷寒の中、ゴンドラ内で不安に耐えた。 幼児を含む子ども4人と訪れた愛知県一宮市大和町の会社員(41)夫妻は「長い時間宙づりというのは大人でも怖い。子どもが1人、気分が悪くなった。もっと早く救助に入ってほしかった」と疲れを顔に浮かべた。 浜松市の30代の女性は「もしかしたらこのまま一晩過ごさなければならないかと思ったら、すごく不安で、怖かった」。 ゴンドラ内に暖房はない。「寒さとトイレに行きたいのと空腹できつかった」。停止から6時間後に6人が乗ったゴンドラから救出された愛知県知立市の男性会社員(29)と、同県岡崎市の女性会社員(28)は、大幅な救助作業の遅れに憤った。「備え付け簡易トイレは3つだけ。異性がいて、それも使うわけにもいかなかった。待っても1時間が限界」と体がぎりぎりだったことを明かした。 1基につき30分以上がかかる救助は日没後も続き、具合が悪くなり救助後に救急車に収容された人が出た。備え付けの無線機でスキー場側に救助の要請をしても「要領を得ない答えしかなかった」と話す人もいて、対応のまずさが怒りに拍車をかけた。 ◆救助決定3時間後 運営会社「復旧を優先」90人全員の救助終了を受け、渡辺秀行事業部長、田中博幸支配人とリフトの技術担当者らが4人が午後10時半から記者会見した。 ゴンドラは、8号柱にある8つの「索輪」すべてからワイヤがはずれたため停止したと説明。原因について技術担当者は「まだ分からない」とした。田中支配人によると、同様の事故は1995年1月にも発生。その際は救助の準備を進めながら修理を行い、救助開始より早く復旧したという。 今回、救助開始が事故発生後3時間を経ていたことについて渡辺事業部長は「復旧の見込みがあると考え、お客さまへの対応が遅れたことは申し訳ない」と陳謝した。関係機関への連絡については「マニュアルに従い午前11時ごろに国土交通省の北陸信越運輸局に電話をしたが、通じなかった。そのうちに修理現場とのやりとりが入り、運輸局には午後2時になって通じた」と話した。 おんたけ2240スキー場は村営の旧おんたけスキー場。過剰投資で多額の債務を抱えた村が一昨年、リフト部門の運営を札幌市の大手リゾート会社・加森観光に委託し、民営化された。
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